「どなたでも言ってくださーい!」
フォトセッションの際、カメラ目線を求める報道陣にそう呼びかけたのは、テレビ東京 ドラマ24『40までにしたい10のこと』(7月4日スタート 毎週金曜24:12~24:42)で主演を務める俳優・風間俊介。ドラマの会見は、風間の視野の広さ、気遣いを感じられるものだった。
風間俊介「『かわいいは作れる』と聞いてたんで」
「よろしくお願いします。みなさん、足元が悪いなか、お集まりいただき、本当にありがとうございます。今回の作品はですね、原作が素晴らしく、そして撮影現場も素晴らしく、すごくあたたかい物語となっております」(風間)
その優しくて柔らかい声に、記者もカメラマンも耳を傾ける。風間は、俳優としての高い評価もさることながら、情報番組やバラエティ番組で見せるトーク力もピカイチだ。この会見でも、自身が演じる役柄の特徴や魅力を伝えながら、ウィットに富んだ言葉選びで会場を盛り上げた。
風間「マミタ先生の原作を読ませていただいた時に、十条雀というキャラクターがとてもかわいらしくて。かわいいものを愛していて、それを愛(め)でてる雀自体がとてもかわいらしいという印象でした。なので、心に決めたのが、十条雀をかわいいと思ってもらえるように、かわいくなろう! と。隣にいる庄司くんにも宣言してたんですけど」
庄司「こういうのって心の中で思いそうなことですけど、割とデカめの声で『庄司くん! 俺、この期間中、かわいくなるから』って」
風間「どこかで、『かわいいは作れる』と聞いてたんで。僕の意識次第で、雀がどれだけかわいくなれるかだと思った。そうですね……こうやって、かわいくなろうとしたっていう話をすると、僕の小賢しいところが出てしまうんですけど(笑)」
ドラマ『40までにしたい10のこと』を作る上で意識したこと
また、笑いどころを作る一方で、正確に伝えたいことがある場面では、それに適した空気感を作る。記者から「男性同士のラブコメだからこそ意識したことは?」と質問された時には、「ありがとうございます。このお話をできるチャンスをいただいたなと思うのが……」と前置きした上で、声のトーンを少し変えて、こう答えた。
「もちろん、ボーイズラブということを楽しみにしてくださっている方もいらっしゃると思うんですけど、あくまで現場のみんなの共通意識だったのは、二人の恋の物語であって、それが後から男性同士ということはありつつも、ピュアにお互いが惹かれあっていく姿を描こうと。なので、男性だから、女性ではないから、ということよりも、一人ひとりの人間が惹かれあって作っていく、純粋なラブストーリーというのは共通認識だったのかなと思います」
「でも、ボーイズラブというものを作品として愛している方にも喜んでいただけるような感じになったんじゃないかなと思っています。原作にもあるように、素敵なポイントが、同性同士だから、じゃなくて、この身長差が、この慶司のメガネが、とか、そういう瞬間にときめきがたくさんある作品かなと思っています」
現場のスタッフや映画の観客にも気遣い
冒頭の挨拶からも感じられるが、風間は丁寧な人だ。フォトセッションの時間、記者やカメラマンが「こちらに(カメラ)目線をお願いします!」と声をかけていくなか、風間はそれに応じながら、全体へ目を配り、「どなたでも言ってくださーい!」と気遣ってくれた。
風間の気遣いについては、ドラマ『初恋、ざらり』(23・テレビ東京)でW主演を務めた小野花梨も、「時間がないなかでの撮影で、疲れているスタッフさんがいらっしゃった時に、風間さんは、誰にも見えない場所で、『元気? 大丈夫そう?』と優しい言葉をかけていらっしゃって」「小さな気遣いを全員に配っていらっしゃる素敵な方です」と明かしている。(「テレ東プラス」2023年7月7日)
また、映画『先生の白い嘘』(24)公開初日舞台挨拶の際には、報道陣向けのフォトセッションの準備中、風間は観客に向けて「皆さん大丈夫そうだと勝手に判断してしまっているんですけど、もし暑かったりしたら何かお飲み物とか……あと退出したいという方がいたら、お気になさらず。辛辣な物語でもありますから、気分悪い方がいらっしゃいましたら、お気になさらず休んでください」と呼びかけていた。
風間俊介の「視野の広さ」を庄司浩平が証言
今回、ドラマで共演した庄司浩平も、風間の気遣いには驚いたようだ。
「本当に視野が広い方です。カメラがオンの状態はもちろんですけれども、特にカメラが回っていない状況において。ドラマはたくさんの方が関わってくださる現場になりますが、(風間さんは)いつその人を見て、いつそこを気にしているのかっていうことが本当に多い。照明部や録音部の方たちに対してや、広報の方がいらっしゃった時も、積極的にコミュニケーションをとって、『あれ良かったよ』とポジティブな言葉を具体を持って投げかけていらっしゃった」
「僕もこの2カ月余り、風間さんから素敵な言葉をたくさんいただきましたけれど、本当に力をもらえる。朝から晩まで連日(撮影が)続いた日もあり、『身体は疲れてるけど、心は元気だね』という話をしていて。それはやっぱり、風間さんが現場全体に対して、ポジティブなエネルギーをもたらしてくれたってことが大きかったなって」
主演という肩書き以上に、作品を包み込み、現場を明るく照らす存在。それも、風間俊介という俳優の魅力なのだろう。
ドラマ『40までにしたい10のこと』あらすじ
10年以上恋人なし・会社と家を往復するだけの毎日を送る十条雀(風間俊介)は、気づけば40歳の誕生日まであと3カ月。人生の節目にふと感じた焦りから、雀は“40までにしたい10のことリスト”を作る。「タコパ」「服の趣味を変える」「恋人を作る」……。
ところが、そのリストを後輩のイケメン部下・田中慶司(庄司浩平)に偶然見られてしまった。しかし、慶司の提案で二人はそのリストを一緒に叶えていくことに。代わり映えのしない日々が、二人で過ごす楽しい毎日に変化していく。そしてお互いが上司と部下、年の差も超えた“特別な存在”へと変わっていく。