フジテレビは、13日に告示された東京都議会選挙や、7月に予定されている参議院議員選挙に向け、選挙報道の新たな方針を策定した。同局系列のニュースサイト「FNNプライムオンライン」で13日に公表した。

  • フジテレビ本社=東京・台場

記者への誹謗中傷には「毅然とした対応」

新たな方針では、選挙報道の「質的公平性」を重視し、各党・各候補者の活動や発言、様々な事象などについてニュース性に重きを置いて、積極的に報道するとした。

また、ニセ情報などについては、ファクトチェックを行い、投票行動に与える影響が大きいと判断した場合、「事実ではないことを明確に報道する」という。

その上で、「選挙取材に携わる記者らの安全対策を徹底し、誹謗中傷などに対しては、毅然とした対応を取ります」と示した。

BPO、2017年に「質的公平」報道を求める

日本テレビは9日、これまでにない規模での事前選挙報道キャンペーン「投票前に考える それって本当?」を展開することを発表。徹底した現場取材とファクトチェックを実施するとしている。

日テレの井上幸昌政治部長は昨年、自民党総裁選のドキュメンタリー番組を制作した際にマイナビニュースの取材に応じ、「政治報道をイノベーションしないと、テレビ局の政治部の存在価値が下がってしまう」と危機感を述べていた。

テレビ局の選挙報道は、放送法に明記されている「政治的に公平であること」といった規定を必要以上に気にするあまり、選挙期間中の報道に対して「発信が弱い」「切り込みが甘い」と批判の声が高まっている。

放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会では2017年2月、前年に行われた参議院選挙と東京都知事選挙をめぐるテレビ報道を受けて意見を公表。テレビ放送の選挙に関する報道と評論に求められているのは「量的公平」ではなく、政策の内容や問題点など有権者の選択に必要な情報を伝えるために、取材で知り得た事実を偏りなく報道し、明確な論拠に基づく評論をするという「質的公平」であると指摘していた。