ナビタイムジャパンは6月10日、大阪・関西万博の開幕から1ヶ月間の訪日外国人旅行者による滞在・来訪状況の分析結果を発表した。調査は2025年4月13日~5月12日、同社が提供する訪日外国人観光客向けナビゲーションアプリ(Japan Travel by NAVITIME)から同意を得て取得したインバウンドGPSデータと属性アンケートを用いて集計した。

  • 訪日外国人旅行者の大阪・関西万博の滞在・来訪動向

時間帯別の大阪・関西万博会場の滞在状況

  • 訪日外国人旅行者の大阪・関西万博 滞在時間帯

大阪・関西万博における訪日外国人旅行者について、時間帯別の滞在状況を集計した。開場開始直後の9時台、パビリオン等の営業が終了する21時以降は滞在者が比較的少ない一方で、開場時間である9時から22時の間は、いずれの時間帯も一定以上の滞在者が見られた。特に11時台から14時台、17時台に滞在が増加する傾向が確認できる。17時以降は、夜間券の利用も推察される。

時間帯別の大阪・関西万博の地域別滞在傾向

  • 訪日外国人旅行者の大阪・関西万博 滞在時間帯(地域別)

アジア・米国・欧州のそれぞれの地域の来場者のうち、何時台に滞在したかを比較した。特に米国は12時~16時台に滞在が集中しており、17時以降は大きく減少する傾向が見て取れる。

アジアからの来場者は11時~17時台の滞在人数はほぼ横這い。14時台、17時台にピークが見られた。米国については、12時~16時台に集中している。13時台、15時台にピークがあり、17時以降は大きく減少する傾向にある。欧州からの来場者は12時台にピークがあり、以降はゆるやかに減少していく傾向が確認された。

訪日外国人旅行者の国別パビリオン来訪状況

  • 写真提供:2025年日本国際博覧会協会/大阪・関西万博 大屋根リング

  • 大阪・関西万博 パビリオンのポリゴン全体図

大阪・関西万博に訪れた外国人旅行者の会場内の来訪状況を分析するために、集計期間内である2025年4月13日~5月12日に各パビリオンで一定数以上のサンプルが取得できた訪日外国人旅行者のうち、特にタイ、米国、フランスの3ヵ国を対象に分析した。

タイからの旅行者

タイからの旅行者が最も多く滞在しているのは、自国のタイパビリオンだった。次いで、よしもと waraii myraii館、GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION(実物大ガンダム像)、日本館、リングサイドマーケットプレイス西にも立ち寄っていることが確認できる。

  • 国別パビリオン来訪状況(タイ)

アメリカからの旅行者

アメリカからの旅行者は、万博の会場内を全体的に幅広く回遊していることがわかる。そのなかでも、特にコモンズ-A館、UAEパビリオンへの滞在が多いことがうかがえる。

  • 国別パビリオン来訪状況(アメリカ)

フランスからの旅行者

フランスからの旅行者は、自国のフランスパビリオンのほか、よしもと waraii myraii館での滞在が確認できる。ついでGUNDAM NEXT FUTURE PAVILION(実物大ガンダム像)、日本館、リングサイドマーケットプレイス西にも訪れており、タイと同様の傾向が見られる。

  • 国別パビリオン来訪状況(フランス)

大阪・関西万博会場までの訪日外国人旅行者の移動手段の内訳

  • 移動手段の内訳

大阪・関西万博の会場への移動手段を分析した。行き帰りともに、80%以上の訪日外国人旅行者が鉄道を利用していることがわかる。行きと帰りで比較すると、帰りの方が、鉄道利用者の割合が高い傾向にある。大阪・関西万博は東ゲートが鉄道、西ゲートがバス等を利用するアクセス拠点となっていることから、帰りは東ゲートを利用する来場者が多いと推察される。

全国の駅の利用増加率ランキング

  • 全国駅 利用増加率ランキングTOP3

  • 全国駅 利用増加率ランキングTOP3

また、万博の開幕前後で全国の駅を対象に増加率を集計した。その結果、大阪・関西万博会場の最寄り駅である夢洲駅が1位で42.80倍の伸びとなった。例年4月中旬から5月上旬にかけて桜の見頃をむかえる東北の弘前駅、盛岡駅といった春の桜シーズンに多くの利用がある駅の増加率を大きく上回った。

大阪・関西万博に訪れた市区町村別周遊状況

大阪・関西万博に滞在した訪日外国人旅行者を対象に、万博滞在前後に他にどのエリアに立ち寄ったかを、全国の市区町村単位で集計し、周遊状況を分析した。地域別に見ると、アジアの旅行者は関西圏を周遊し、欧米の旅行者はゴールデンルートを周遊するなかで立ち寄る傾向が見られる。

  • 大阪・関西万博会場の滞在者が旅行中に周遊した市区町村 地域別周遊状況(アジア)

  • 大阪・関西万博会場の滞在者が旅行中に周遊した市区町村 地域別周遊状況(アジア)大阪エリア拡大

アジアでは、関西国際空港がある大阪府泉佐野市、田尻町、関西圏を中心とした万博会場周辺での周遊が見られる。特に大阪市-京都市間での周遊が最も多く、両市内の観光とあわせて大阪・関西万博も訪れていることが推察される。

  • 大阪・関西万博会場の滞在者が旅行中に周遊した市区町村 地域別周遊状況(米国)

米国では、東京23区-京都市-大阪市間のゴールデンルートを周遊する傾向が最も強く出ており、その中で、大阪・関西万博にも来訪している様子がうかがえる。

  • 大阪・関西万博会場の滞在者が旅行中に周遊した市区町村 地域別周遊状況(欧州)

欧州は、ゴールデンルートや広島県広島市のほか、石川県金沢市、岐阜県高山市への滞在も見て取れる。大阪の来訪にあわせて、大阪・関西万博にも足を運んでいることが伺える。

万博とあわせて訪日外国人旅行者が滞在しているスポット

次に、特に滞在の多いスポットのランキングを集計した。大阪市内の主要な観光スポットやショッピング施設が多数ランクインするなか、1位は奈良公園となった。京都市内の観光スポットも複数ランクインしており、関西圏内を周遊し、各地の観光とあわせて大阪・関西万博にも来訪していると考えられる。

  • 大阪・関西万博とあわせて滞在したスポットランキングTOP10