フジテレビ労働組合は9日、同局の「再生・改革」に向けての声明文を、民放各社の労働組合に送付した。

  • フジテレビ本社=東京・台場

    フジテレビ本社=東京・台場

「忸怩たる思いを多くの社員が抱いております」

フジテレビ労働組合は、フジ・メディア・ホールディングスとフジテレビがこれまでに発信した「再生・改革」の方針への賛同を表明。その実現にあたって、「社員一人ひとりの意識と行動の変革が不可欠であると考えております」とし、「私たちは、メディア企業としての責任を自覚し、視聴者、スポンサー、出演者をはじめとするすべての関係者の皆さまから広く信頼されることを目指し、真摯(しんし)に取り組んでいくことを、ここに声明いたします。そして、もし今後、賛同しかねるような方針の変更を経営(会社)が行うことがあれば、組合から声をあげ、社内の自浄作用により適正なものになるよう是正に努めます」とした。

また改めて、一連の事案について、「フジテレビの社員として深くお詫び申し上げます」と謝罪。「視聴者の皆様にテレビメディアに対する不信感を与えてしまったこと、取引・提携先企業としてこれまでのようには弊社を選びたくないと思わせてしまっていること、番組関係者の方々の将来に不安な思いを持たせてしまっていること等、各所に多大なご迷惑をおかけしていることについて、忸怩たる思いを多くの社員が抱いております。また、強く苦しみを抱きながら同じ社屋で働いていた元女性社員の力になれなかったことにつきましては、従業員が声を寄せる先の一つとして当労働組合が認知されていなかったであろうことを深く反省すると共に大変申し訳ない気持ちでおります」と見解を提示した。

10%未満から社員の半数に迫る加入規模に

一連の事案を受け、「フジテレビおよび社員に対しては、厳しい目が向けられていることを、制作・ビジネスの現場や、日々の暮らしの中でも痛感しております。今月5日には、弊社社員に対する懲戒処分等も発表されました。我々は、今回のような事案が二度と起こらないように、社内で行うべきことを進め、その先においては、皆様に応援していただけるコンテンツを提供し、広く信頼いただける企業に生まれ変われるよう社業に邁進していきたいと考えております」と宣言した。

フジテレビ労働組合は、1966年に発足。近年は社員数の10%に満たない規模だったこともあり、社内では“弱小組合”と認識されていたが、一連の事案の週刊誌報道以降、組合員数が増加。1月17日の“クローズド会見”以降はさらに勢いを増し、今では社員の半数に迫るという。

「1月以降、前体制・現体制の経営陣とは労使対等な立場で議論が行える関係を築き、清水賢治社長や人事担当の取締役に対しても組合員からの意見は率直に伝えられる環境となっております」と説明している。