女優の今田美桜が主演を務める連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)。本作のタイトルバック(オープニング映像)では、RADWIMPSによる主題歌「賜物」が流れる中、白いワンピース姿の今田が戦前から戦後を駆け巡り、最後にアンパンマンのシルエットの姿も。制作統括の倉崎憲氏にタイトルバックの制作意図を聞いた。

  • 連続テレビ小説『あんぱん』タイトルバック

    連続テレビ小説『あんぱん』タイトルバック

112作目の朝ドラとなる『あんぱん』は、アンパンマンを生み出したやなせたかしさんと妻・暢さん夫婦をモデルに、何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語。小松暢さんがモデルのヒロイン・朝田のぶ役を今田美桜、やなせたかしさんがモデルの柳井嵩を北村匠海が演じ、脚本は中園ミホ氏が手掛けている。

タイトルバックは、コンペを経てVFXアーティストの涌井嶺氏が制作。倉崎氏は「涌井さんのコンセプト案を読んだ時から演出陣含めとてもいいなと思っていました。戦前から戦後の激動の時代をヒロインが駆け巡り、1本の光で導かれるというところも非常にいいなと思ったので、涌井さんにお願いすることになりました」と説明する。

映像上、嵩役の北村は出演していないが、のぶと嵩の関係性も表しているという。

「1本の光は、のぶが嵩を導いているように見えたりもするし、逆にのぶが1本の光に導かれているようにも見える。最終的にアンパンマンのシルエットにつながっていきますが、数十年での彼女の経験がアンパンマンだったり、嵩のいろんな作品にもつながっていくというのを、半年間放送を見ていただいた方にいろんな受け取り方をしていただけたらなという思いがあります」

今田は役衣装ではなく、白のノースリーブのワンピースを着用。

「昭和2年から始まって、最終的にどこまで描くかのかまだ言えませんが、アンパンマンが生まれたところまでは少なからず描くという、その数十年のスパンがある中で、戦前の衣装にするのか、戦後の衣装にするのか、そういう議論にもなって。であるならば、今を生きる今田美桜さんが、現代人の代表としてタイトルバックに参加し、戦前から戦後に向けた時代の移り変わりを旅してもらうことになりました」

SNSでは、タイトルバックと主題歌に多くの声が上がっており、「朝ドラっぽくない」という意見もありつつ、「聴くうちにしっくりくるようになったかも」「最終的にはみんな慣れて好きになるはず」と好意的な意見も。

倉崎氏は「タイトルバックの映像表現も主題歌も、例年の朝ドラとは違う表現に挑戦をしているので、『朝ドラっぽくない』という声が上がるのは当然承知の上で、我々も覚悟を決めて作っている」とさまざまな反応が生まれることも想定して新たな挑戦をしたと説明。

そして、半年間放送される中で受け取り方が変わってくるのではないかと予想する。

「第1週で見たときと、第5週、第10週で見たときと、最終週の第26週で見たときと、描いている時代によって、あるいは受け取り手の環境によって、感じ方が変わっていけばいいなと。全26週見終わった後に視聴者の皆さんにどう捉えていただけるかというのが一番大事だなと思っています」