大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で松葉屋の座敷持ちの女郎・うつせみ役を演じている小野花梨にインタビュー。本作出演が自身にとってどんな経験になっているか話を聞いた。

  • 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』うつせみ役の小野花梨

江戸時代中期の吉原を舞台に、東洲斎写楽、喜多川歌麿らを世に送り出し、江戸のメディア王にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く本作。脚本は、『おんな城主 直虎』(17)以来、8年ぶり2度目の大河ドラマとなる森下佳子氏が手掛ける。

小野は本作が大河ドラマ初出演となり、「優秀なスタッフの方々、出演者の方々、セットもそうですし、衣装、かつら、メイク……プロ中のプロの方々が集まって、『べらぼう』という1つの作品が出来上がっていて。どこに行っても『べらぼう見てるよ!』『楽しみだよ』と言っていただけますし、多くの方が見ている大河ドラマという場所に自分をいさせてもらえて、うつせみという人物に感謝しています」と語る。

2日に放送された第9回「玉菊燈籠恋の地獄」で小田新之助(井之脇海)とうつせみ(小野花梨)が足抜けを試みるも失敗。新之助は暴行を受け、うつせみも連れ戻されて激しい折檻を受け、SNSでは2人を心配する声や2人の幸せを願う声が続出した。

うつせみは、客の名前を腕に彫られたり、折檻を受けたり、つらいシーンも多い役どころ。小野は「花魁の中でも闇的な部分を担わせていただいているなという自覚がありました」と述べ、役に入り込みすぎてつらくなるということはないものの、「花魁の現実、吉原の現実を視覚的にまざまざと見せつけられると、なんて世界なんだと思いました」と撮影の中で闇の部分を実感したという。

続けて、「こんな世界で間違いなく生きてきた女性たちがいるという、それを大河ドラマとして描くというのはとてもセンシティブで繊細な作業だと思いますし、そこに挑もうとされた『べらぼう』のスタッフさんに対するリスペクトがあります。確実にあったという事実を事実としてちゃんと知るというのは、今この時代を生きている自分にとっては必要なことだと思いました」と述べ、「学びの場としてこういう機会をいただけたことは、すごく財産でした」と語った。

また、本作に参加したことで現代の豊かさを改めて感じたそうで、「花魁は裸足なのでとても寒いんです。着物をいっぱい着ているので重いですし。今の自分から見ると、不便さも素敵で愛おしいですが、その時代に住みたいかと言われると即答はできないなと。今ある豊かさを再確認することができ、靴下があって、靴があって、洋服が着られて。着物だと膝を開けませんが、そういうことも気にせずに自由に街を歩けて、どこに行くにも、車や新幹線などがあって。そういうものがより一層ありがたく思えるような時間でした」と話していた。

■小野花梨
1998年7月6日生まれ、東京都出身。ドラマ『嫌われ松子の一生』(06)で女優デビュー。2022年に出演した映画『ハケンアニメ!』で、「第46回日本アカデミー賞」新人俳優賞を受賞した。近年の主な出演作は、ドラマ『罠の戦争』(23)、『初恋、ざらり』(23)、『お別れホスピタル』(24)、『透明なわたしたち』(24)、『スノードロップの初恋』(24)、『私の知らない私』(25)、映画『Ribbon』(22)、『ほどけそうな、息』(22)、『52ヘルツのクジラたち』(24)、『ミッシング』(24)など。

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