――1996年にデビューされてから今年で29年になりますが、今の仕事に対する思いもお聞かせください。
休めるときは休みたいです(笑)。20代の頃は特に、休みなく働いているというか、常に能動的に何かを摂取したり、何かを求めたりすることが一番刺激的でしたが、40代を迎えて、何もしない時間から得る何かみたいなものもきっとあるなと。何かきっかけがあったわけではないですが、年齢を重ねて休むことも大事だと思うようになってきました。
――実際に何もしないで休んでいる時間がプラスになったなと感じたエピソードがありましたら教えてください。
わからないですけど、どんなに強い格闘家もずっと力が入っているといいパンチが出ないし、いい技がかけられないのと一緒で、脱力する時間が必要だなと。いざというときにパワーを一点に集中させていく技を身につけていけたらなと思っています。
――この作品もパワーを貯めてぶつけた作品に?
そうですね。空いている時間に(娘役の)心陽ちゃんと散歩したりして、本番になったらぐっとアクセルを踏むようにしていましたが、そういうことがうまくできるようになっていきたいです。
――これまでの活動を振り返って、ご自身にとって大きな転機になったと感じていている出来事を教えてください。
たくさんありますが、演劇に出会ったことは大きかったと思います。映像作品と違って、演劇は頭のてっぺんから爪の先まで、常に誰かに見られている状態での表現なので、細部まで気を遣わないといけない。そして、役としての生き様ももちろんですが、普段自分がどういう人間であるかというのも透けて見えてくる。そういう舞台の上で何かを表現するというのは、僕にとって0に戻れる瞬間になっているなと感じています。
――舞台経験が映像作品にもプラスになっていると感じますか?
まさに今回の役はきっとどこかでつながっているのかなと。全身が見えるアクションとか、体で表現する演技というのはつながっていると思います。