――さまざまなジャンルの作品に出演されていますが、ご自身の中でアクションはどういう位置づけですか?
アクション1つとってもさまざまなジャンルがあって、三池(崇史)監督とご一緒した『土竜の唄』は超喧嘩ファイトで、そういったアクションもあれば、岡田准一さんとかがやっているような技で見せていくアクションもあるし、そういった意味で今回の憎しみ100%のアクションはまた違う見せ方になるのかなと。
――自分の武器の一つというか、アクションに大きなやりがいを感じられているのでしょうか。
自分としては得意だと感じたことはなかったです。人に当てるのが苦手というのもあって。容赦なくバコ~ン! ってできる役者の方が迫力が出るんですよね。なかなかいけない弱さが自分にはあるので。
――ご自身が特にやりがいを感じているものとは?
「これ絶対無理でしょ」という役や作品の方が、力を発揮できる気はします。自分の得意な形が通用しないものの方が、火事場の馬鹿力的なものが出るのか、役への掘り下げが深くなるのかわからないですけど、そういう経験をたくさんしてきました。自分のイメージとかけ離れた役をいただくと、誰かが僕のことをこんな角度で見てくれていたんだという面白さも喜びも感じて、ドキドキするけど飛び込んでみようかなとかという気持ちになります。
――今後はどうなっていきたいと考えていますか?
僕は将来を思い描いたことがあんまりなくて、「次はこういう役だから、こういう準備をしようかな」というぐらいで、「10年後どうなってたい」「40代こう過ごしたい」ということがないまま来てしまって、きっとこれからもそうなんだろうなと思います。自分で人生の地図を描いてその通りに進んでいくより、行き当たりばったりで進んでいって、気づいたら自分でも想像してなかった場所に立てていたみたいな方が、自分としては合っているのかなと。
――こうなりたいと思って目指すのではなく、オファーを受けて、目の前の役や作品と向き合っていった先に、どんな世界が広がっているのか楽しみたいという感じでしょうか。
そうですね。僕たちは基本的にお話をいただいてから始まりますし、作品との出会いや人との出会いで変わっていくので、ある意味、運任せなところもあるなと思っています。
1984年10月7日生まれ。1996年にNHK Eテレ『天才てれびくん』に出演後、ドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』(07)や『魔王』(08)などで注目を集める。2011年、映画『人間失格』(10)、『ハナミズキ』(10)でキネマ旬報ベスト・テン新人男優賞、ブルーリボン賞新人賞を受賞。そのほかの代表作に、映画『土竜の唄』シリーズ(14、16、21)、『予告犯』(15)、『グラスホッパー』(15)、『彼らが本気で編むときは』(17)、『友罪』(18)、『告白 コンフェッション』(24)、ドラマ『ウロボロス~この愛こそ、正義。』(15)、『俺の話は長い』(19)、『書けないッ!?~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~』(21)、『鎌倉殿の13人』(22)、『警部補ダイマジン』(23)、Netflixシリーズ『さよならのつづき』(24)などがある。今年のNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』にも出演中。
ヘア&メイク/豊福浩一(Good) スタイリスト/前田勇弥