『3000万』土曜22時~ NHK

出演者:安達祐実、青木崇高ほか
寸評:NHKの脚本開発プロジェクトWDR(Writers Development Room)の第1弾で業界内の注目度は高い。物語は連続性がある一方で、展開ありき、辻褄合わせありきで偶然に頼るところも。「次が見たくなる」という中毒性があるだけに、1週間空く連ドラより一気見向きか。追い込まれていく安達と青木の演技を楽しむ作品でもあり、逆にそれ以外に有名俳優を起用しないことが、予測不可能なムードにつながっている。グループライティングの可能性を探る第一歩となったのは確か。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

  • 安達祐実 撮影:岸豊


『私たちが恋する理由』 土曜23時~ テレ朝

出演者:菊池風磨、久間田琳加、山崎紘菜ほか
寸評:STARTOのアイドルがベースのドラマ枠でいわゆる「キュン」シーンが必須だが、当作は感情描写もしっかり。令和の上司と部下が抱える距離感の難しさを丁寧に描いている。「近づいたと思ったけど、まだまだ遠かった」というもどかしいシーンの連続は、刺激や急展開を求めがちな令和の恋愛ドラマとしては貴重。菊池と久間田の相性も上々か。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

  • 久間田琳加


『バントマン』 土曜23時40分~ 東海テレビ・フジ

出演者:鈴木伸之、倉科カナ、坂東彌十郎ほか
寸評:ビジネスシーンをいちいち野球にたとえるのはシュールかつ希少な一方、究極の福利厚生施設「シークレット・ベネフィット・オーガニゼーション」という設定には無理があり、各エピソードにひずみが出ている。ネットで何かと話題の中日ドラゴンズ全面協力で野球シーンの映像はなかなかの仕上がりで、鈴木のバッティングは一見の価値あり。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

  • 鈴木伸之


『海に眠るダイヤモンド』 日曜21時~ TBS

出演者:神木隆之介、斎藤工、杉咲花ほか
寸評:「70年にわたる愛と青春と友情、そして家族の壮大なヒューマンラブエンターテインメント」というコンセプトは“日曜劇場全部乗せ”の感。描かれようとする“古き良き時代の人間が持つ熱さ”は決して時代錯誤なコンセプトではなく、終盤は令和の現在に通じる希望を見出すような作品になりそう。TBSが誇る制作チームが満を持して日曜劇場に挑んだ作品だが、初回は肩の力が入りすぎていた感も。脚本・演出・キャスティングともに迫力十分だが、過去作のように抑揚をはっきりつけたほうが、視聴者の心を動かすのではないか。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆☆】

  • 神木隆之介 撮影:友野雄


『マイダイアリー』 日曜22時15分~ ABC・テレ朝

出演者:清原果耶、佐野勇斗、吉川愛ほか
寸評:大学生が持つ等身大の悩み、受け入れ合う過程、何気ない日々の尊さ。なかでも「どこか物足りない学生生活、どうすれば残りの年月を悔いなく過ごせるのか」を描く青春グラフィティとしての価値は高く、日曜夜に最適な癒しも感じさせる。ただ、「私はふと人生の日記を読み返したくなった」というモノローグからはじまるが、わずか2年前の回想であり、「わざわざ振り返るほどの年月か」は疑問。ABC制作の同枠はオリジナルにこだわり、当作は若手脚本家の兵藤るりを起用するなど、どこよりも意欲的だけにそろそろヒット作がほしい。また、今秋から放送枠が「15分後倒し」になったが視聴者軽視の編成に見える。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

  • 清原果耶 撮影:島本絵梨佳


『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』 日曜22時30分~ 日テレ

出演者:堀田真由、仁村紗和、長濱ねる、畑芽育ほか
寸評:150年以上前に出版された『若草物語』がどうというより、「四姉妹の物語」が今、視聴者に響くのか。しかもメインテーマは恋愛と結婚であり、「姉妹での違いを描きやすく、誰か共感できる人物がいるだろう」という価値観の多様化に合わせたプロデュースがうかがえる。四姉妹を扱うことで「エピソードの密度が薄くなる」こと、最大の注目が「日テレドラマ制作の自己批評とみなされがちな」ことが気がかり。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆】

  • 堀田真由 撮影:望月ふみ