福岡市交通局は23日、新型車両4000系の報道機関向け見学会を実施した。地下鉄空港線・箱崎線の新型車両として、秋頃の運用開始をめざし、搬入後に基地構内および営業時間終了後の本線での試験、営業時間中の試験走行など実施してきたという。
地下鉄空港線・箱崎線で現在活躍する車両(1000N系、2000N系)のうち、1000N系は1981年の天神~室見間開業時に導入された1000系を改造し、使用し続けている。新型車両4000系は、1000N系の老朽化に伴う更新を目的に開発され、川崎車両により1000N系と同数の計108両(6両編成×18編成)を製造予定。今秋から順次導入し、2027年度までに全18編成を更新する計画としている。
4000系の車体前面は特徴的な切妻形としたうえで、現行車両1000N系・2000N系でも採用しているブルーのラインを継承。車体側面は上部にブルーのラインを配し、窓周りに「空の玄関口」福岡空港と希望の未来、広く澄んだ青空をイメージしたスカイブルーのラインを新たに配した。
車内はロングシート主体の座席配置とし、1人あたりの座席幅を「通勤車では国内最大」という480mmとするなど、快適なシートレイアウトをめざした。袖仕切りや荷棚などにガラスを使用し、開放的かつ明るく広がりを感じられる空間としている。ドア上部に3画面の案内表示器を設け、うち2画面で路線図・次駅等の運行案内を行い、もう1画面はニュース・広告用とする。
子育て・バリアフリー設備の充実も図った。こども連れやベビーカー・車いす利用者をはじめ、キャリーバッグ等の大きな荷物を持った利用者も快適に利用してもらうことをめざし、6号車(福岡空港方先頭車)にフリースペースを設置。2歳小児(平均身長85cm程度)が「ひとり立ち」で車窓を楽しめる大型の窓を設けたほか、保護者・介助者がこどもや車いす利用者から近い場所で一緒に景色を楽しめるように、「2方向から座れる座席」を配置した。大型の手荷物スペースも用意し、袖仕切り越しにキャリーバッグを支えた状態で利用できる座席としている。
各号車の端部に優先スペースを設け、優先席の一部に「立ち座りしやすいシート」も導入。通常の座席より座面を60mm高くし、仕切りとなる肘掛を設け、立ち座りの負担を軽減できるようにした。優先席の対象に「小さなお子さま」を追加し、「小さなお子さまやこども連れの方」も利用しやすくしたという。ベビーカー・車いす利用者のスペースに、介助者が休憩できる腰掛も設けた。
セキュリティー向上のため、車内防犯カメラを各号車に4台、千鳥配置でドア上部(案内表示器の横)に設置する。「地下鉄初」というリアルタイム監視機能を搭載しており、車内で撮影された映像を乗務員が確認できるだけでなく、交通局の職員もリアルタイムで遠隔監視でき、迅速な状況把握を可能にする。リアルタイム監視機能付きの車内防犯カメラについて、福岡市地下鉄の既存車両(空港線・箱崎線の2000N系、七隈線の3000系・3000A系)にも順次導入予定とのこと。4000系に車両情報監視システムも搭載し、運行中の車両状態を遠隔監視することで、車両故障発生時など正確な状況把握を可能にし、迅速に対応できるようにした。
営業列車での本格導入が「世界初」という同期リラクタンスモーターをはじめ、新しい技術も採用。同期リラクタンスモーターは既存車両で使用している誘導モーターよりさらに高効率とのことで、使用電力量について既存車両から約20%程度の低減を見込んでいる。台車はリンク式片軸操舵台車とし、カーブに合わせて車軸が可動することで曲線通過時の走行安全性が向上。スムーズに曲線を通過できることに加え、走行音を低減させることも可能となった。