俳優の織田裕二が、北方謙三の小説が原作のWOWOWドラマ『水滸伝』で主演を務めることが12日、明らかになった。

WOWOW『水滸伝』で主人公の宋江を演じる織田裕二

累計発行部数1,160万部を突破した北方謙三の歴史大河小説『大水滸伝』シリーズ。北方が新たな解釈をもとに大胆にアレンジし、再構築した"北方版"『水滸伝』は、世代を超えて支持を獲得している。その壮大なスケールから映像化が困難と言われた『水滸伝』全19巻をWOWOWで映像化することが決定。超大型連続ドラマとして制作する。

舞台は北宋末期(12世紀初頭)の中国。同じ志を持つ漢たちが"梁山泊"に集い、腐敗した世を正すべく敢然と立ち上がる。主演を務めるのは、これまで日本の映画・ドラマ界を牽引してきた織田裕二。WOWOWのドラマは、『連続ドラマW 頭取 野崎修平』(2020年)以来の出演となる。

織田が演じるのは、梁山泊の頭領・宋江。武力に長けているわけではないが、誠実に紡ぐ言葉とカリスマ性により仲間を束ね、後に梁山泊のリーダーとして同志を導く存在となる。宋江は、世直しの檄文を書き記し、腐りきった国家を倒すべく、壮絶な戦いに身を投じていく。

監督は映画『沈まぬ太陽』(2009年)をはじめ、『Fukushima 50』(2020年)で第44回日本アカデミー賞最優秀監督賞に輝いた若松節朗。織田と若松は、ドラマ『振り返れば奴がいる』(1993年 フジテレビ系)、『お金がない!』(1994年 フジテレビ系)、映画『ホワイトアウト』(2000年)などでタッグを組んできた。。昨今では昨年のNHK BSプレミアムで放送された『ガラパゴス』で話題を集めた。

脚本は舞台『キングダム』をはじめ、ミュージカルやストレートプレイ、アニメやゲームなど幅広いジャンルの脚本を手掛け、今最も注目を集めている劇作家の藤沢文翁。自らが原作・脚本・演出を務めた音楽朗読劇 READING HIGH『ROAD to AVALON』は、「新しいものを創り出す才能と力量がある」と北方をも唸らせた。

■織田裕二 コメント

これほどの長期間の撮影は聞いた事も、もちろんやった事もありません。それを若松監督をチーフディレクターとして若松組の皆さんと一緒にやれる! 今の時代、これほど漢を貫いている人は数少ない。まさに漢を体現している愛嬌溢れるチャーミングでワイルドな兄貴、その人が書いた原作を実写化する。ワクワクするに決まってる。

この超大作を企画したプロデューサーは、まだ30代の青年だと聞いて驚いた。彼は10代の時にこの『水滸伝』に出会ったんだそうだ。そしてキャスト。魅力的な出演者が多いのが、この『水滸伝』。どんな素晴らしい役者とであるか楽しみ。多くの人の胸を借りよう。 この歳でこの様な作品と出会えて嬉しい。人生観が揺さぶられる様な撮影になることを期待して。この閉塞感の続く日本に『水滸伝』は見逃せない。

■監督・若松節朗 コメント

中国の歴史物語『水滸伝』(北方謙三版)がドラマ化される! 圧政に苦しむ民を救うため、巨大権力に立ち向かう革命の物語だ。逆境の中に夢を求めて抗う漢たちの革命は成就するのか、新風は吹くのか? 何十人もの登場人物がそれぞれに個性的に描かれていて群像劇としての魅力も尽きない。映像化にあたり、あまりのスケールの大きさに立ち竦む自分もいる。ここは織田君はじめ出演者のエネルギーを借りるしかない。中国舞台の壮大なドラマの映像化に、今、我々が試されている!

■脚本・藤沢文翁

作家人生でこれほど重責を担う仕事があったでしょうか。初めてお会いした時、そこには『水滸伝』の原作者という"人"ではなく、北方謙三という"文学"が立っていました。それは私という人間が受け止めるには、あまりに巨大なものでした。しかし、先生は「小説家の仕事はペンを置いた時に終わっている。あとは好きに書け」と仰ってくださいました。笑顔をくださいました。私の舞台を観劇してくださいました。熱い盃を交わす夜をくださいました。視聴者の皆様と同じく、私も北方謙三先生の大ファンです。心血を筆に滲ませて、この超大作に向き合わせていただきます。

【編集部MEMO】ストーリー

12世紀初頭、北宋末期の中国。政に興味を示さぬ帝のもと、汚職が横行し、腐敗した国で民たちが苦しみあえいでいた。そんな状況に怒りを覚えた政府の下級役人・宋江(織田裕二)は、世直しを唱える書物「替天行道(たいてんぎょうどう)」を著す。そして、その写本を手に彼の右腕である豪傑僧侶・魯智深(ろちしん)が、同じ志を持つ同志を求めて全国を奔走。近衛軍である禁軍(きんぐん)の武術師範・王進(おうしん)、天下無双の槍の名手・林冲(りんちゅう)、さらには軍のエリート将校・楊志(ようし)らが大きな混乱の渦に巻き込まれていく。同じ頃、"托塔天王(たくとうてんのう)"の名で恐れられる叛徒・晁蓋(ちょうがい)もまた、世直しの機をうかがっていた。宋江と晁蓋は手を組み、梁山湖に浮かぶ巨大な要塞を拠点として戦いに挑むことを決意する。一方、腐敗した宋は、禁軍を筆頭に地方軍も含めた巨大な兵力を有し、さらに幹部の李富(りふ)が実権を握る闇の組織・清蓮寺(せいれんじ)が暗躍。宋江らの前に立ちはだかるのだった。