『源氏物語』を生み出した紫式部の人生を描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)。18日に放送された第31回「月の下で」で、ついに吉高由里子演じる主人公・まひろ(紫式部)が『源氏物語』の執筆をスタートさせた。そのきっかけを作った藤原道長を演じている柄本佑にインタビューし、まひろと道長の関係や、吉高との共演について話を聞いた。

  • 『光る君へ』まひろ(紫式部)役の吉高由里子(左)と藤原道長役の柄本佑

まひろの生涯のソウルメイトで、平安の貴族社会で最高権力者として名を残した藤原道長役を務めている柄本。撮影に入った当初は政権のトップに立つ人という意識ではなく、人間性を大事に演じていたという。

「世間的に持たれているヒールな要素のある道長像というより、実は三男坊で、お兄ちゃん2人が積極的に政治に関わっていて、自分はそんなに政治に前のめりではないのんびり屋さんの三郎くんという部分が大事で、人間味あふれる人物像として演じようというところからスタートしました」

政治に消極的だったところから権力の中枢へと上り詰めた道長。今、最終章に入るあたりまで撮影してきて、「最初に感じていた三郎、三男としての人間性がより大事だなと感じている」と柄本は語る。

「もちろん政治のトップであり、いろいろ意見をしなければいけなかったり、謀をしたり、民のための良き政をするというまひろとの約束を果たすために、彰子(見上愛)を入内させたり。今までの道長と乖離した部分が表れてきていると肌で感じていて、そうした時に、この人は今この地位にいるけど、もともとは三郎くんであるという、そういう人間性は変わらないと思うので、最近になってよりそこを意識するようになっています」

一条天皇へ献上する新たな物語の執筆を依頼

石山寺での逢瀬など、まひろと道長の関係は多くの視聴者をドキドキさせてきたが、ここからはソウルメイトとしての関係がより強くなっていくようだ。

「関係値が変わってきていて、ソウルメイトだからこその信頼関係と、今まで築いてきたものが、違う形で落ち着いてきているなと。一条天皇(塩野瑛久)と彰子のことで悩みに悩んで、まひろに一条天皇へ献上する新たな物語を執筆してくれと頼みに行き、今までの関係性とは違ったものが生まれていますが、それがより強固になっている印象があります」

道長はまひろ自身や文学的才能に惹かれつつ、政治的な狙いもあって『源氏物語』の執筆をまひろに依頼したが、柄本は「政治に向いているけれど、自分の家族の幸せとか、政治ではないベクトルでお願いした感じがします」と解釈。

「ほかの人には見せられないような顔とか情けなさとか、そういったことを唯一出せるのがまひろさんで、一条天皇が彰子さまのところに行ってくれないから何とかしてくれと言えるのもまひろしかいない。今考えてみると非常にパパしていた気がします。うちの娘のために頼むと。頼れるのはまひろしかいないという、そういう世界だと思います」

そして、ソウルメイトについて柄本は「本気を出せる人」と捉えていると言い、「愛し合うことにしても憎み合うにしても弱みを見せられるということにしても、そういうことが本当にできるというか、そうなってしまう。だから良くも悪くも、ものすごくいがみ合ったり怒りであったり、極端な話、本気で決別できて、その狭間がないという印象です」と語った。

ちなみに、まひろが道長との子を妊娠し出産するという展開を知った時は、制作チームの覚悟を感じたという。

「最初にそうなりそうという話は聞いていて、いざそうなった時は、この組はそういうことをするんだという覚悟みたいなものを感じずにはいられず、この組がより好きになりました。そのこと自体に思うというより、それを決断したチームに勇気をもらった気がします」