3番目に注目されたシーンは20時11分で、注目度77.3%。安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)の雨乞いが大成功をおさめるシーンだ。

1004(寛弘元)年の夏、都は干ばつに襲われていた。今の陰陽寮に力のあるものはなく、200年ぶりに行われた一条天皇の雨乞いも効果はなかった。こうなっては、すでに引退した安倍晴明に頼るしかない。左大臣・藤原道長は自ら清明のもとを訪れるが、「雨乞いなど、体がもちませぬ」と、老齢の清明は乗り気ではない。「陰陽寮には、力のある者がおらぬ。なんとかそなたにやってもらいたい」「こうしてお話しするだけでも喉が渇きますのに祈祷なぞ」道長の懸命な説得にも、晴明の意思は変わらない。

「頼む」道長はついに頭を下げた。左大臣が一介の陰陽師に頭を下げたのだ。「何を下さいますか」道長が頭を上げると、「私だけがこの身をささげるのではなく、左大臣様も何かを差し出してくださらねば、嫌でございます」晴明は条件の提示を求めた。「私の寿命…10年やろう」道長にためらいはなかった。「まことに奪いますぞ」「よい」道長の決意の強さを感じた晴明は、「お引き受けいたしましょう」と、ついに雨乞いを引き受けた。

かがり火が燃え、須麻流(DAIKI)が見守る中、「お~!」気合いを込め清明が抜刀する。「竜神、広くあつく、雲をつくり、甘雨を下したまえ。ジャッ! 民のかわきをうるおしたまえ。竜神、広くあつく、雲をつくり、甘雨を下したまえ。」清明の祝詞が天に響き、雲が集まってきた。「雲をつくり、甘雨を下したまえ。ヘッ」こん身の力を込め雨乞いを続ける晴明だが、体力が限界に近づいている。

「民のかわきをうるおしたまえ」都を黒雲が覆った。執筆中のまひろは急に暗くなった空を見上げた。雷雨が都に降り注ぐ。町民が歓喜の声をあげ、いとと乙丸(矢部太郎)も大きな甕(かめ)を運んでくる。力を使い果たした晴明は倒れていた。道長は降りしきる雨を見て安堵の表情を浮かべた。

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ユースケ・サンタマリアの鬼気迫る雨乞いに称賛

ここは、晴明の人智を超えた力に、視聴者の視線が集まったと考えられる。晴明の鬼気迫る(ウケ狙いな気がしなくもないが)雨乞いの様子は、インパクトの強いワンシーンだった。すでに80歳を超えている晴明は、最初は道長の依頼に乗り気ではなかった。しかし、現役の天皇が行う200年ぶりの雨乞いが全く効果がなかったにもかかわらず、一発で大雨を降らせた晴明は稀代の陰陽師の面目を十分にほどこしたと言えるだろう。

SNSでは、「今週一番光っていたのは安倍晴明だ」「安倍晴明凄すぎる」「ユースケ・サンタマリアの雰囲気が完璧」「クールでカッコいい」など、晴明を今回のMVPに推す声が多く見られた。さらに、心身ともに絶不調の道長に、暗にまひろに会うことを示唆し、このことが『源氏物語』を生み、道長陣営の躍進につながっていくと考えると、晴明の功績は陰陽師の枠に収まらない抜群のものと言える。

ただ、晴明の没年は1005年なので、かなり間近に迫っている。『光る君へ』では、目立った出番をあてがわれる→あっさりナレ死、という恐ろしいコンボが流行しているので、晴明ももしやと思ってしまう。