2023年までのNISA制度では、つみたてNISAにおける年間投資上限額は40万円(月額3万3,333円)だったため、上限の3万円でも問題ありませんでした。しかし、この2024年1月から開始された新NISA制度は、つみたて投資枠の年間投資上限額は120万円(月額10万円)まで引き上げされたことで、クレカ積立の上限額の引き上げが注目されていました。

そして3月8日に内閣府令「金融商品取引業等に関する内閣府令」が一部改正され、クレジットカードによる投資信託の積立購入(クレカ積立)の上限額が、月5万円から月10万円に引き上げられました。これを受けて、SBI証券や楽天証券など証券各社がクレカ積立の上限額を月10万円へ引き上げの発表をしています。

そもそもクレカ積立とは、投資信託の積立金を口座引き落としではなく、クレジットカードで決済できるサービスです。クレカ積立に設定しておくことで、口座にお金を入金し忘れていても、クレジットカードで決済され、後日ショッピング利用分などと一緒に引き落としになるため、入金の手間を省くことができます。さらにクレジットカード決済によるポイントが付与されるので、ポイ活にもなるというものです。

主な証券会社の対応状況(3月19日現在)をまとめました。

楽天証券

楽天証券は3月10日以降積立分から対応しています。もともと楽天ペイとの併用で10万円の積立投資は可能でしたが、3月10日以降の積立設定分(4月積立購入分)より、楽天証券の投信積立「楽天カード」クレジット決済において、上限額を月5万円から月10万円に引き上げられました。

ポイント還元率は、カードのステイタスと代行手数料年率「楽天カード」は0.5%もしくは代行手数料※年率0.4%(税込)以上の銘柄は1%、「楽天ゴールドカード」は0.75%もしくは代行手数料年率0.4%(税込)以上の銘柄は1%、「楽天プレミアムカード」は全ての銘柄1%分の「楽天ポイント」が付与されます。また、引き上げ記念キャンペーンも実施しています。※代行手数料とは、投資信託を保有している人が支払う経費(信託報酬)のことです。

  • 楽天証券キャンペーン(楽天証券公式サイトより引用)

auカブコム証券

auカブコム証券は、auPAYカード決済による投資信託の積立の月額上限を3月15日から10万円に拡大しました。 4月5日までに設定又は変更することで、5月1日以降の指定日分から月額最大10万円までの積立が可能となりました。

また、Pontaポイントの還元率は1%で、毎月10万円を積み立てると、月々1,000Pontaポイント、1年間12,000Pontaポイントをためることができます。

また、au経済圏必見! 「auマネ活プラン」に加入し、「NISA口座」と「au PAY ゴールドカード」保有で、クレカ積立のPontaポイント還元率が「合計最大3.0%」で通常の3倍になる(12ヵ月限定)キャンペーンを実施中。※13ヵ月目以降は「最大2.0%」となります。

  • auカブコム証券キャンペーン(auカブコム証券公式サイトより引用)

SBI証券

SBI証券はクレジットカード決済による投信積立サービスの上限額を月5万円から月10万円に引き上げると発表しました。同社では、クレカ積立に利用できるクレジットカードはすべて10万円への上限額引き上げの対象となります。なお、積立設定可能額引き上げの実施時期や、引き上げ実施後のポイント付与率などは、決定次第案内されるとのことです。

SBI証券と連携する投信積立サービス「三井住友カード つみたて投資」も10万円への引き上げを発表していますが、付与率などの各種条件は現在検討中とのこと。

以前にも記事にしましたが、2024年3月現在、SBI証券と三井住友カードの組み合わせでは、三井住友カードの種類によってポイント付与率が異なり、通常のカードでは0.5%、ゴールドカードでは1%、プラチナカードは2%、プラチナプリファードでは5%です。

ゴールドカードやプラチナプリファードでは年会費がかかりますが、ゴールドカード(NL)の場合は、年間100万円の利用等で年会費5500円が永年無料になりますし、プラチナプリファードでは毎月5万円のクレカ積立をすれば年会費33,000円の9割に相当する3万ポイントが溜まるため、実質3000円の年会費で済む計算になります。

仮に上限が10万円になり、かつ付与率といった条件変更がない場合はプラチナプリファードでも十分年会費が回収できることになります。

もしそうなった場合、将来的には付与率を減らしたり、上限を設けるといった改悪の可能性があることはポイ活あるあるですので、あくまでも投資の延長線上にあるおまけと思って利用するのがよさそうです。

ここまでは前回の記事で触れた内容です。

恐らく付与上限や付与率の改悪が予想されます。このあたりも新しい情報が出ましたら、記事にしたいと考えています。

マネックス証券

マネックス証券では2024年4月買付分より積立上限額を月10万円に拡大することを発表しました。3月25日(予定)から10万円上限での2024年4月買付分の申し込みを受け付けます。

ポイント還元率は金額によって変動することになり、5万円まではこれまでと変わらず1.1%のポイント還元率ですが、5万円超~7万円以下は0.6%、7万円超~10万円以下は0.2%になることに注意が必要です。

  • マネックス証券ポイント還元率(マネックス証券サイトより引用)

買付金額は銘柄毎ではなく、毎月のクレカ積立額の合算になります。

例として、毎月10万円で積立した場合5万円分は550pt、5~7万円は120pt、7~10万円は60ptの合計730ptが毎月マネックスポイントとして付与されることになります。

また、マネックス証券は、2024年1月にNTTドコモと業務提携を開始しました。dカードによるクレカ積立は、2024年夏頃提供開始予定となることを発表していますので、こちらもどのような付与率になるのかが注目されます。

新NISAのつみたて投資枠のクレジットカード積立が10万円まで拡大されたことにより、各社対応が異なります。つみたて投資枠は、長期・積立・分散投資を意識しながら、無理せずできる範囲でコツコツと投資をすることをおすすめします。