JR大阪駅周辺、すなわち梅田エリアはJR西日本、阪急電鉄、阪神電気鉄道、大阪市高速電気軌道(Osaka metro)の電車が乗り入れる。ターミナル駅が会社ごとに分散しているだけに、関西はもちろん、国内でも屈指の乗換えが複雑なエリアといえるだろう。

  • JR西日本で最も利用者数が多い大阪駅

梅田エリアは地下街も複雑に入り組んでおり、ゆえに「梅田ダンジョン」とも呼ばれるほど。春から関西に住む人が梅田エリアに行けば、きっと戸惑うに違いない。そこで今回、梅田エリアを散策しつつ、複雑な乗換えの「攻略法」について考えてみることにした。なお、当記事の情報は2024年2月時点のものである。

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梅田エリアは駅名からして複雑

そもそも梅田エリアは駅名からして複雑といえる。まずは関西屈指の主要駅であるJR西日本の大阪駅。地上をJR京都線・JR神戸線(東海道本線)、大阪環状線などの列車が行き交い、2023年3月には、大阪駅(うめきたエリア)として新たな地下ホームが開業した。関西空港方面の特急「はるか」、南紀白浜方面の特急「くろしお」が停車するほか、おおさか東線の列車も大阪駅(うめきたエリア)発着で運転されるようになった。

  • JR大阪駅の構内案内図

  • 大阪駅(うめきたエリア)に通じるうめきた地下口

  • 大阪駅(うめきたエリア)周辺では再開発が進む

大阪駅(うめきたエリア)の存在は、東京駅に例えると総武快速線・横須賀線地下ホーム、あるいは京葉線地下ホームに似ている。従来の大阪駅ホームから大阪駅(うめきたエリア)の地下ホームまで、駅西側の地下連絡通路を利用する。しつこいようだが、大阪駅(うめきたエリア)はあくまで大阪駅の一部であり、独立した地下駅ではない。

阪急電鉄、阪神電気鉄道はそれぞれ独立したターミナル駅を持ち、ともに大阪梅田駅を名乗る。両駅とも2019年9月まで梅田駅だったが、国内外の観光客を意識し、「大阪」を冠した駅名となった。

  • 阪急電鉄の大阪梅田駅に併設された阪急百貨店阪急うめだ本店

  • 阪神電気鉄道の大阪梅田駅は地下駅

大阪市内を縦横無尽に走る地下鉄、大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)の駅名事情も複雑で、最も利用者の多い御堂筋線は梅田駅、同社最長の路線である谷町線は東梅田駅、御堂筋線のバイパス線にあたる四つ橋線は西梅田駅を名乗る。これら3駅は改札外での乗継ぎが認められており、乗継ぎ時間は30分以内とされている。

西梅田駅に隣接する駅として、JR東西線の北新地駅もある。JR東西線は尼崎駅と京橋駅を結ぶ地下路線で、京橋駅から学研都市線(片町線)、尼崎駅からJR宝塚線(福知山線)・JR神戸線(東海道・山陽本線)へ乗り入れる。北新地駅は独立した地下駅で、大阪駅とは条件付きで同一駅とみなされる場合があるとのことだが、両駅間は離れている。北新地駅西口改札から大阪駅中央口改札まで、徒歩で約6分を要する。

  • JR東西線の北新地駅と四つ橋線の西梅田駅は近接している

ここでもう一度整理したい。梅田エリアに存在する駅を会社別に分けると、JR西日本は大阪駅と北新地駅、阪急電鉄は大阪梅田駅、阪神電気鉄道も大阪梅田駅、大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)は梅田駅、東梅田駅、西梅田駅となる。

御堂筋線梅田駅への乗換えは

ここからは、梅田エリアで乗降りする頻度が高いと思われる御堂筋線梅田駅への乗換え方法を確認したい。御堂筋線は大阪の二大繁華街である「キタ」の梅田と「ミナミ」の難波(なんば)を結び、終日にぎわっている。

大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)の路線図を見ると、四つ橋線もなんば駅へ乗り入れるが、四つ橋線のなんば駅と御堂筋線のなんば駅は離れているので注意が必要。四つ橋線のなんば駅から近鉄線・阪神なんば線の大阪難波駅への乗換えは可能だが、南海電鉄の難波駅は離れた場所にあり、乗換えに時間がかかる。そもそも四つ橋線のなんば駅は中心部から離れている。関西圏の人々は梅田から難波へ行く際、御堂筋線の利用が一般的と考えられる。

JR大阪駅から御堂筋線の梅田駅へ行く場合、大阪駅の東側に位置する御堂筋口改札の利用が便利。大阪駅御堂筋口改札から梅田駅北改札まで、徒歩約2分である。ただし、このルートは通勤時間帯など非常に混むので注意してほしい。

阪急電鉄の大阪梅田駅から御堂筋線の梅田駅へ行く場合、大阪梅田駅の2階中央改札口の利用をおすすめしたい。見通しが良く、自動改札機がずらりと並ぶ3階改札口を思わず利用したくなるが、御堂筋線の梅田駅へ行く場合は遠回りになるので要注意。大阪梅田駅(阪急電鉄)2階中央改札口から梅田駅北改札まで、徒歩2分で着く。

阪神電車から御堂筋線へ乗り換える場合、大阪梅田駅(阪神電車)東口改札から梅田駅南改札まで徒歩45秒。梅田駅南改札から御堂筋線の電車も見え、改札機からホームまでの距離も近い。

  • 谷町線の東梅田駅

谷町線の東梅田駅、四つ橋線の西梅田駅にも言及しておこう。じつは両駅とも、JR西日本、阪急電鉄、阪神電車の中で最も乗換え時間の短い駅は阪神電車の大阪梅田駅だった。大阪梅田駅(阪神電車)東口改札から東梅田駅(谷町線)中東改札まで、地下街の「ホワイティうめだ」を経由して徒歩3分で着く。なお、島式ホームの梅田駅(御堂筋線)に対し、東梅田駅(谷町線)は相対式ホームとなっている。1番線ホーム(天満橋・天王寺・八尾南方面)へは中東改札、2番線ホーム(都島・大日方面)へは中西改札を利用することになる。

阪神電車の大阪梅田駅から四つ橋線の西梅田駅へ乗り換える場合、大阪梅田駅(阪神電車)の西口改札を利用すれば、西梅田駅中改札まで徒歩1分30秒で着く。注意点として、西梅田駅は中改札の手前に北改札もあるが、北改札は降車専用となっている。ちなみに、阪急電鉄の大阪梅田駅から四つ橋線の西梅田駅へは徒歩10分以上を要し、ルートもややこしい。先述の通り、四つ橋線も御堂筋線もなんば駅へ乗り入れるし、その先の大国町駅で対面乗換えも可能なので、梅田エリアでの阪急電鉄から四つ橋線への乗換えは避けたほうが無難かもしれない。

  • 梅田エリアを循環する「うめぐるバス」

もし梅田エリア内で徒歩移動が難しい場合、阪急バスが運営する「うめぐるバス」に乗車するのも良い。「うめぐるバス」は梅田エリアの各駅に立ち寄る100円循環バスとして運行されている。

梅田エリアの待ち合わせ場所はどこが良いか

新年度がスタートすると、歓迎会等で梅田エリアに行く機会もあるだろう。その際、幹事を困らせるのが待ち合わせ場所だと思われる。複雑な梅田エリアで待ち合わせるならどこが良いだろうか。

阪急電鉄の大阪梅田駅であれば、2階中央改札口を降りたところにある阪急ターミナルビジョン「BIG MAN(ビッグマン)」の前がおすすめ。画面の大きさが200インチを超え、とにかく目立つ。阪急電鉄だけでなく、JR大阪駅や御堂筋線の梅田駅、谷町線の東梅田駅からもアクセスしやすい。待ち合わせ時間まで余裕があるなら、隣の紀伊國屋書店梅田本店で時間を潰すのも良いだろう。

JR大阪駅だと、駅ビルの大阪ステーションシティ5階にある「時空(とき)の広場」も考えられるが、吹きさらしに近く、季節によっては少々寒い。個人的におすすめするのは連絡橋口改札前。改札口の外に柱がないため、視認性にも優れる。付近にベンチがあり、座って待つこともできる。

  • 御堂筋線梅田駅の近くには庶民的な新梅田食堂街がある

筆者も長く関西に住んでいるが、じつはいまでも梅田エリアで迷うことがある。とくに地下街は本当にわかりにくい。もし迷ったら、闇雲に歩くのではなく、一度落ち着いて地図アプリを見るか、近くの店舗スタッフに尋ねることもおすすめしておきたい。