テレビの広告主・広告会社を対象にした民放キー局5社による共創イベント「テレビカンファレンス2023」がこのほど、都内で初開催され、各ジャンルの制作者が局の垣根を越えて登壇した。

「報道番組」のセッションでは、テレビ朝日『報道ステーション』の柳井隆史チーフプロデューサーと、テレビ東京『WBS(ワールドビジネスサテライト)』の石原淳子チーフプロデューサーが登場。裏同士のライバル番組の責任者が、ネットに情報があふれる中で信頼の獲得や現場重視などの意識を語った。

  • 『報道ステーション』柳井隆史チーフプロデューサー(左)と『WBS』石原淳子チーフプロデューサー

    『報道ステーション』柳井隆史チーフプロデューサー(左)と『WBS』石原淳子チーフプロデューサー

徹底した差別化の中での苦悩

司会の笠井信輔アナに、番組作りにおける意識を聞かれると、柳井氏は「コロナのニュースをお伝えすることが多かった中で実感したのは、非常に多くの情報がスマホを含めて流れる中で、我々がどれだけ本物のニュース、ファクトチェックしたニュース、煽らないニュースを流すことができるかということ。もしかしたらそこが一番我々に求められるのではないかということを非常に痛感しました。どこが何を発表したのか、誰が何を言ったのか、そういうところにより気をつかってお伝えすることが求められることではないかと強く感じましたし、それは今も変わらない。ウクライナの戦争もイスラエルの戦争もそうですが、どこが出した情報なのか映像なのか分からない時代に、今我々がニュース番組をやっているのは、そういうところが一番大事なんじゃないかなと思っています」と説明。

それを受け、石原氏は「情報がものすごくあふれて、アクセスできる情報源がいろいろある中で、『WBS』という番組は経済ニュース番組として徹底して差別化した番組作りをしていかないと皆さんにも見ていただけないと思っていまして、他では見られない付加価値のある番組作りを心がけてやっています」と語る。ただ、専門性の高い経済ニュースをどこまで深掘りするかは、悩みどころではあります。そこで自分事として捉えていただけるように、日銀の金融政策など難しいニュースをトップでお伝えしなくてはいけないときは、“私たちの生活はどうなるんだろうか”、“それはお得なことに結びつくのかどうか”というところを入口に持っていけるように、なるべく努力しています」と工夫を凝らしているそうだ。

  • 司会を担当した笠井信輔アナ

現場取材で“手触り感”を

ネットでニュースが見られる時代という中での意識を聞かれると、柳井氏は「ネットで見たニュースの先にある“手触り感”と言いましょうか。具体的に言うと、直接話を聞きに行くということをちゃんと積み重ねていけば、テレビニュースならではの信頼感というものをお伝えできるんじゃないかと考えています」と回答。

石原氏も「例えば新商品の発表会に行って、もちろんその商品の特徴をお伝えするのもありますが、やっぱり目で見てどこが新しいのか、どこが機能として消費者にとって便利なのかということを現場に行って確認することも大事だと思うんです。ただ、それだけお伝えすると宣伝にもなってしまいますので、課題はないのか。使いづらいところや、これからまだ開発余地がある伸びしろみたいなところがあるのかどうかというのは、流れてくる情報やプレスリリースだけでは分からないので、現場に行って自分で確認して取材するということは、非常に大事だと思います」と同調した。