「ご相談に乗っていただき」とは、相手に相談を持ち掛けるとき、相手に謝意を伝えるときの2通りの使い方ができるフレーズです。
本記事では「ご相談に乗っていただき」という言葉を分解し、詳しい意味を紹介。具体的な使い方と例文、上司など目上の人へのメールの具体例や、類語もまとめました。
「ご相談に乗っていただき」の意味とは
「ご相談に乗っていただき」とは、「ご相談に乗っていただきたいことがあるのですが、よろしいでしょうか」のように、相談に乗ってくれるよう依頼したり、「先日はご相談に乗っていただきありがとうございました」のように、相談に乗ってくれたことに対してお礼を述べたりするときに使える、丁寧なフレーズです。
言葉を分解し、もう少し詳しく意味を見ていきましょう。
「相談に乗る」の意味とは
「相談」は、「問題解決のためや、今後どう行動するかを決めるために、話し合ったり他者の意見を聞いたりすること」という意味があります。
「乗る」には、物の上に上がるなど複数の意味がありますが、ここでは「誘いに応じて相手になる、参画する」といった意味となります。
よって「相談に乗る」とは、相手から持ち掛けられた話し合いに応じること、相手から意見を求められて助言を行うこと、といった意味になります。
「相談する」という行為の主体は相談をする側であるのに対して、「相談に乗る」という行為の主体は相談された相手です。相談を持ち掛けられた側が了承し、相談を受け入れることで初めて、「相談に乗る」という行為は成立します。
「ご相談に乗っていただく」は、上司や年上など、目上の人に使うことができる敬語表現
「ご相談」とすることで、「相談」を丁寧に表現し、相談に乗ってくれる相手に対する敬意を示しています。
「いただく」は「もらう」の謙譲語です。「人から物を与えられる」「人に頼み、または許しを得て自分のものにする」という意味を含んでいます。
また「乗っていただく」とすることで「乗る」の補助動詞の働きをしていて、話し手または動作の受け手にとって恩恵となる行為(=相談に乗ること)を受けるという意味を表しています。
これらの意味を合わせて考えると、「ご相談に乗っていただき」は下の立場に立った話し手または動作の受け手が、相談に乗ってくれる相手に敬意を払い、用いる言葉であると説明できるのです。
「ご相談に乗っていただき」の使い方と例文|1.相手に相談を持ち掛ける場合
先ほど少し触れたように、「ご相談に乗っていただき」とは、相談に乗ってくれるよう依頼したり、相談に乗ってくれたことに対してお礼を述べたりするときに使えるフレーズです。
まずは相手に相談に乗ってくれるよう依頼する、つまり相談を持ち掛ける際の使い方を見ていきましょう。
【例文】
・「新しいマーケティング戦略を思いついたので、ご相談に乗っていただきたいのですがよろしいでしょうか。」
・「明日のプレゼンテーションについて、ご相談に乗っていただきたいことがございます。」
このように、ある物事について、自分の考えを告げた上で、アドバイスをもらいたい、というときに使用できるフレーズです。
【例文】
・「人間関係で悩んでいて、ご相談に乗っていただきたいのですが…。」
またこのように、漠然とした悩みに対して、話を聞いてほしいというときに使用することもあります。
メールで伝える場合
「ご相談に乗っていただき」を用いて相手に相談を持ち掛ける場合のメールの例文も見ていきましょう。特にビジネスメールでは、相手に失礼がないように心掛けながら、要点を端的にわかりやすく伝える必要があります。
件名:新規事業についてのご相談
△△部長
お疲れ様です、◯◯部◯◯課の◯◯です。
次回の新規事業の企画会議において新規事業の案をプレゼンテーションすることになったのですが、その内容が経営層の目的に合っているかどうかの確信が持てずに悩んでいます。
そこで、普段から経営会議に参加されている△△部長に、ご相談に乗っていただきたいと思い、連絡いたしました。
時間や面談方法についてはご希望に合わせますので、どこかで30分程度お時間をいただけないでしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。
「ご相談に乗っていただき」の使い方と例文|2.相手に謝意を伝える場合
次に、相談に乗ってくれたことに対してお礼を述べるときの使い方を見ていきましょう。
【例文】
・「先ほどは新入社員のOJTの件でご相談に乗っていただき、ありがとうございます。」
・「先日は今後のキャリアプランについて、親身になってご相談に乗っていただき、誠にありがとうございました。」
「相談」というこちらからのお願いを受けてくれたこと、自分のために親身になり時間を割いてくれたことに感謝している心情が伝わります。
例文のように、何の件について謝意を表しているのかを添えるとわかりやすいでしょう。
メールで伝える場合
「ご相談に乗っていただき」を用いて、相談に乗ってくれたことに対してお礼を述べる場合のメールの例文も見ていきましょう。
何か相手に相談をした際、結論が出るまでには時間が掛かることが多々あります。しかし、謝意を伝えるのに、結論が出るのを待っていては遅すぎます。まずは、相談に乗ってくれたという行為そのものに対して、すぐに謝意を伝えるべきです。
件名:【お礼】時間の使い方のご相談に乗っていただきありがとうございました
△△課長
お疲れ様です、◯◯部◯◯課の◯◯です。
先ほどは効率的な時間の使い方についてご相談に乗っていただき、ありがとうございました。
すぐに実践できることが多く、早速日々の営業活動に取り入れたいと思います。
具体的な成果がでましたら、改めてご報告させてください。
今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
また、アドバイスをした身としては、自分のアドバイスのどのような部分が相手に響いたのかが気になるものです。
以下の例文のように、そういった部分をきちんと言葉にして伝えることで、「また相談に乗ってあげよう」と思ってもらえるでしょう。
件名:【お礼】商談後、ご相談に乗っていただきありがとうございました
△△さん
お疲れ様です、◯◯部◯◯課の◯◯です。
本日は、商談に同行していただいた後にご相談に乗っていただき、誠にありがとうございました。
自分では何が悪いのかがわからずにいたのですが、頂いたアドバイスによって改善ポイントがわかったような気がします。
特に商談中の「視線」については意識できていなかったので、次回から早速気を付けたいと思います。
お忙しい中、わざわざ私のために時間を割いていただき、本当にありがとうございました。
次に同行していただく際には、成長した自分を見ていただけるように、より一層頑張りたいと思います。
「ご相談に乗っていただき」の類語・言い換え表現
相手に依頼をする場合に、相手や場面によっては、「ご相談に乗っていただき」よりもより具体的な言葉を使用した方がいいケースもあります。それぞれの意味や効果、具体例についてご紹介します。
アドバイスをいただき
「アドバイスをいただき」は、非常に直接的な表現です。特定の問題について具体的なアドバイス(助言)が必要なのであって、話し合いをする時間は求めていません。
【例文】
「プレゼンテーション資料についてアドバイスをいただきたいのですがよろしいでしょうか。」
ご意見をうかがい
「ご意見をうかがい」は、お互いが対等の立場で話し合いをするというよりは、相手に敬意を払い、相手の意見を重視する姿勢を示しています。
【例文】
「この見積金額についてご意見をうかがいたいのですが、いかがでしょうか。」
ご指導いただき
「指導」は、ある目的や方向に向かって教え、導くことを意味します。
「ご指導をいただき」には、一度限りではなく、継続した関わりを求めているというニュアンスが含まれるでしょう。
【例文】
「本プロジェクトの進行について、ぜひ経験者の○○さんにご指導いただきたいと思っております。」
助けていただき
「助ける」は、力を貸すことにより、危険な状態から脱するようにしたり、物事がうまくいくようにしたりすることです。
依頼する相手が経験豊富な場合や、専門的な知識を持っている場合に使用することが多いです。解決する手段は特に指定していないので、相手に委ねられています。
【例文】
「交通事故を起こしてしまったので、保険関連の手続きについて助けていただきたいのですが…。」
お力を貸していただき
「力を貸す」は援助する、手助けをするといった意味です。こちらも解決する手段は特に指定していないので、相手に委ねられています。
【例文】
「○○の件で稟議(りんぎ)を通すにあたり、お力を貸していただきたいのですがよろしいでしょうか。」
「ご相談に乗っていただき」をビジネスシーンで使いこなそう
「ご相談に乗っていただき」は、相談に乗ってくれるよう依頼したり、相談に乗ってくれたことに対してお礼を述べたりするときに使えるフレーズです。
言い換え表現も多いので、使用する場面や相手、自分の心情を考えて、最もふさわしい表現を使用するように心掛けましょう。