「尽力いたします」「尽力させていただきます」「ご尽力いただきありがとうございます」などの形で、ビジネスシーンにおいてよく見聞きする「尽力」。

本記事では、「尽力」という言葉の意味や使い方をわかりやすく紹介します。例文や注意点、「お力添え」との違いや、その他の言い換え、英語表現についても見ていきましょう。

  • パソコンをみながらメモをとる人

    尽力という言葉を使えるようになりましょう

尽力の意味や読み方とは? 努力とは違う?

尽力とは、あることのために力を尽くすことを意味し、多くの場合、これは他人のためにすることです。

似たような言葉に努力というものがありますが、これは自分のためであることが多く、尽力という言葉とはややニュアンスが異なります。

「尽力」は「じんりょく」と読みます。

  • パソコンと資料を使って相談している様子

    尽力の意味を学びましょう

ビジネスシーンにおける尽力の使い方と例文

ビジネスシーンにおいてよく使う「尽力」を含んだフレーズを紹介しながら、尽力の使い方について説明していきます。

尽力いたします

基本的に使われるのはこのような形です。改まった場面で決意表明などをする際、「頑張ります」という言葉を「尽力いたします」に変えると、よりスマートな印象を持たせられます。

仕事の依頼を受けるときや上司からの指示に対して使えると、自身の誠意を示せるでしょう。

「この度はご指名いただきありがとうございます。ご期待に添えるよう、尽力いたします」などの形で使用します。

尽力して参ります

「尽力して参ります」という使い方も可能です。「参ります」という言葉は謙譲語のため、相手への尊敬の念がより込められた言葉です。そのため意味は同じですが、細かい部分で話し相手により使い分けることも重要となるでしょう。

「今後も、一層尽力して参ります」などの形で使います。

尽力させていただきます

「尽力させていただきます」は先ほど紹介した「尽力いたします」「尽力して参ります」と同じような意味ですが、「させていただきます」は「相手に許可を得て~することを許してもらう」という意味の謙譲語です。そこから転じて「許可を得ていなくても相手の好意による恩恵を受けて、何かをすることを許してもらう」という意味を込めることができます。

「少しでも力になりたい」「微力ながら力を貸したい」といったようなニュアンスで使うといいでしょう。ただし許可を得るべき場面ではないのに「させていただく」を使うことは過剰な表現だという意見もあるので、使いすぎには注意しましょう。

「微力ながら、尽力させていただきます」などの形で使用します。

  • ネクタイを締め直すサラリーマン

    ビジネスシーンでの尽力の使い方を学びましょう

尽力の敬語表現「ご尽力」の使い方と例文

ここまでは尽力の意味と一般的な使い方を説明してきましたが、ここからは尽力の敬語表現「ご尽力」について、状況に応じた使い方と併せて説明していきます。

ビジネスシーンで正しい使い方ができれば、良い印象を与えて信頼度もグッと上がるでしょう。

上司など目上の相手の行動に使う

相手の行動に対して「尽力」という言葉を使う場合は、尊敬を表す接頭語を加えて「ご尽力」という言葉に言い換えましょう。使い方としては、「御社が特にご尽力されている分野を教えてください」などです。

一方、自分の行動に対して「ご尽力」という使い方は誤りですので注意が必要です。

感謝を伝えるときに使う

相手の協力に対し感謝の意を示す場合でも、「ご尽力」という使い方をしましょう。

「ご尽力いただき、ありがとうございます」などの使い方が一般的です。他人に協力してもらったことにより、大きな成果が出た場合など、感謝の意を強く示したい場面で使うのがいいでしょう。

成果が得られたときに使う

相手の力添えのおかげで成果が得られた場合、「ご尽力の賜物(たまもの)」といった使い方をします。例えば「この結果が得られましたのも部長のご尽力の賜物であると、深く感謝申し上げます」などの使い方が可能です。

また「ご尽力のおかげで」という使い方も可能です。「〇〇様のご尽力のおかげで、〇〇できました」などの言い回しも、感謝を伝えるのと同時に使えるようになりましょう。

謝罪するときに使う

協力があった上で、期待していた成果を出せなかった場合でも、尽力という言葉は使えます。

この場合、感謝の時と同様「ご尽力」という言葉に置き換え、「ご尽力いただいたにもかかわらず、十分な成果を得られず申し訳ありません」などの言い方が適当です。

謝罪の際は特に言葉遣いに気をつける必要があり、相手に失礼がないよう適切な言い回しを心掛けましょう。

  • パソコン作業をする人

    尽力の敬語表現をビジネスシーンで使えるようになりましょう

尽力を使うときの注意点について知ろう

ここからは、尽力を使う際の注意点について説明していきます。丁寧な言葉を覚えていても、やはり使い方が誤っていればあまり良い印象を与えることはできません。

重言などの誤りは、わかったとき特に恥ずかしいものになってしまうので、最低限覚えておく必要があります。

「尽力を尽くす」は二重表現であり間違った使い方

「尽力を尽くす」という使い方は正しくありません。「尽力」という言葉自体に「力を尽くす」という意味が込められているため、「尽力を尽くす」だと二重表現となってしまいます。

似たような間違いで「頭痛が痛い」などがパッと思い浮かべられるのではないでしょうか。このような間違いを重語と言い、強調するような意味を除き、多くの場合は誤りとなるので注意が必要です。

また、「尽力を注ぐ」という使い方も誤りなので注意してください。基本的には、「尽力いたします」が正しい使い方となります。

自分がすでに行ったことに対しては使わない

自分がすでに行ったことに対して「尽力しました」という使い方は誤りです。何かを行う前に「尽力いたします」という使い方が正しく、イメージ的には決意表明のような感じになります。

そのため、自分がすでに行ったことに対しては「協力いたしました」などの言葉に言い換えるのが正確と言えるでしょう。

力を尽くすという意味合いを持つだけに、「尽力しました」と言ってしまうと非常に押し付けがましくなってしまいます。この誤用に関しては、相手にも失礼なものとなってしまうため、特に注意が必要です。

お願いするときには使わない

「ご尽力をお願いいたします」など、協力をお願いする際に用いるのは誤りです。

「尽力」という言葉の意味を理解していればわかりますが、「自分のために力を尽くしてください」というのは非常に厚かましくなってしまいます。このような間違いも上記のものと同様、相手に失礼となってしまう可能性がありますので、目上の人はもちろん、誰かに依頼をする際は「尽力」を使わないように気を付けましょう。

もし相手に何か手伝ってほしい場合などは、「お力を貸してください」あるいは「お力添えをお願いいたします」などの言い回しをするといいでしょう。

  • 何かを書いている様子

    尽力を使う時の注意点を知り、正しく使いこなしましょう

尽力の語源とは

「すべてを出し尽くす」や「すべてを費やす」などの意味を持つ「尽」という字と、「肉体的あるいは精神的なちから」や「つとめる」という意味を持つ「力」という字が組み合わさったことにより、「すべての力を出し尽くす」というような意味になりました。

目標や目的を成し遂げるために、一生懸命、力の限り、精いっぱい、全身全霊取り組むことを表します。

ご尽力とお力添えとの違い

「お力添え」とは、他人の仕事などを手助けすること、力を貸すことという意味の言葉です。

そのため、他人からの手助けがあった場合、あるいは他人に手助けをお願いする場合に「お力添えをいただきありがとうございます」や「お力添えをお願いいたします」などと使います。

ポイントの一つとして、「ご尽力」が目標の達成や事態の解決のために力を尽くす、つまり精いっぱい奔走するという意味があるのに比べ、「お力添え」はそれよりは軽い意味合いで、ちょっとした助言をもらうなど、ささいな物事に対して使える言葉という点です。何かアドバイスをもらいたいなどの場面で使えます。

尽力の類語・言い換え表現

ここからは尽力の類語について説明していきます。前述の「お力添え」のほかにも似た意味を持つ言葉がありますので、いくつかご紹介します。似たような意味合いを持つ言葉でも、使う場面や正しい使い方などは微妙に違ってくるので、覚えておくといいでしょう。

注力とは

尽力の類語の一つとして、注力というものがあります。これには尽力と同じように、ある物事に力を注ぐという意味合いがあります。

しかし、尽力はすべての力を出し尽くすという意味合いを持つのに対し、注力には必ずしもすべての力を出し尽くすという意味合いは持ちません。

そのため、「全力で励みます」などの意気込みを表す場合には、「尽力」という言葉を用いるのが正しいです。状況と自身の意思に応じて2つの言葉を使い分けられるようになりましょう。

ご助力とは

お力添えと似た意味を持つのが、手助けを意味する「助力」の敬語表現である「ご助力」です。

「ご助力」はお力添えと同様に、他人からの手助けを指します。相手の手助けに感謝を伝えたい場合のほか、依頼やお詫びでも使えます。

ご協力とは

目的に向けて力を合わせることを意味する「協力」の敬語表現である「ご協力」も、他人からの手助けを意味します。

「ご協力」もお礼で使えるほか、「ご尽力」と異なり、手助けを依頼する場合にも使えます。

  • 新聞を読む男性

    尽力の類語を学び、正しく使い分けましょう

尽力の英語表現について学ぼう

「尽力」または「ご尽力」の英語表現は「assistance」や「support」が使われます。「assistance」は支援、「support」は支えるなどの意味があります。

  • I really appreciate your assistance.
    (ご尽力いただき、ありがとうございます)
  • I really appreciate your support.
    (ご支援いただき、ありがとうございます)

「尽力」という言葉の正しい使い方を覚えてビジネスシーンに生かそう

尽力という言葉は、自身の誠意を示すための言葉として重要なものです。特に「頑張ります」などの言葉を「尽力します」という言い方に変えるだけでも、とてもスマートな印象を与えられるのではないでしょうか。

また、感謝の意味を示す言葉でもあるので、ビジネスシーンでのコミュニケーションで使えるよう、覚えておきましょう。