「壁打ち」は、スポーツ用語、ビジネス用語、ネットスラングとして、それぞれ異なる意味を持ちます。

本記事では「壁打ち」の詳しい意味やそれぞれの使い方と例文を紹介。ビジネスで壁打ちをすることで得られるメリットや、言い換え表現もまとめました。

  • 壁打ちとは

    壁打ちの3つの意味や、それぞれの使い方と例文、言い換えなどを紹介します

「壁打ち」の3つの意味とは

「壁打ち」は、現在主に3つの意味で使われています。ここでは、「壁打ち」の3つの意味と使用されるシーンについて紹介します。

スポーツ(テニス、サッカーなど)の練習方法の「壁打ち」

もともと「壁打ち」は、テニスや卓球、サッカーなどの球技に関するスポーツ用語としての意味を持つ言葉でした。

ここでいう「壁打ち」とは、一人で壁に向かってボールを打つなどする練習方法のことです。

壁から跳ね返ってくるボールを確実に打ち返して、どのような角度からの球にも対応できるようにするという、自主練習の基本的な方法です。

ビジネスで用いられる「壁打ち」

近年では、ビジネス用語としても「壁打ち」が用いられるようになりました。

ビジネスにおける「壁打ち」とは、誰かに気楽に話を聞いてもらい、その反応を見るという意味で使われています。

壁打ちで話す内容は、相談というほどは話がまとまっていない段階のアイデアや、なんだかモヤモヤと悩んでいることなどです。肩肘張らずに、漠然と思っていることを話し、壁役の人からも、思いつくままに感想や質問を返してもらいます。

壁打ちでは、自分も壁役の人も、お互いに「気楽に」「無責任に」行うことが大切です。こちらも壁打ちをする前に話を詰めておく必要はありませんし、相手にも的確なアドバイスは求めません。

カジュアルに壁打ちをすることで、一人で悶々(もんもん)とする状態から脱し、考え方が整理されたり、新たなヒントを得られたりする可能性があります。

twitter(ツイッター)で用いられるネットスラングの「壁打ち」

ネット用語、主にtwitter(ツイッター)で用いられる用語としても「壁打ち」が使われることがあります。

この場合の「壁打ち」とはTwitterにおいて、誰かの反応を気にせずに、ただただ独り言をつぶやくという意味です。

独り言の内容は、愚痴を吐いてストレス解消したり、好きなことやカルチャーについての思いをつぶやいたりとさまざまです。

Twitter上で壁打ちをする専用のアカウントは「壁打ちアカウント」「壁打ち垢」などと呼ばれています。

「壁打ち」の正しい使い方・例文

  • 「壁打ち」の正しい使い方・例文

「壁打ち」とはどのように使われる言葉なのでしょうか。ここでは、例文を用いて使い方を紹介します。

彼はテニス部の練習後に、毎日壁打ちをするくらい熱心な子です

壁に向かってボールを打ち、跳ね返ったボールをまた打ち返すという、従来の「壁打ち」の意味の例文です。

この例文では、「彼」が合同練習の後も、一人で自主練習を行う努力家であることが分かります。

聞き上手である彼は、壁打ち役として優秀だ

これはビジネス用語の「壁打ち」の例文です。

この場合、「壁」となるものは「聞き上手である彼」にあたり、「ボール」にあたるものは「誰かの意見や悩み」を意味します。

壁打ちでの「壁」役はしっかりと人の話を聞きつつ、相手の感情や意見に飲み込まれないことが大切です。

イライラしたときは、壁打ちアカウントで愚痴をつぶやく

これはtwitter(ツイッター)で用いられるネットスラングとしての使い方です。

壁打ちアカウントは誰かに見せるためではなく、ただ思ったことをひたすら書き込むものなので、日記のような役割を果たします。何かがあったときの感情の吐き出し先といえるでしょう。

ビジネスにおいて「壁打ち」をすることのメリット

  • ビジネスにおいて「壁打ち」をすることのメリット

ビジネスにおける「壁打ち」において、打つボールは自分の思いや悩み事であり、返ってくるボールは壁役からの反応や意見を指します。

ここからは、ビジネスで「壁打ち」を行うメリットについて紹介します。

アウトプットすることによって考えを整理できる

ある問題に遭遇したとき、一人で考え続けていても解決策が見い出せず、平行線になってしまうこともあります。

そんな場合には、壁打ちによって自分の思いを声に出し、アウトプットすることで、考えが整理されてクリアになったり、気持ちが落ち着いたりするかもしれません。

一人では考えつかなかったアイデアがひらめく

アウトプットとインプットを繰り返すことで、考えを整理できるだけでなく、アイデアのひらめきにつながります。

「壁打ち」における壁役からの反応は、それが直接の解決策となるとは限りません。ただし、自分一人では見えなかった視点からの反応を得ることで、新たなアイデアや解決策がひらめくこともあるでしょう。

今後、その話題に関する情報を持ってきてもらえる可能性がある

壁打ちをすることによって、壁役の人に「○○さんは△△について悩んでいる」ということが伝わります。

そのため何かの機会で、壁役の人がその話題についての情報を得たときには「そういえば○○さんがこのことについて悩んでいたから、教えてあげよう」となるわけです。

色んな人に壁打ちをすると、有益な情報を持ってきてもらえる可能性が高まるでしょう。

「壁打ち」の類語・言い換え表現

「壁打ち」に似た意味を持つ言葉も、併せて覚えておきましょう。

ブレインストーミング(ブレスト)

「ブレインストーミング」は、あるテーマについて複数人で自由にアイデアを出し合うことで、解決方法を生み出す手法です。

大切なのは、自由にアイデアを出すことと、相手の意見を否定しないこと、質より量を重視することです。それによって、より多彩なアイデアを得ることができます。

気楽に行うことが大切な点や、一人では考えつかなかったアイデアをひらめける点では「壁打ち」と似ています。ただし「壁打ち」とは参加人数や状況が異なることがあるため、すべての場面で言い換えができるわけではありません。

独り言

前述のようにTwitterでの「壁打ち」とは、思ったことや愚痴を、独り言としてひたすらつぶやいていくものです。

相手の反応を求めない、気にしないという意味で、「壁打ち」は「独り言」と言い換えることができるでしょう。

ただし単に口に出す「独り言」とは違い、「壁打ち」の場合は記録に残るため、後から見返すことで課題や解決策に気付くきっかけになる可能性もあります。

ビジネスや日常生活で「壁打ち」を適切に活用しよう

「壁打ち」は3つの異なる意味を持つ言葉です。

ビジネスにおいては、普段の悩みや漠然とした思いを他人と共有することで、問題点がクリアになることもあります。

「意見がまとまっていない状態で人に話すのは恥ずかしい」と気負わずに、新たなアイデアや解決策を導き出すために、壁打ちをうまく活用しましょう。