松本潤が主演を務める大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で石田三成役を演じている中村七之助。主演の松本とは、高校の同級生で親友という関係で、共演は今回が初めて。七之助にインタビューし、本作での役作りや松本との共演などについて話を聞いた。
■石田三成とリンクする部分も「私も父のことを大尊敬している」
石田三成は、豊臣政権の実務を一手に担う、最高の頭脳の持ち主。家康(松本潤)もその才能に惚れ込むが、太閤・秀吉(ムロツヨシ)亡きあと、太閤への忠義を重んじる三成は家康と対立し、激しい前哨戦の末、関ヶ原での大一番に臨むことになる。
三成は、第35回「欲望の怪物」で初登場。初対面の家康と夜空を眺めながら星の話で盛り上がり、意気投合する姿が描かれたが、七之助の最初の撮影もこのシーンだったそうで、「とてもやりやすかったです。登場シーンから撮らせていただいたので、新鮮な気持ちで臨めました」と振り返る。
三成という人物については「豊臣秀吉のことを怖いぐらい崇拝している」と捉え、「それが故に、太閤殿下の考え方が絶対の正義、ほかの考え方の者がいたら、どんなに信頼していた人でも悪になってしまうという、真っすぐさ故の危うさを出しました」と語る。
そんな三成と自身がリンクする部分もあるという。
「私も父(中村勘三郎さん)のことを大尊敬していますので、とても自分に近いものがあるなと。そのような尊敬を、太閤殿下が生きているときは常に持って演じましたし、いなくなってからどんどん思いが強くなっているのだと思います。自分がなんとかしなければいけないという思いが空回りして、どんどん視野が狭まって拒絶してしまい、家康と袂を分かつ、違う道を進まなければいけないというところに行くのではないでしょうか」
■40歳を迎える年に初共演「神様はここまで待っていたんじゃないかなと」
松本との共演については、「カットがかかれば友人・松本潤と他愛もない話をし、現場に入れば2人ともスイッチが入り、敵対するときは本当に憎しみを込めた眼差しを彼に向けていました」と語る。
高校時代に、学校からNHKまで一緒に通っていたエピソードも披露。
「今から24年前、私が16歳ぐらいのときに、うちの父親が『元禄繚乱』という大河ドラマで大石内蔵助を演じ、私は大石主税の役をやらせていただいたのですが、学校からNHKまでバスで行っていました。松本も撮影でNHKに行く曜日があって、嵐になる前の松本潤少年と七之助少年が2人でバスに乗ってNHKまで通っていたんです」
続けて、「そこから24年経って、彼が大河ドラマの主役をやって、私がその相手役ではないですが石田三成という大役を務めさせていただき、40歳を迎える年に初共演。神様はここまで待っていたんじゃないかなと思うような巡り合わせなので、すごいことだなと。ここ(NHK)に向かう道中もそうですし、彼の家康を見るとつくづく思います」としみじみ。
さらに、「『元禄繚乱』のときからスタジオの感じが全く変わってないですね。『あそこに父親がいたな』とか。松本はうちの父親のことも尊敬してくれていたので、この姿を父親が見たら喜ぶだろうなと、いつもそんなことを考えていました」と語った。
22日に放送された第40回で、家康と袂を分かつことになった三成だが、松本と関係を切るということを想像して演じたら、とてもやりやすかったという。
「松本とは20何年一緒に歩んできました。父のことも尊敬してくれていて、僕も父のことを尊敬していて、松本がもし父の思いや思想とは違うことを始めたとしたら、三成のような気持ちになるのは簡単。大好きが故に、何でお前はこんなことをしているんだという怒りになると思うので、すごくやりやすかったです」