■矢口真里の代役でMCデビュー、毎週号泣反省会

――きっと、どのジャンルのお仕事でも輝いていることが伝わっているからですよね。そんな中でも鈴木さんといえばやはり歌手が軸だと思うのですが、ソロ活動を始めた頃、歌手以外の女優やMCもやりたいと思っていたんでしょうか。

思ってなかったです! 滑舌が悪いのに女優業やMC業なんてそんな! という感じでしたし、クラシックもアニメもほぼ未知の世界で、想像していなかった場所でチャンスをいただけていて驚きの連続です。初めてMCに挑戦したのはABEMAの番組だったのですが、矢口真里さんの代役だったので、毎週号泣しながら反省会をしていました。ゲスト側でしか参加したことのなかったトークの場で、聞き手として人の話を引き出す方法がわからなかったんです。しかも2時間の生配信(笑)。ゲストの方が「MCが矢口さんだったらもっと自分をアピールできたかもしれないのに」「矢口さんがMCのときに来たかった」と思ってないだろうかとか、スタッフさんの「もっとこうしたほうがいいです」というアドバイスが全部図星だったりとか……悔しくて申し訳なくて、いつも深夜2時くらいに「ごめんなさい」って気持ちでいっぱいになって号泣していました。

――壮絶な経験でしたね。

いま芸能生活22年目なのですが、そんな私にも「こうしたほうがいい」と言ってくれる方がいるのはすごく幸せなこと。できないことがあるほうが前進できる気がして貪欲に頑張れるので、ありがたいなと思っています。

  • 鈴木愛理

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■鈴木愛理として、限界決めず進み続けたい

――素敵な考え方ですね。鈴木さんが今歩んでいる、アイドルの“セカンドキャリア”や“第2章”を成功させていくのは、なかなか難しいことだと思うのですが。

そう言われてますよね。ただ、私は8歳のときにオーディションに合格して、アイドルとしてのキャリア以前に、「鈴木愛理」という人格形成からこの世界にしてもらっているので、「第2章」ではありつつも、ずっとつながっているというか。ハロプロ時代の過去に感謝して、大きく自分を変えずに、今も無理なく苦しくなく自然体で活動できていると思います。アイドル時代も今も「成功している」という実感なんてないですし、いつまでも、まだまだ限界を決めずにずっと前に進んでいけたらいいなと。

――アイドルだからこう、セカンドキャリアだからこう、ではなく、鈴木愛理としてずっと成長していきたい、と。

私は多分、死ぬまでそう思って生きるのかなって!(笑)

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■「アイドル」1,000万回再生超えに憧れの先輩たちが反応

――かっこいいです! 今年の大きなトピックスとしては、テレビ朝日のYouTube番組『オーイシマサヨシ×鈴木愛理のアニソン神曲カバーでしょdeショー!!』でパフォーマンスしたYOASOBIさんの「アイドル」がチャンネル初の快挙となる3カ月で1,000万回再生超え。本業の“歌”で大バズリしましたが、反響をどう感じていますか。

先日ハロプロの25周年ライブがあったのですが、私がハロプロに入ったときの先輩方、いわゆる黄金期と呼ばれるモーニング娘。OGの先輩たちほぼ全員に「うちの子が、愛理ちゃんの『アイドル』をずっと聞いてるのよ!」って言っていただけたんです。「うちでもずっと『アイドル』が流れてる」「あの再生回数のうち、何回は私だよ」「今日『アイドル』のときと同じ髪型だ!」って。お話しするだけでもすごくドキドキするような、大リスペクトしている先輩たちが、お子さんと一緒に見てくれていて、それを私に伝えてくださって、っていう状況に不思議な気持ちになって……あぁ、もう、今でも鳥肌が立つんですけど!(笑)

――興奮が伝わってきます!(笑)

憧れていた方々に見ていただけて本当にうれしかったです。こんなふうに先輩たちと話せる日が来るなんて、もっともっと頑張ろう! って後輩モードがさく裂しちゃいました! でもこうやって先輩たちにパフォーマンスが届いたのは、先輩方の背中を見て成長してきたからなので、歴史がつながってるなってすごく感動しちゃって。再生数を聞いても、実際に誰が見てくれているかピンと来なかったりするので、こんなふうに先輩たちが見てくれていると知ったことで「1,000万回ってすごいんだ」と実感できました。

――あの番組ではたくさんのアニソンをカバーされていますが、パフォーマンス力はもちろん、曲や作品への解釈が深いという点でも高い評価を受けてますよね。

アニメの世界は特に、ちゃんと咀嚼して歌っているかどうかが絶対にバレるんですよ。私も対象に対して“オタク化”する性質なのですが、ファンの方が熱中して深くハマって愛しているものに、軽い気持ちで足を踏み入れてはいけないなと思っています。だからアニメをちゃんと見ますし、この曲がどこで歌われているか、なぜこんなに愛されているか、誰の心情を歌ってるものか、ということを理解しているかどうかで歌い方も変わるんです。たくさんカバーさせていただいたおかげでカラオケの十八番はめっちゃ増えました(笑)。好きなアニメも増えて、改めて日本のアニメって素晴らしいと感じています。同時に、あの番組ではカバーを歌わせていただいているので、自分の曲もたくさんの方に届けられるよう頑張ろうと思いますね。

――では最後に、『あざとくて何が悪いの?』新MCとしての意気込みを教えてください。

私も大好きな番組でしたし、いろんな方がゲストに来たり、雑誌とコラボしたり、イベントを開催したり、長きにわたって愛されている番組の後任MCということで、皆さんがどうなるんだろうと思っている以上に私もドキドキしています。田中みな実さんと弘中綾香さんへのリスペクトと番組の歴史を大切にしつつ、私が山里さんとお話しすることで新しい化学反応が生まれるといいなという願いを込めて、楽しい深夜の時間を作っていけたらと思っています。

  • 鈴木愛理
■鈴木愛理
2002年6月、8歳で「ハロー! プロジェクト・キッズ オーディション」に合格。2005年6月に℃-uteを結成し、2017年まで活動。あぁ! 、Buono! としても活動した。2017年12月より、ソロ活動をスタート。女性ファッション雑誌『Ray』の専属モデルや、『オーイシマサヨシ×鈴木愛理のアニソン神曲カバーでしょdeショー!!』、『クラシックTV』のMCも務めている。10月5日よりテレビ朝日系バラエティ番組『お願い! ランキング presents そだてれび「あざとくて何が悪いの?」』の新MCに就任。現在、W主演を務めるテレビ東京の10月クールドラマ『推しが上司になりまして』が放送中。