高校ダンス部日本一を決める「DANCE STADIUM 第16回日本高校ダンス部選手権 夏の公式全国大会」の地方大会が、全国各地で行われている(フジテレビの動画配信サービス・FODで生配信)。1つの曲を、いかにチームで動きをそろえて美しく踊るかを競う……なんてイメージはとうの昔。複数の楽曲を組み合わせ、複雑なフォーメーションで構成されるそのパフォーマンスは、もはや芸術と言っても過言ではない域に達している。

7月26日、沖縄・浦添市のアイム・ユニバース てだこホールで行われた沖縄大会も、実にバラエティに富んだ演技で、会場は大盛り上がりとなった。安室奈美恵さん、MAX、SPEED、DA PUMPといった一流のダンスアーティストを生み出してきたこの地で行われた、熱いダンスバトルをレポートする。

  • 「DANCE STADIUM 第16回日本高校ダンス部選手権」沖縄大会の入賞校

    「DANCE STADIUM 第16回日本高校ダンス部選手権」沖縄大会の入賞校

■「この会場にいる全員で、最高のステージを作り上げましょう!」

選手宣誓を行ったのは、スモールクラス・トップバッターの那覇西高校。「私たち沖縄県ダンス部員たちは、3年前突然現れたコロナにより、青春を奪われました。そんな中、私たちは毎日練習に励み、ともに笑い、ともに汗を流し、ともにたくさんの時間を過ごしてきました。今になって、悪魔の第9波が来ているとも聞こえてきますが、そんな波に私たちは負けません。奪われた数年分の思いを、今日ここでぶつけましょう! この会場にいる全員で、最高のステージを作り上げましょう!」と呼びかけ、参加者全員の士気を一気に高めた。

  • 那覇西高校による選手宣誓

競技は12人以下の「スモールクラス」(全7校)からスタート。疾走感あふれるハイテンポなダンスがあれば、神話を思わせるような世界観も作り出され、ジャンルの幅の広さに驚かされる。沖縄らしい「イーヤーサーサー!」の掛け声が響き渡る場面もあり、こちらもテンションが上がってくる。また、人数が少ない「スモールクラス」の特性を生かし、ステージを縦横無尽に駆け抜け、サーカス並みの驚異の身体能力を駆使したパフォーマンスは、見る者を圧倒させた。

  • 那覇西高校

  • 知念高校

  • 名護高校

  • 小禄高校

  • 北中城高校

  • 北谷高校

  • 浦添高校

続いて行われたのは、13人以上の「ビッグクラス」(全14校)。やはり大人数によるダイナミックな規模感を生かした演技が多く、こちらも圧巻だ。スピード感で技術力を見せる場面が多い中で、スローテンポでじっくり魅せるシーンも。琉球王朝を思わせる鮮やかな衣装で荘厳な世界を見せられたかと思えば、バービー人形の世界をダンスに落とし込んだパフォーマンスもあり、こちらのクラスもバラエティ豊かなラインナップで楽しませてくれた。

  • 向陽高校

  • 糸満高校

  • 普天間高校

  • 北中城高校

  • 宜野湾高校

  • 知念高校

  • 球陽高校

  • 嘉手納高校

  • 那覇国際高校

  • 浦添高校

  • 具志川高校

  • 那覇高校

  • 首里高校

  • 小禄高校

いずれのクラスも、ただ曲に乗せて踊るだけでなく、ストーリー性を持たせてダンスの枠を超えたパフォーマンスに昇華。どの審査員も、肩を揺らせてリズムに乗りながら鑑賞し、それぞれの技術を見極めているのが印象的だった。また、2分~2分30秒という規定時間で次々に演技が入れ替わるため、個性豊かなダンスがショーケースのように楽しめるのは、改めて考えると贅沢な時間だ。

演技中はそのレベルの高さに、ステージ上にいるのが高校生であることをすっかり忘れていたが、演目が終了するとどの高校も一礼して「ありがとうございました!」と元気よく挨拶すると、“部活”の一環であることを再確認。パフォーマンス前には、顧問の先生からのメッセージが読み上げられ、「チバリヨー!(頑張って!)」というエールを聞くと、部員たちと熱い時間を過ごしてきたことを想像し、一緒に応援したい気持ちにさせてくれた。

■結果発表に喜びの抱擁、ハイタッチ、涙も

すべての演目が終わると、審査の結果が出るまで休憩時間。応援に駆けつけた生徒やOB・OG、さらにはライバルである他校のダンス部員と談笑したり、一緒に写真を撮ったりと交流し、そこにはどこにでもいる高校生たちの姿があった。

休憩時間が終わると、ダンスグループ・TABASCOによるゲストステージ。本番を終えて少し緊張感から解放された生徒たちは歓声をあげて大いに盛り上がり、いよいよ結果発表の時を迎えた。

【スモールクラス】
優勝 :北中城高校
準優勝:小禄高校
3位  :知念高校

【ビッグクラス】
優勝 :小禄高校
準優勝:浦添高校
3位  :那覇国際高校

スモールクラスは北中城高、ビッグクラスは小禄高と浦添高が、8月16日・17日にパシフィコ横浜・国立大ホールで行われる全国大会の切符を手にした。

結果が発表されると、喜びで抱き合ったり、ハイタッチしたり、うれしさや悔しさで涙する生徒たちの姿が。皆がダンスに青春を懸けていることを何よりも裏付ける瞬間だった。

  • スモールクラス優勝の北中城高校

  • スモールクラス優勝の小禄高校

■審査員も驚き「総合的な作品力が数段上がった」

審査員を務めたストリートダンス協会専務理事の栗原めぐみ氏(大阪芸術大学舞台芸術学科教授)は、総評で「びっくりしました!」と第一声。「以前の沖縄大会は、ちょっと皆さんおとなしめなイメージがあったんですけど、今日で覆りました。皆さんのパワーが上がってるし、総合的な作品力が数段上がっているのに本当に驚いていまして、素晴らしい力作がずっと続いたので、あっという間でした。『コロナ禍で奪われた数年分の思いを、今日ここでぶつけましょう!』という選手宣誓でしたが、その宣誓の通り、本当にすごく良い大会になったと思います」と総括した。

さらに、「コロナ禍を経て(パフォーマンスが)ダウンしてしまっている子が、私が教えている大学にも実際いるんですけど、沖縄の皆さんはその時間を逆に力に変えて、今こういう形で表現できるというのは、本当に地元の底力だと思いますし、これからが楽しみです。全国大会も楽しみな結果を期待してますので、頑張ってください」と、次のステージでの健闘を祈った。

  • 審査員のストリートダンス協会専務理事・栗原めぐみ氏

FODでは、各地方大会・全国大会の全校の演技を生配信しているが、開催1週間後をめどに見逃し配信も実施。CS・フジテレビNEXTでは、8月2日(13:30~)に沖縄大会の全出場校を放送し、全国大会を生中継する。地上波・フジテレビでは、8月19日(15:30~ ※関東ローカル)に特番を放送し、FOD・TVerで見逃し配信される。

  • 地方大会優勝でFOD記念賞品を贈呈