昨年9月16日に引退した歌手・安室奈美恵さんの楽曲と花火をシンクロさせたイベント『WE (ハート) NAMIE HANABI SHOW supported by セブン-イレブン』が16日、沖縄・宜野湾トロピカルビーチ特設会場で開催され、約4万人の観衆が海上の芸術に酔いしれた。

  • 花火ショーより

このイベントは、セブン-イレブン・ジャパンと沖縄タイムスが昨年、安室さんの引退を送り出す共同イベントとして実施したもので、引退前に「私がいなくなっても、経済効果を含め、沖縄に貢献できるイベントを続けてほしい」と願っていた安室さんの意志を継ぎ、今年も昨年と同じ日に、同じ場所で開催された。

前日は大雨に見舞われていた沖縄地方だったが、この日の昼間は30℃を超える晴天に恵まれ、筆者が会場に向かうタクシーの運転手も「やっぱり安室奈美恵は持ってるね」と感心していたほど。会場には、昨年の同イベントをお忍び観覧した安室さんが着ていた浴衣を身にまとった人や、“アムラー”と呼ばれたミニスカート・ロングブーツ姿のファンも多く見られ、19時30分の開演前から、自然と「ナミエ!ナミエ!」コールが沸き起こった。

そして、「Finally」のメロディーとステージ裏ではしゃぐ安室さんのオフショット映像などでいよいよ花火ショーが幕開け。「ミスターU.S.A」「Tempest」「Hope」など多彩な10曲とともに、色とりどりの花火やどこまでも伸びていくレーザービーム、高さ30メートル以上の水が出るスプラッシュ噴水、そして幅20メートル高さ11メートルの巨大LEDスクリーンの映像がシンクロする光景に、会場からは何度も大歓声が上がる。

例えば「太陽のSEASON」では、「♪抱きしめて」に続く「Love」「is」「Now」のサビに合わせ、見事なタイミングで大玉の花火が3発上がるといった具合。流れる歌はどれも時代を彩ってきた名曲で、観覧客側はどのタイミングでサビが来るのかが分かるため、歓声も息の合ったものになっていた。

その「太陽の SEASON」の序盤では、安室さんの「騒げ沖縄~!!」の音源が響き、「Fight Together」はコンサートで定番だった安室さんとファンのコール&レスポンス、「a walk in the park」では髪をかき上げるしぐさが映し出され、まるで生ステージのような臨場感。

「Tempest」は花びらが舞う映像や、淡い色彩の噴水やレーザーで壮大な世界観を表現し、ヒット曲「CAN YOU CELEBRATE?」の間は、最後のコンサートツアーで登場した舞台セットのコンピューターグラフィック映像が流れ、白を基調にした幻想的な空間を演出した。観覧席と打ち上げ場所の距離は、他の花火大会に比べて非常に近く、けむりはもちろん、破裂した花火の割れカス落ちてくる迫力だった。

そんな中、「CAN YOU CELEBRATE?」の次の「Christmas Wish」が始まる前に、強風で一時中断するアクシデントが発生。すると、会場には再び「ナミエ!ナミエ!」コールが巻き起こり、約10分後に「風がおさまって参りましたので、演目を再開します」というアナウンスが場内に響くと、会場は安堵(あんど)の拍手と大歓声に包まれた。

その後、「Hope」では、9月16日のこの日を盛り上げようと沖縄県内50社80店舗が取り組んできた「愛(かな)さ (ハート) NAMIEいちまでぃん。」プロジェクトのロゴがスクリーンに。ラストの「Hero」は、花火の種類や打ち上げのタイミングを決めるプログラミングを、地元の女子小学生4人が担当し、怒涛の連続花火とレーザー、噴水が夜空で交差した。

この小学生たちの挑戦の模様は、10月5日・12日にBS日テレで放送される『めざせ!プログラミングスター ~プロスタ★キッズ大集合~』(毎週土曜10:30~、放送後Huluで見逃し配信・オリジナルコンテンツ配信)で紹介される予定。また、花火ショーの模様は、Huluで30日から配信される。

伝統芸能の花火と、最先端のプログラミングの融合によって実現したこのイベントを見上げたファンたちは、思い出の1曲1曲を一緒に歌い、「安室ちゃん、ずっと大好き」という声も。感極まってタオルで顔を覆うファンの姿もあり、宮崎から来た30代の女性は「花火の迫力がすごかった。こんなにもたくさんの人が来ていて、安室さんが愛されていることを感じた」と興奮気味に話していた。

特別応援上映の様子

この花火ショーの前には、ビーチに隣接する沖縄コンベンションセンターで、特別応援上映会が開催された。引退前夜のライブ本番へと向かう安室さんの赤いピンヒールブーツの足音が響く中、会場には「ナミエ!」コールが反響。アップテンポな「Hope」「How do you feel now?」を歌い踊る姿をはじめ、平井堅、DOUBLE、ジョリン・ツァイら国内外のアーティストとの共演シーンが流れると、喝采とともにペンライトが揺れた。

ライブ映像の締めくくりで、キャノン砲から放たれた金テープが舞うと、ひときわ大きな歓声が上がり、思わず席を離れてキャッチしようとするファンが続出。上映後、沖縄市に住む会社員の女性(34)は「昨年のライブはチケットが取れなかったが、実際にライブがあった会場であの時の興奮が味わえて感無量。安室ちゃんのキュートなおしゃべりも見られて得をした気分です」と笑みを浮かべ、岩手と東京から来た41歳の女性2人組は「久々の奈美恵ちゃんに叫んだ。涙あり、笑いありで最高」「今でも聖地巡りやSNSでファンとつながることができうれしい」と喜びを噛み締めていた。