スーパー戦隊シリーズ第26作『忍風戦隊ハリケンジャー』(2002年)の放送終了20周年を記念して製作された東映Vシネクスト『忍風戦隊ハリケンジャーでござる! シュシュッと20th anniversary』(監督:渡辺勝也)の完成披露上映が17日、東京・新宿バルト9で開催され、主要キャスト陣が勢ぞろいした。

  • 左から姜暢雄、白川裕二郎、塩谷瞬、長澤奈央、山本康平

本作の舞台は、今から200年も昔の江戸時代。すなわち本作はハリケンジャーやゴウライジャーの先祖が活躍する「痛快忍者時代劇」なのだ。江戸の町を守る使命を帯びた疾風流忍者の3人(鷹之介、なみ、吼太郎)と迅雷流忍者(一角、一牙兄弟)は、時空を超えて現れた「ウラ七本槍」のオイランダとアウンジャの攻撃を受ける。オイランダが狙うのは、迅雷流の2人が護衛を務める照姫が持つ不思議な「天翔石」。圧倒的な力で襲い来るオイランダになすすべもない江戸時代の忍者たちの前に、200年の時を超えて彼らの子孫と思しきハリケンジャー、そしてゴウライジャーがタイムスリップしてきた……。

ステージには、本作の主要キャストが「江戸時代を生きる5人の忍者」の衣装で登場し、つめかけた『ハリケンジャー』ファンからの熱烈な拍手を浴びていた。

ハリケンレッド/椎名鷹介/鷹之介を演じる塩谷瞬は「シュシュッと戻ってまいりました!」と元気よく挨拶。「いろんな苦労がありながら、20周年記念作をどうにかして作りたいと、企画して、完成して……。みなさんは完成した作品を一番初めに観てくださいました。この5人で舞台挨拶ができること、本当に幸せです!」と、20年の歳月を超えたキャスト陣の絆と、苦労の末に企画を実現させ、完成に至った喜びをかみしめるかのようなコメントを残した。

ハリケンブルー/野乃七海/なみを演じる長澤奈央は麗しい着物姿で「平日にもかかわらず、こんなにもたくさんの方たちが来てくださって、本当に嬉しく思います」と、まぶしい笑顔をたたえながら挨拶し、20年間自分たちを支え続けた『ハリケンジャー』ファンに感謝の思いを伝えた。

ハリケンイエロー/尾藤吼太/吼太郎を演じる山本康平は「キャストのみんなとは久しぶりに同じ作品で芝居をしたけれど、会った瞬間、20年前に戻ってしまいます。みんな大人になったというよりも、なんか『子どもに戻るぞ!』と気合いを入れて、20年前の『ハリケンジャー』撮影当時に戻ったようで楽しかったです」と、苦楽を共にしたかけがえのない仲間同士だからこそ、再会すればすぐ当時の関係性を取り戻すことができるとにこやかに語った。

カブトライジャー/霞一甲/一角を演じる白川裕二郎は「スケジュールが厳しくて、一週間くらいで全シーンを撮りました。なかなか会えなかった仲間と再会できて、『純烈』よりも楽しかった(笑)」と、今や国民的ムード歌謡グループ「純烈」メインボーカルとして大活躍している中、ハードスケジュールの合間をぬって、久々に仲間と再会できた喜びを語った。

クワガライジャー/霞一鍬/一牙を演じる姜暢雄は「僕は去年、同じ新宿バルト9のステージで『暴太郎戦隊ドンブラザーズ THE MOVIE 新・初恋ヒーロー』の舞台挨拶に出ましたが、その場では言えない言葉がありました。それを今ここで言います。霞一鍬役の姜暢雄です!」と、2022年に『ドンブラザーズ』の映画でエキセントリックな映画監督役で出演したときのことを振り返りつつ、今度は久々のクワガライジャー/一鍬としてファンの前に出ることができた嬉しさをあらわにしていた。

塩谷は「時代劇の本場」である東映京都撮影所での撮影の日々を「毎日がすごく楽しかった」と振り返った。特に白川がひときわ楽しんでいたと語る塩谷は「朝、撮影が始まったときから、夜いっしょにご飯を食べるときまで、ずっとおしゃべりが止まらなかった」と明かし、客席を沸かせた。

長澤は『ハリケンジャー』テレビシリーズで劇中歌として歌っていた演歌「忍び恋」を本作でも披露しているという。長澤はこれについて「歌わせていただきました。『純烈』さんがいるのに、すみません(笑)」と語り、今や抜群の歌唱力でマダムたちを魅了する白川に遠慮する場面が見られた。白川はこの言葉を受け「20年立って、奈央も大人の色気が出てきたね」と長澤の艶っぽさを高く評価し、にこやかな笑顔をたたえた。

迅雷流忍者の兄弟として、本作でも白川と行動を共にする場面が多かった姜は「裕二郎とは同じホテルに泊まっていたんですけど、朝の6時くらいに(白川が)短パンにグラサン姿で俺を待っていた(笑)。そして早朝からシェイクをすすめてくるんです」と、朝からハイテンションが止まらない白川が本作の撮影をいかに楽しんでいたかを示すコメントを残した。

塩谷は、かけがえのない仲間同士となったキャスト陣が誰一人欠けることなく20周年記念作を作ったことに感動しつつ、「撮影初日、奈央が『夢みたい……』とつぶやいたことや、裕二郎が『久しぶりに芝居が出来て、すごくホッとする』と言っていたのが印象に残りました」としみじみ語った。さらに「こうちゃん(山本)は時を超えて、裏方の役割までしてくれるようになりました。現場では『製作さん』と呼ばれていた(笑)」と、本作の企画実現にあたって多大な力を尽くしたアソシエイト・プロデューサーでもある山本の労をねぎらう一幕もあった。

本作ではまた、竹田道弘アクション監督のアイデアがぞんぶんに盛り込まれた5人の「忍者アクション」が大きな見どころとなった。姜は瓦屋根の上を駆け抜けながら敵忍者と戦っており「屋根から飛び降りるところではかなりの高さがあったので、怖かった」と改めて撮影時の心境を語った。白川は民家を突き破りながら長回しで敵と戦う豪快なアクションを披露し、長澤は水面を駆け抜けるように進む「水面(みなも)走り」という技にチャレンジした。長澤は「スケジュール表に『クレーン車』の出動が書かれていて、どんな撮り方をするのかとても興味がわいた」と語り、早朝から水面走りの撮影のため、多くのスタッフが準備を行っていたことに感動したという。

最後にマイクを手にした塩谷は「20周年記念作品を作ることは、10周年のときよりもハードルが高く、実現までにはさまざまな『生みの苦しみ』がありました。今回の作品が『時代劇』になったことで、多くの人々に日本古来の文化、時代劇の良さを知ってもらいたいと願いを込めて作りました。僕たちが生み出したこの作品を、こんどは観てくださるみなさんによって『育てて』いただければ嬉しいです。映画をご覧になり、楽しかった、また観たいなと思ってもらえたら、ぜひSNSで感想をつぶやいてください。そうして作品が大きく育っていけば、また『新しい命』が生まれるかもしれません。ぜひ、応援をよろしくお願いします!!」と客席のファンに向けて力強いメッセージを贈り、20年目の『ハリケンジャー』の応援を呼びかけてイベントをしめくくった。

Vシネクスト『忍風戦隊ハリケンジャーでござる! シュシュッと20th anniversary』は6月16日より全国劇場で期間限定上映が開始される。また10月25日からは、東映ビデオよりBlu-ray&DVDソフトが発売。

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