上白石萌歌、若者とシェフの世代間ギャップを痛感「もっと愛を吸収していけたらいいのに…」

女優の上白石萌歌が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00～ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、3月26日・4月2日の2週にわたって放送される『新・上京物語 2023』。人気洋食店「レストラン大宮」に入社した若者たちの奮闘を追った作品だ。

3年連続でレストラン大宮の新人たちを見つめてきた上白石は「勝手に同志みたいに思ってます(笑)」と寄り添いながら語りを吹き込んだが、今回については「ドラマが大きく動いた瞬間がたくさんありました」と表現。その背景にある、若者たちと70歳を過ぎた大宮勝雄シェフとの世代間の価値観の違いを痛感したようだ――。

■3年連続でレストラン大宮を見つめる

番組に登場するのは、控えめな性格ながら調理場で先輩の信頼を積み上げていくあかりさん、マイペースぶりを叱られながら着実に成長し、シェフも期待を寄せるらいちさん、料理人を志したものの接客にやりがいを見いだし、新たな夢を抱くちはるさんという2021年入社の3人。昨年の放送から1年が経ち、修業2年目に入った。

入社5年目の先輩・古川さんの下で共に店を切り盛りするのは、らいちさん。若い2人で店を支える中、古川さんにはレストラン大宮を卒業し、フランス料理の道に進みたいという思いがどんどんと膨らんでいた。その夢を実現するためには、後輩たちの成長が不可欠だが、らいちさんの心の中は、大きく揺れ動いていた…。

1年前の『新・上京物語』でもナレーションを担当してから、「いち視聴者として、次はどうなるんだろう」と、気になっていた上白石。実際にその後の彼らを見ると、「同じ場所にいるけど、それぞれの人生と選択があるんだなと思いつつ、その中でも大宮シェフとの絆を途切れさせてほしくないという気持ちもあって、歯がゆさやいろいろ思うことがありました」と振り返る。

今回は、若者たちと大宮シェフの世代間ギャップを特に痛感したそう。

「大宮シェフはすごく寄り添ってくれるし、今どき寮を貸してくれるなんてないと思うので、私はあんなにいい方はいないんじゃないかと思うし、魅力的だと思うんですけど、やっぱり年の差が50以上離れている新人の人たちを指導するのは大変ですよね。私も目上の方とは、考え方が違うということを踏まえてお話しするようにしてるんですけど、やっぱりシェフが新人だった頃と、今の時代は教わり方や環境も全然違うと思うから、そこが分かり合うのはすごく難しいことだなと思いました。それでも、シェフにはすごく愛情があるので、もっとその愛を吸収していけたらいいのに…とも思いますね」

• レストラン大宮で働く、らいちさんとちはるさん　(C)フジテレビ

■大学卒業で自身も新生活に「一緒に頑張れたら」

これまで、収録を終えるたびに番組内での印象に残った言葉を聞いてきた。1回目は、当時レストラン大宮で働いていた七久保先輩が新人に食材の包丁さばきを指導するときにかけた“オレンジの気持ちになるんだよ”。2回目は、海外にある大使や総領事の公邸で働く公邸料理人を目指す七久保先輩が、その経験者であるレストラン大宮のOBに言われた“向こうに(大宮)シェフはいない。自分がシェフになるんだ”だ。

そして今回は、フランス料理の道に進みたい古川さんが、大宮シェフに連れて行ってもらったフレンチの巨匠が集まるパーティーで、有名シェフから受けた“初心忘るべからず”と“塵も積もれば山となる”が、心に刻まれたという。

「最初に感じていた期待とか、緊張する気持ちを大事にすることとか、日々の1個1個を大事に積み上げていくしかないということは、どの仕事においても大事なことだなと思いました。この『新・上京物語』は、教訓がいっぱいあるんですよね」

このシリーズは、新年度に入る時期に放送されることから、ナレーションを担当するたびに「毎回新しい気持ちで新年度を迎えられます」と気持ちを新たにしているそう。特に今回は、自身がこの3月で大学を卒業したタイミングなだけに、「実は私も新生活なんです。これからはお仕事しながらレポートを書くのにパソコンを開かなくていいんだというのが新鮮で、何をしていいのかよく分からないんですけど(笑)、一人の大人として、(同世代の視聴者と)一緒に頑張れたらいいなと思います」と呼びかけた。

• (C)フジテレビ