JR東日本は24日、山形新幹線の新型車両E8系を報道関係者らに公開した。2024年春の営業運転開始を予定しており、今月末から約1年間にわたり、東北・山形新幹線にて車両性能の確認等を目的とした試運転を行う計画となっている。

  • JR東日本が山形新幹線の新型車両E8系を報道公開

    JR東日本が山形新幹線の新型車両E8系を報道公開

新型車両E8系は7両編成(5M2T)で、11号車がグリーン車、12~17号車が普通車。デザイン監修は奥山清行氏が代表を務める「KEN OKUYAMA DESIGN」、車両製作は川崎車両と日立製作所が担当する。車体はアルミ合金製。この日公開された第1編成(G1編成)は、11号車が「E811-1」(Msc)、12号車が「E828-1」(T1)、13号車が「E825-1」(M1)、14号車が「E825-101」(M2)、15号車が「E827-1」(M3)、16号車が「E829-1」(T2)、17号車が「E821-1」(Mc)だった。集電装置として、12・16号車にシングルアーム式低騒音パンタグラフを設置している。

現在、山形新幹線「つばさ」で活躍するE3系の先頭長は6mだが、E8系の先頭長は9mとなり、空力解析により最適化されたアローライン形状を採用。新幹線区間の営業最高速度も、E3系の275km/hに対し、E8系は300km/h(東北新幹線宇都宮~福島間)に向上しており、所要時間短縮を図るとともに、東北新幹線のE5系と併結運転を行う(分割併合機能は11号車のみ設置)。在来線区間の営業最高速度は現行のE3系と同じ130km/hとなる。

  • 新型車両E8系の外観。先頭長は9mとなり、車体前面は「おしどりパープル」が際立つデザインに

外観カラーは山形新幹線のイメージを継承しつつ、心の結びつきを感じさせるデザインをめざしたという。デザインコンセプトを「豊かな風土と心を編む列車」と設定し、車体上部色を「おしどりパープル」、帯色を「紅花イエロー」、車体色を「蔵王ビアンコ」で配色。途切れることなくつながる「紅花イエロー」で「山形の風土と離れた土地にいる人々の心の結びつき」を表現した。

E8系の定員は1編成あたり352名(グリーン車26名・普通車326名)。インテリアは「乗車の始まりから終わりまで山形の風土とお客さまの心を結びつけるデザイン」とされた。普通車は横4列(2列+2列)の座席配置で、カラーテーマは「最上川と紅花」。通路中央部に最上川をモチーフとした柄を通し、紅花の陽に照らされる黄色から抽出される紅色へのグラデーションを座席カラーに採用している。藁細工の温もりある色彩や鋳物を感じさせる質感も取り入れ、山形の豊かな風土を表現した。

今回は非公開だったが、グリーン車も横4列(2列+2列)の座席配置で、カラーテーマは「最上川と月山」。通路中央部に最上川をモチーフとした柄を通し、針葉樹林の広がる月山の緑色と最上川の水面のゆらぎを座席カラーで表現。県木である本桜を取り入れ、新庄亀綾織の光沢感や鋳物を感じさせる質感により、山形の上質な旅を演出するという。

  • 普通車は横4列(2列+2列)の座席配置で、カラーテーマは「最上川と紅花」

  • 普通車の全座席にコンセントを設置

  • 大型荷物置場を全号車に設置

  • E8系の運転台も公開された

多様な旅行ニーズに対応し、快適な移動空間を提供するため、AC100Vコンセントを全席の肘掛下に設置したほか、大型荷物置場(スーツケース対応)も全号車に設けた。現行のE3系と同じく車内公衆無線LANサービスも提供する。バリアフリーへの対応を充実させるため、普通車の車いすスペースを増設。12号車に3席分のスペース(改良型ハンドル形電動車いすに対応)を設け、大型トイレと多目的室も用意した。車内の安全性向上を目的に、防犯カメラを客室内とデッキ、通路部に設置する。

全車両をフルアクティブサスペンションとすることで乗り心地も向上。積雪寒冷地における輸送の安定性向上をめざし、車両への着雪対策として台車部にヒーターを搭載している。その他、ブレーキ制御方式は「回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(応荷重制御付き)」、保安装置は「ATC(DS-ATC)、無線ATC(RS-ATC)、ATS-P」とのこと。E8系は今後、2026年春までに15編成を新造し、山形新幹線の車両置換えを進めていく。

この日は午前の報道公開に続き、午後に一般向けの「E8系お披露目! 新幹線総合車両センター撮影会」も開催された。100名限定で参加者を募集し、400系以来となる山形新幹線の新型車両E8系を宮城県利府町の新幹線総合車両センターで公開。先頭車1両分(外観のみ)を撮影可能エリアとし、さまざまな角度からE8系を撮影できたという。

  • 報道公開では、新型車両E8系の外観に加え、普通車の客室内と運転台も公開された