東京臨海高速鉄道は1日、りんかい線の新型車両71-000形(ななまんいっせんがた)の報道公開を実施した。第1編成は2025年秋から営業運転を開始する予定。2027年度上期までに全80両(10両編成×8編成)を導入する計画となっている。
りんかい線は現在、新木場~大崎間を結び、JR埼京線・川越線(大崎~川越間)と相互直通運転を実施している。車両は1996年3月の第一期事業区間(新木場~東京テレポート間)開業以来、30年近くにわたり70-000形(ななまんがた)を使用してきた。71-000形は既存の70-000形に代わる新型車両として導入され、さらなる安全・安定・安心輸送と利用者のニーズに沿ったサービス向上をめざすとともに、バリアフリーも推進する。
新型車両71-000形は総合車両製作所「sustina S24シリーズ」(車体長20m・片側4ドア)のステンレス製車両(先頭部はFRP製)として製造。雨どいや出入口・窓部の枠材を側外板の内側に収めることにより、凹凸のないフラットな外観となった。あわせて混雑時の圧迫感を緩和するため、車体幅を既存の70-000形より150mm拡大している。車体長に関して、中間車は19,500mm、先頭車は運転台機器の関係で19,660mmとしたが、連結面間距離はいずれも20,000mmとされ、相互直通運転を行うJR埼京線・川越線のE233系と同等にしたとのこと。床上面高さは1,130mmで、既存の70-000形と比べて50mm低床化している。
大崎方先頭車を1号車(Tc’ / 31.3トン)、新木場方先頭車を10号車(Tc / 31.1トン)とした10両編成で、中間車の2号車(M2’ / 33.1トン)、3号車(M2 / 32.9トン)、5号車(M3’ / 30.2トン)、6号車(M3 / 32.2トン)、8号車(M1’ / 33.1トン)、9号車(M1 / 32.3トン)は電動車、4号車(T1 / 29.4~29.7トン)、7号車(T2 / 29.1トン)は付随車。「Tc-M-M’-T-M-M’-T-M-M’-Tc’」の編成は相互直通運転を行うJR東日本のE233系と異なるが、りんかい線の八潮車両基地における作業性や検修設備を考慮しての配置だという。メンテナンスの柔軟さを考慮し、密着連結器は4・7号車(T車)の両端で切り離せるように配置している。
71-000形のデザインに関して、車両部門以外の部署も含めたプロジェクトチームを社内に設けて検討。コンセプト、アイデア、デザインイメージなど意見をまとめ、車両製造会社のデザイナーに伝えることでフィードバックさせたという。「ビジネスや文化などが交流する、東京湾ウォーターフロントを結ぶ路線にふさわしいデザイン」をめざした。
エクステリアは70-000形で採用された丸みのある面影や先頭部のカラーリング(ブルー、ホワイト、ターコイズグリーンの3色)を継承しつつ、「イルカの微笑み」をイメージした前面デザインとして親しみやすさを表現。車体側面のカラーリングはホームドアの高さを考慮して車両腰部から上部にかけて配置し、エメラルドブルーのグラデーションで東京湾ウォーターフロントの水辺空間を表現した。号車・車いす・ベビーカーマークや車両番号を全体デザインと調和するよう一体化するなどの工夫も施している。
71-000形の定員に関して、先頭車の1・10号車は各140人(座席定員は各39人)、中間車の2~9号車は各158人(座席定員は各51人)とされており、1編成あたりの定員は合計1,544人(座席定員は合計486人)となる。インテリアは魅力ある都市景観の情景にふさわしい上質感をイメージ。腰掛はグレーとブルーを基調としたブロック柄にレインボーカラーの差し色を入れ、都会的でクールな雰囲気を演出した。座席幅を1人あたり10mm拡大するとともに、ガラスを用いた大型の袖仕切りを採用し、快適性と開放感を高めている。
内装は木目柄の妻部化粧板など70-000形の面影を残しつつ、臨海副都心の洗練された都市景観をイメージし、ホワイトを基調にグレーやネイビーでまとめ、高級感を演出。優先席はシートモケットをピンク色として落ち着いた雰囲気にするとともに、他の座席と識別しやすくした。立ち上がるときの補助として使用できる保護棒も1本追加し、3人掛けのどの席からも利用できるよう配慮している。保護棒は通路側に大きく湾曲させ、使いやすい形状とした。
車いす・ベビーカー利用者向けのフリースペースは全車両に設置。2段手すりも設け、介助者やベビーカー利用者の利便性を向上させている。ユニバーサルデザインを考慮し、中間車の優先席部分と先頭車の全箇所で、吊り手の高さを他の部分に対して50mm下げたとのこと。
各ドアの上部に17.5インチワイド液晶画面の車内案内表示器を設置し、列車種別、行先、ドア開扉方向、乗換案内、運行情報、駅設備案内など、多くの情報を視覚で提供する。車内案内表示器の下部に設けたランプを点滅させることでドア開閉を案内し、チャイム音でドア開扉位置を知らせる機能を搭載するなど、バリアフリー促進も図った。