「将来が不安で眠れない」「いつも気持ちがモヤモヤして日々を楽しめない」。キャンパスライフを送る大学生の皆さんの中には、このような悩みを抱える人がいるかもしれません。

大学を卒業すると、多くの人が就職や進学などの進路を歩み、生活環境がガラリと変わります。「これから先の生活はどうなるのだろうか、うまくやっていけるだろうか」と不安になるのはごく当たり前のことです。しかし、できることなら、不安を和らげて明るい気持ちで毎日を過ごしたいですよね。

そこで今回は、将来が不安な大学生に向けて、不安を和らげる考え方や具体的な解決法をご紹介します。

■大学生がよく抱える将来の不安4つ

これから社会へ出ようとする大学生には、将来にさまざまな不安があるでしょう。その中でも特に多い不安とは、どのようなものでしょうか。

1.希望する就職ができるか

就職を控えている大学生にとって、将来の就職先は一番の関心ごとではないでしょうか。特に、感染症拡大や不景気など先行き不透明な世の中ということもあり、「安定した職業に就いて安心して暮らしたい」と考える大学生は多いようです。

しかし、安定していると言われる業界や大手企業などへの就職は、簡単ではありません。就活が始まる前から、「激しい競争を勝ち抜けるのか」と漠然と不安を抱える大学生は少なくないでしょう。

また、就職すると、1日の多くの時間を仕事に費やすことになります。それなら、できるだけ楽しく働けるのが理想ですよね。実際に、「マイナビ 2022年卒大学生就職意識調査」において、最も多くの大学生から挙げられた就活観は「楽しく働きたい」でした。

楽しく働くには、仕事内容だけでなく、職場環境や上司、同僚との人間関係も重要です。中には、ブラック企業といわれる会社も存在しますし、パワハラなどの問題をニュースで耳にすることもあるでしょう。

職場は1日8時間以上過ごす場所ですので、「そこで楽しく仕事ができるだろうか」と考えると、将来が不安になってしまうのは仕方のないことかもしれません。

ただし、就職に対して不安になるのは、「知らないことが多い」という理由もあるはずです。業界や企業について徹底的に調べて疑問点をつぶしていく、自己分析を繰り返して自分に合う業界や企業を知るなど、就活にしっかりと向き合ってみましょう。

実際に就職してみなければ、その仕事の内容、楽しさ、苦労、職場環境など全てを知ることはできません。しかし、就活に真剣に向き合うことで、より希望に近い就職に近づき、知らないことで生まれる不安も抱かずに済むのではないでしょうか。

2.夢や目標が見つからない

「やりたいことが見つからない」「何をやって生きていけばいいかわからない」と、夢や目標が見つからず悩む人もいるでしょう。夢や目標があるのはいいことですが、それを義務のように感じてしまうと、焦りや不安につながります。

また、夢や目標がないと、「就職の際にどのような業界を志望していいかわからない」という悩みが生まれるかもしれません。目標がないことで毎日を漫然と過ごしているような気持ちになり、「何があるわけでもないが辛い」という人も多いでしょう。

ただ、学生のうちに明確な夢や目標が見つかる人ばかりではなく、社会に出てからやりたいことを発見する人も大勢います。また、就職してから別の業界に興味を持ち、異業種に転職するのも珍しいことではありません。

さらには、仕事でこれといった夢、目標が見つからないとしても、「趣味やプライベートが充実していれば、毎日楽しい」という人もいるでしょう。

これからさまざまな経験を重ねる中で、目指したいものがハッキリすることもあります。今、夢や目標がなくても「これから見つかるのだろうか」と不安になりすぎる必要はありません。

3.結婚できるか

「自分は結婚できるだろうか」「良い人と巡り会えるだろうか」と、結婚についての不安を抱える大学生も少なくないようです。

特に最近は、新型コロナの影響で、人との集まりや出会いの機会が以前よりも少なくなっています。さまざまな規制が緩和され、少しずつコロナ以前の状況に近づきつつはありますが、それでも、人と関わる機会が減ったという人が多いのではないでしょうか。

また、恋愛に対するコンプレックスが原因となり、結婚に不安を持つ人もいるでしょう。結婚は自分だけの問題ではないからこそ、重い悩みに発展してしまいがちです。

ただし、結婚に対する不安を解消する前に、「結婚しなければいけない」「結婚するのが普通」という基準が自分の中にないかよく考えてみる必要があります。もしかすると、周囲や親の価値観が、知らぬうちに自分の価値観になっているかもしれません。

社会に出て生活する中で、結婚観が変わる可能性も大いにあります。また、結婚だけに囚われるのではなく、自分はどう生きたいのかを明確にすることで、結婚に対する不安は和らいでいくのではないでしょうか。

4.老後のお金に困らないか

以前なら、若い世代の人が老後のお金について心配することは、ほとんどありませんでした。しかし、最近では公的年金の話題がたびたび取り上げられることもあり、20代や大学生といった若い世代が老後のお金に不安を感じているようです。

「自分たちが老後を迎える頃には、公的年金だけでは生活できない」ということは若い世代を含めて多くの人が知るところとなり、自助努力で老後資金を準備することが求められる時代となりました。

一方、そうはいっても、大学生にとって老後は遠い未来の話です。老後の生活と言われても、自分の老後をイメージすることは難しいでしょう。「何もしないと老後資金が不足するらしい」と耳にしても、どのくらい足りなくて、どうやって準備すればいいのかわからなければ、漠然とした不安が膨らんでいくだけです。

しかし、不安があるからこそ、その分早い時期から対策を取ることができます。このままではいくら不足するのか知る、老後資金を貯める制度について勉強する、社会人になったら実際に積立を始めるなど、できることから取り掛かれば、老後への不安は小さくなるでしょう。

■将来への不安を和らげる考え方

不確定な未来を心配してしまうのは、誰にでもあることです。将来が不安だからといって、「自分はおかしいのでは」と考える必要は全くありません。

しかし、少しでも不安を和らげるためには、以下のような考え方を取り入れてみるといいでしょう。

1.不安を受け入れる

生命を維持して安全に生きていくため、人間には「変化しないようにする」「現状を維持する」という性質が備わっています。そのため、人は変化に対して恐れや不安を感じやすいのです。

これから社会に出て行く大学生の皆さんは、学生から社会人になるという大きな変化を目の前にしています。つまり、将来が不安なのはごく当然のことなのです。しかし、変化に対する恐れが強すぎると、不安で仕方ない、行動したいのに怖くて何もできない、良い変化だとしても受け入れられないという事態が起きてしまいます。

そうならないために、まずは「変化に伴う不安は普通のこと」と受け入れてみましょう。人間にもとから備わっている性質だと知り、そのうえで不安と向き合うと、これまでとは違った対応が取れるかもしれません。

2.人と比べず過去の自分と比べる

悩みの多くは、ただそれだけでは存在せず、人と自分を比べることで生まれます。たとえば、テストで90点を取った時、「90点も取れれば充分すごい」と思えればいいのですが、98点を取っている友人を見て、「自分なんて全然すごくなかった」と落ち込んでしまう人もいるかもしれません。

人と自分を比較し続ける限り、人と比べなければ発生しない、さまざまな悩みに苦しめられてしまいます。将来への不安も、人と自分を比較するからこそ生まれるものがあるのではないでしょうか。

そこで、人と比べるのではなく、今の自分と過去の自分を比べるようにしましょう。たとえば、「1ヶ月前の自分は人と比べて劣等感を感じてばかりだったけれど、今の自分は人と比べることが少し減った」とわかれば、成長を感じてポジティブな気持ちになれるのではないでしょうか。

このように、1ヶ月、3ヶ月、半年、1年前の自分と今の自分を比べ、ポジティブな変化を見つけてみましょう。正解はありませんので、少しでも自分が「こんな風に変われた」と思う点があれば、その変化に対して自信を持ってください。

3.悩む時間に制限時間を設ける

人生はさまざまな要素で成り立っているのに、一つ心配なことがあると、一日中そのことばかり考えて思い詰めていませんか。一つのことを考えすぎると、それが人生の全てであるかのような錯覚を引き起こし、いつも暗い気持ちになってしまいます。

そこで、「悩むのは一日15分」のように、制限時間を設定して思い切り悩むのがおすすめです。感情は思い切り味わうと消えていくと言われていますし、この時間はめいっぱい悩んでいいことにしましょう。

それでもどうしても考えてしまう場合は、何かに没頭している時間を作ってみてください。ドラマや映画鑑賞、楽器の演奏、ランニング、ヨガ、ゲームなど、不安や心配が入り込む余地のない趣味の時間を持つのです。すると、一日の中で何も悩んでいない時間が生まれ、気持ちが少しスッキリするでしょう。

■将来への不安を解決するための具体的な方法

漠然とした将来への不安も、具体的に何に不安を感じているのか、その不安の解決のために何ができるのか明らかにして行動することで、不安の原因自体が解消することもあります。

最後に、将来への不安を解決するための具体的な方法を、2つご紹介しましょう。

1.自力で稼ぐ手段を知る

大学生が抱える将来の不安はさまざまですが、不安のもとを辿っていくと、収入など経済的な悩みに行き着くことがあります。

たとえば、「安定した企業に就職できるか」という不安は、具体的には「収入が少なく不安定だと、安心して生活できない」という潜在的な不安でしょう。

しかし、最近では多様な働き方が広まり、副業や複業、週末起業で複数の収入源を確保することも一般的になりつつあります。安定した企業に就職できなかったからといって、多くの収入を得ることや、収入を安定させることが不可能になるわけではありません。

経済的な不安を少しでも解消するため、今から自分で稼ぐ力をつけておくのもおすすめです。たとえば、インターネットビジネスなどで収入を得ることは、大学生のうちからでもできます。

自力で稼ぐ手段があることを知ると、「安定した企業に就職できたらいいけど、もしできなかったとしても、何とかなるだろう」という気持ちになり、不安がずいぶん小さくなるのではないでしょうか。

将来に漠然とした不安を感じるのは、不安の原因を解決する手段を知らないことも一因でしょう。視野を広げて「解決の手段はある」と知れば、意外とあっさり不安が消えるかもしれません。

2.ビジネススキルを身に付け資格を取得する

社会へ出ることに不安を感じるなら、大学生のうちにビジネススキルを身に付けたり、資格を取得したりするのもおすすめです。パソコンスキルやプレゼンテーションのスキル、ビジネスマナーなど、社会人として広く求められるスキルを先取りしておくと、社会へ出ることに自信が付き、前向きな気持ちになれるのではないでしょうか。

資格は、知名度のあるものをやみくもに取得すればいいわけではなく、志望する業界や職種で役立つ資格を厳選しましょう。「資格を取得するまで努力できた」という経験が自信につながりますし、業界の仕事内容に詳しくなって就活にも役立ちます。

■不安を感じる時は何かアクションを起こしてみよう

学生時代を終え、初めて社会に出ようとしている大学生に不安はつきもの。将来に不安があるのは、ごく当たり前のことです。しかし、あまりに不安を感じる場合は、考え方を変えたり、資格を取ってみたりと、何かしらのアクションを起こしてみましょう。

また、自分一人で抱え込まず身近な人に話を聞いてもらう、具体的な悩みがある場合は、その道の専門家に相談するのも有効な手立てです。少しでも不安を和らげ、充実した毎日を過ごしましょう。