京阪電気鉄道、東洋電機、交通電業社の3社は、将来の状態基準保全(CBM)に向けた車両状態監視システムの試験を2月11日から約1年間実施すると発表した。京阪電気鉄道の車両13000系1編成(13024編成)を使用し、試験を行う。

  • 京阪電気鉄道13000系への「CBM遠隔装置」実装イメージ

デジタル技術を活用してメンテナンスを行うことで、より安全な車両の提供と効率的なメンテナンス体制の構築をめざす取組みとして実施。「状態基準保全(CBM)」とは、装置の状態を常時監視し、状態に応じてメンテナンスを行うことにより、故障を未然に防ぐ保全方法を指す。

今回の試験では、交通電業社製「CBM遠隔装置」を13000系に搭載し、車両の制御装置・モーターから取得した電圧・電流・温度などのデータを自動的にクラウドサーバーへ随時転送する。転送されたデータはPC・タブレット端末等で閲覧できる。

これにより、従来は作業員が現地の車両に赴いて実施していたデータの確認作業が不要となり、作業を省力化できるほか、装置の異常を早期に発見しやすくなるという。「CBM遠隔装置」で取得するデータは、現行の地上・車上間通信の通信容量に対して余裕があるため、既存設備を活用したデータ送信が可能で、車両への導入も容易とのこと。

  • CBM遠隔装置実装イメージ(拡大)

  • 監視システムの全体構成イメージ

試験は13000系1編成を用い、2月11日から約1年間、京阪線淀屋橋・中之島~出町柳間にて行われる。将来的には監視対象機器を拡大し、労働力不足に備えた効率的なメンテナンス体制の構築をめざすとともに、機器の劣化や寿命、故障予測を行うことで、安全性の向上につなげるとしている。