映画『ロストケア』(3月24日公開)の完成披露舞台挨拶が2日に都内で行われ、松山ケンイチ、長澤まさみ、鈴鹿央士、戸田菜穂、加藤菜津、前田哲(監督)、葉真中顕(原作)が登場した。

  • 左から長澤まさみ、松山ケンイチ

    左から長澤まさみ、松山ケンイチ

同作は葉真中顕による同名小説の実写化作。未曽有の連続殺人事件を起こした心優しい介護士・斯波宗典(松山ケンイチ)と検事の大友秀美(長澤まさみ)が対峙し、自分がしたことは「殺人」ではなく「救い」だと主張する彼がなぜ殺人を犯したのかに迫るヒューマンサスペンスとなる。

10年前から監督と一緒に同作を映画化するために動いていたという松山は観客と一緒に試写を観ていたそうで、長澤も松山について「この作品に情熱を持って映画化したいと動いていた人ですから、確実にプロデューサーさんだと思って接していたところがありました」と明かす。

介護殺人を題材とした同作から学んだことについて聞かれると、鈴鹿は「これから生きていく中で、親と向き合う時は来る、日本の社会では起こり得ることだと思うので、心の奥底に自分がどうですかと強く言われた感じがしました」と語る。

長澤は「私も普段からしていますが、自分達の将来について両親と話し合ったり、どんな風に老後を過ごしたいとか、将来の夢を語るのと同じように、自分の生涯のことを話し合うのが重要なことだなと思います」と意見を述べる。すると松山が「僕もまーちゃん(長澤)と一緒の……」と話し始め、長澤は「ケンちゃんもそう思ってた?」とあだ名で応じた。

松山が「備えがどうしても必要だと思います。いざそうなってからどうするんだって、遅いんですよね。いろんなセーフティネットがあると思いますけど、当てはまるかどうか早め早めに確認しておくとか、備えないと対処しきれない大きな問題だなと思います」と真面目に続けるも、前田監督が「2人、現場中全然話してないです」と暴露し、松山は「その情報要らなくない!?」と苦笑していた。

この日は原作者の葉真中も登壇し「いわゆる自己責任論とか、そういうものに飲み込まれないで、他人への想像力というものを豊かにして欲しい」と訴えかける。「若い方もたくさんいらっしゃっていて、介護を遠いものに感じる方も多いと思うんですけど、作品の中でもみなさんの同世代でも、孤独になってしまって介護の負担を抱えている若い方はいるんです。自分とは違う立場の、何か大きなものを抱えていたりする方たちへの想像力を忘れないでいただきたい。そういったものに思いを馳せることから世の中は繋がっていくのだし、斯波のような悲しい人間を生み出さないことになるんじゃないかな」と語りかけた。