ウッチ。ポーランドにしては覚えやすい街の名前です(笑)。実は今回旅した中で、もっともユニークで印象に残る街でした。もとは人口数百人の小さな村でしたが、19世紀に紡績工場が次々に建設され、急速に近代的な工場都市へと発展。欧米諸国から多くの資本家や熟練職人が成功を夢見て集まり、「約束の土地」と呼ばれていたそうです。
ウッチには職人たちの娯楽のための映画館が1,000近く建てられていたこともあり、戦後は映画大学が造られました。ポーランド映画界の巨匠アンジェイ・ワイダ監督をはじめ、ロマン・ポランスキー、『蜜蜂と遠雷/2019年』で日本アカデミー賞優秀作品賞を受賞した石川慶ほか、大勢の映画人を排出しています。これらの豊かな映画文化が評価され、2017年にはユネスコ創造都市に選ばれています。
繊維産業が廃れた後、工場跡は一大アミューズメント施設として再開発が進み、博物館や美術館など見どころも多い文化都市として変貌。近年、「オフ(正式名OFF Piotrkowska)」と呼ばれる旧ラミッシュ工場跡地は、アーティストやデザイナーがアトリエを構えワークショップも開かれています。人気レストランや、バー、クラブ、ライブハウスなどが入り、若者のトレンディスポットになっていました。
ウッチのクリスマスマーケットは、この「OFF」からほど近い、目抜き通り「ピオトルコフスカ通り沿い」で開かれます。ブースは、ツリー用のオーナメントから、温かい料理、燻製肉やハム、チーズ、クリスマスには欠かせないジンジャーブレット、ケーキ、手工芸品など。アツアツのクリスマスドリンクをいただきながら、そぞろ歩いてみましょう。
マヌファクトゥーラ内にもクリスマスグッズや料理を売るブースが並び、賑やか。スケートリンクもありました。
●ウッチのクリスマス市
開催場所: ピオトルコフスカ大通り(郵便局前の約100m)
住所: Piotrkowska 134, 90-054 Łódź(郵便局の住所)
*ウッチへはワルシャワから車で所要約2時間半