映画『すずめの戸締まり』(11月11日公開)の完成報告会見が25日に都内で行われ、原菜乃華、松村北斗、染谷将太、伊藤沙莉、花瀬琴音、野田洋次郎(RADWIMPS)、陣内一真、新海誠監督が登場した。

  • 松村北斗

    松村北斗

同作はアニメーション監督・新海誠による最新作。日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる"扉"を閉めていく少女・すずめの解放と成長を描くロードムービーとなる。九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(原)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太(松村)に出会い、日本各地で次々に開き始める、災いが訪れてしまうという扉を閉めるための旅がはじまる。

今回旅の青年・草太役で同作に参加した松村は、原と共に約1カ月半のアフレコに臨み「もちろん声は僕の体から出てるんですけど、新海さんが僕らのことを『楽器』と表してくれたことがあって、そう思うと僕が演奏するよりも新海さんが演奏することで草太が完成するとは感じていて」と振り返る。「『この音じゃないな』『このメロディじゃないな』とどんどん鍵盤を押し変えていってくださる作業は新海さん、音響監督の山田さんを筆頭にしていただいて、アフレコ期間中の変化とか苦悩というと、実は新海さんの方が詳しいんじゃないかというくらい、僕はすべて預けたような思いでした」と表した。

新海監督も「どこか途中で北斗くんは気づきというか、切り替えがあったように思うかな」と同意。監督自身も「一緒に探していこうという気持ちでやっていて、北斗くんがある部分から、芝居なんだけど映画のために自分自身を丸ごと委ねるんだという気持ちに切り替わった瞬間があった気がして、そこからより草太になっていったという感じはしました」と明かす。

その体験は大きかったようで、松村は「個人的な話になっちゃうんですけど、僕は27歳で、若いといえば若いだろうけどすっかり大人。年々、自分1人で戦えるものを身につけたいし身につけなきゃいけない、人に頼ることをなくさないといけないような使命感に駆られていたんですけど、この作品のアフレコ期間中は、新海さんもおっしゃっていただいたように全てを委ねて返してもらったものの中で全力で立ち回る期間だったんです」と語る。

松村はさらに「そうやって必死に生きる生き方を、また一つ新たなルートとして見つけられたというか。それまでってずっと次の日やってくる仕事がどこかずっと怖いし、人生に乗り気じゃなかったものが、ひょんなことで仲間ができたり全く自分の人生に責任がない人が気づかぬうちに自分の責任を負って時にひっぱってくれたり、そういう出会いをして、アフレコ期間中に明日が来るのがどんどん楽しくなっていって、思い返すと作品がすごいそういう作品だったかも」と作品自体の影響にも言及。「自分の欠けた部分とかも、自分から誰かに頼ったり甘えたり、誰かの強みを借りたりとかして、試行錯誤して行くことで、十分に今の自分のまま力強い心で明日を生きていける。そういうことをアフレコ期間中に新海さんからいただいて、いざ昨日完成した作品を見て、改めて内容とリンクしていて、今の自分のまま、明日を生きていく楽しみをもらったという思いです」と熱い思いを表した。