映画『すずめの戸締まり』(2022年秋公開)の製作発表が15日に都内で行われ、新海誠監督、上白石萌音、森七菜が登場した。

  • 左から森七菜、新海誠監督、上白石萌音

    左から森七菜、新海誠監督、上白石萌音

同作はアニメーション監督・新海誠による最新作。日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる"扉"を閉めていく少女・すずめの解放と成長を描くロードムービーとなる。九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年に出会う。彼の後を追うすずめが山中の廃墟で見つけたのは、まるで、そこだけが崩壊から取り残されたようにぽつんとたたずむ、古ぼけた扉。なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばす。やがて、日本各地で次々に開き始める扉。その向こう側からは災いが訪れてしまうため、開いた扉は閉めなければいけないのだという。不思議な扉に導かれ、すずめの"戸締まりの旅"がはじまる。

新海監督は同作について「日本列島各地を巡るロードムービー」「扉を開いていくのではなく閉じていく物語」「映画館に足を運ぶ理由となるような作品」と3つのキーワードを提示する。

ロードムービーということについては、「各地舞台あいさつに伺うと、『次は僕の、私の街を舞台にしてください』と言われることが多く、嬉しいけど全部は出せないと思っていたんですが、今回はロードムービーとすることで欲張りとして、各地の風景や特別な出会いを描くことができるのではないか」と構想しているという。

2つ目の「扉を閉じていく物語」という点については、「何かを始めることより終わらせることの方が難しい。映画作りもそうですし、恋愛であったり家族関係であったり、生活の中でも終わらせることの方が難しいということもあるでしょう。少子高齢化が進んでいくようなこの国にとっていろいろなことがそうじゃないかと感じることが多くなってきました」と意図を明かす。「いろいろな可能性を開いていく物語ではなく、散らばってしまった可能性をもう一度きちんと見つめてあるべき手段できちんと閉じていく。そのことによって次に進むべき本当の新しい場所を見つける、そういう物語を作るべきなんじゃないか、お客様が見たいんじゃないかと考えて閉じていく物語にしました」と語った。

3つ目のキーワードについては「昨今、配信が全盛で、僕自身も寝る前に楽しみに見ているんですけど、やっぱり劇場、映画館というのは人間の持っている特別な能力を発揮させてくれる場所なんじゃないかと思うんです。それは感情移入することであったり、物語に没入するという能力で、家でリラックスして配信を見ていてももちろん発揮されるけど、映画館に実際に足を運んで、暗闇の中に座って集中して、大きなスクリーンを見るということによって、最も強く引き出されると思うんです。そういうことができるような絵作り、音作りをやっていきたいと思っています」と意気込んだ。

この日は『君の名は。』ヒロイン役の上白石萌音、『天気の子』ヒロイン役の森七菜も登場し、新海ファミリーとしてトークを繰り広げる。新海監督は「まだすずめ役のオーディションもしてないので、萌音ちゃんと七菜ちゃんに助けていただけないでしょうかと探ったら事務所の方からも快諾をいただいた」と明かした。