長年にわたってお昼の代名詞として親しまれたフジテレビの公開生バラエティ番組『森田一義アワー 笑っていいとも!』が、10月4日で放送開始40年という節目を迎えた。これを記念して、「テレフォンショッキング」に“ブッチャー小林”として出演もしていた小林豊氏、記念すべき初回放送を担当した永峰明氏、85年から90年まで担当し、「3代目いいとも青年隊」も務めた吉田正樹氏という3人のレジェンドディレクターによる座談会を開催。あまりにも撮れ高が良かったので、『いいとも』の放送時間に合わせ、10月3日から7日まで、毎日正午に5回にわたって記事を掲載した。

せっかく昼の帯で展開したのだから……という思いつきで、『笑っていいとも!増刊号』が放送されていた日曜朝10時に、こちらも「増刊号」を出すことにした。

『いいとも増刊号』は、仕事や学校で平日の昼にテレビが見られない人のために、その週の「テレフォンショッキング」や人気コーナーのダイジェストに加え、CM中の出来事、放送終了後の「後説」と呼ばれるフリートークなどで構成されていた。今回の座談会も、記事に載せていないエピソードは多数あるものの、オフレコの話以外はほぼ出し切ったので、連載を終えての雑感ということでご容赦いただきたい。

  • (左から)吉田正樹氏、小林豊氏、永峰明氏 ※下段は『笑っていいとも!』担当当時=本人提供

■3人の見事なバランスで進行

この企画は2~3年前から構想していたが、実際に動きだしたのは今年7月。放送期間31年半という長寿番組のため、取材対象の人選は何十通りも思い浮かぶが、40年記念であれば40年前に着目すべきということで、初期に焦点を絞った。その結果、『いいとも』も担当していた故・星野淳一郎さん関連の取材でお世話になった吉田氏に加え、小林氏、永峰氏という3人が第一候補に挙がったが、いずれも快く引き受けていただいた。

特に、テレビ静岡で社長・相談役・顧問を歴任し、退任後も静岡在住の小林氏にはリモートでの参加を提案したが、本人の強い希望でご来京。参加依頼のメールにも1時間たたずしてご快諾いただき、この時点から熱い“いいとも愛”が伝わってきた。

座談会は、そんな小林氏がどんどん回して大いに盛り上げ、永峰氏が重要なエピソードや秘話を随所で差し込み、吉田氏が全体をまとめながら補足も入れるという見事なバランスで進行。このお三方にお願いして良かったと実感する場面が何度もあった。

■5回中すべての記事に名前が出た横澤プロデューサー

今回の座談会を通して改めて感じたのは、初代プロデューサー・横澤彪さん(2011年逝去)の存在の大きさだ。5回の記事中、すべての回で名前が出てくるのが、それを裏付けている。

小林氏が「ディレクターが『これをやりたい』って言い出すと『どうぞお好きなように』って言う」「一切自分の考えにハメようとしなかった」と、ディレクターに任せる度量の大きさを何度も語っていたが、その小林氏に「テレフォンディレクター」をやるように仕立てたり、吉田氏に「(いいとも青年隊を)明日からお前らやれ」と命じたり、『THE MANZAI』での実績を見込んで永峰氏に音楽などの部分でパッケージを作ることを指示したりと、要所要所で重要な判断を行っている情景が浮かび上がってくる。

吉田氏いわく「猛獣使い」として、まさに“プロデューサー”の仕事をしていたことがうかがえ、『いいとも』『THE MANZAI』に『オレたちひょうきん族』と、フジテレビ黄金時代を築いた名物プロデューサーの一端を垣間見たような気持ちになったが、やはり生前のご本人に一度お話を伺ってみたかったという惜しさも同時に抱いた。

■港社長と一致していた考え

第5回では、古巣・フジテレビへのメッセージとして、小林氏が「面白がって『やっちゃえ! やっちゃえ!』ってなると、いいんじゃないかな」と、クリエイターのアイデアにストップをかけない、タモリや横澤さんのイズムが必要なのではないかと説いてくれた。

ちょうどこの座談会記事の掲載が進む最中、今年6月に就任したフジの港浩一社長にインタビューしたのだが、そこでも「編成が『いや、もっとよく考えよう』となるのではなくて、面白そうだと思ったら乗っておだててくれる環境を作ることが大事」という言葉を聞くことができた(記事は10月10日掲載)。

フジのバラエティ制作の中で“横澤班”とは別の“石田班”にいた港社長が、小林氏と同じ考えを持っていることから、全盛期のフジ全体がそうした空気に包まれていたことを改めて確認できたわけだが、会社の規模やテレビを取り巻く環境が大きく変わる中で、その実効性は新社長の手腕が問われる部分だろう。

座談会実施時は、来年1月スタートのお昼の新バラエティ番組『ぽかぽか』の発表前だったが、小林氏は「若い人たちに自由に作らせる機運、それを吸い上げる編成マンの観察力を養わないと。特に、『いいとも』をやっていた我々としては、お昼の番組はそういう気持ちでもう1回作ってほしいなあ」と希望を語っていただけに、それに応える番組となることを期待したい。

そして数十年後に、どこかの媒体が「『ぽかぽか』誕生◯◯年・レジェンドD座談会」を催すなんてことを妄想しながら、この「増刊号」を締めることにする。そういえば『いいとも増刊号』の後は、『海ごはん山ごはん』というミニ番組をへて日曜のお昼を迎えるのが定番だった…。