モデル・タレントの佐藤栞里が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)で、同番組のナレーション収録に初めて挑んだ。担当したのは、11日に放送される『話を聞いてくれる人 ~空っぽの僕が生きる意味~』。夜の名古屋駅前で、ただ人の話を聞く「聞き屋」の男性・水野怜恩さんを追った作品だ。

自身も“聞き役”だという佐藤だが、水野さんの姿を見て、「本音を言えるかもしれないし、新しい自分が見つかるかもしれない」と、気づきがあったようだ――。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した佐藤栞里

    『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した佐藤栞里

■知り合いだと本音が伝えられないことがある

「聞き屋」を訪れるのは、学生や会社員、主婦など老若男女を問わない。話すのは、恋愛や仕事など人間関係の悩みで、中には、家庭内暴力や自傷行為など、深刻な問題を抱えている人もいる。ただ聞くだけで何もアドバイスのない「聞き屋」に、彼らが心ひかれるのはなぜなのか…。

そんな「聞き屋」の水野さんが、もし自分の近くにいたら…と想像したという佐藤。

「水野さんのことを私は知らないし、水野さんも私のことを知らないじゃないですか。だから、この関係だからこそ話せることとか、伝えられることとか、逆に聞いてあげられることってあるんだなあって。私はお互いのことを知っていると、思いやりの気持ちがあるからこそ、相手のことをちょっと考えたり、遠慮しちゃったりして、言葉を1つ1つ選んで、結局本音が伝えられないっていうことが結構あるので、そんなときに水野さんみたいにフラットな、ただただ聞いてくれる方がいたら、何も考えないで話せて救われることがあるんだなと。番組の中でも、たくさんの方が水野さんとお話しすることで、すごく気持ちが軽やかになっていた印象があったので、それはとても素敵だなと感じました」

さらに、「水野さんとお話ししている時間は、少し“わがまま”になっても良い時間なのかな、とも感じました。本音を言えるからこそ自分のことを見つめ直す時間にもなるのかなとか、『私、こんなこと思ってたんだ』『こんなことやりたかったんだ』って発見できるきっかけになるかもしれないなと」といい、「聞き屋」が求められる背景を理解。

実際に、自分が何を聞いてもらいたいかを尋ねると、「『何で彼氏いないんですかね?』とか、そういうフランクなことから(笑)。あと、お仕事のこととかですね。同じ業界の方にはなかなか話せなかったりするので、そういうのもちょっと聞いてみたいです」と興味を示した。

  • 「聞き屋」の水野怜恩さん (C)フジテレビ

■MCの参考に「私の中に水野さんを降ろして…」

“聞き役”と“話し役”に分類すると、「周りにすごくおしゃべりが上手で、楽しい人がたくさんいるので、私はわりと“聞き役”かもしれないですね。でも、それがすごく楽しくて、ドラマの感想とか漫画の感想を『この方はこうやって表現できるんだ!』って勉強にもなります」とのこと。

様々な番組でMCを務め、聞き役になることが多い立場だが、水野さんの聞きぶりを見て、「私はすごく心配性なのと、元々MCが上手じゃないっていうのがあって、焦ってしまうんです。ゲストさんがまだお話ししてるのにリアクションをしてしまったり、次の話題を探してしまったりっていうことが結構あるんですけれど、水野さんはすごく落ち着いたトーンで1つ1つの会話を崩さずに相づちを打ったり、お返事をしていたので、あのフラットな心がうらやましいなって感じました。これからは、ちょっと焦ってきたら、私の中に水野さんを降ろして、『落ち着いて、落ち着いて』ってしているかもしれないです(笑)」と、参考になる部分もあったそうだ。

■「ここが『ザ・ノンフィクション』だよな!」というシーン

「聞き屋」での佇まいは、まるで救世主のような水野さんだが、普段は実家暮らしの“ニート状態”。やりたいことも特になく、できることなら働かずに、楽をして生きていきたいという考え方に対し、ディレクターが物申す場面も登場するが、佐藤はここに『ザ・ノンフィクション』の真髄を見たという。

「最初は静かに見守っていたけど、水野さんと時間を共にするにつれて、ディレクターさん自身の本音が出た瞬間でしたよね。あの場面が私は結構好きで、それはディレクターさんが水野さんのことを一生懸命思っている証拠なんだと感じたんです。2人の空気に、こっちがヒヤヒヤする部分もあったけど、その瞬間にすごく人間らしさがあって、『ここが“ザ・ノンフィクション”だよな!』っていう気持ちになりました」と、幼少期から家族で見てきたという番組ファンならではの視点で熱弁した。

  • (C)フジテレビ

そんな今回の放送について、「すごく気づきのあった回だなと思いました。私は普段、聞き役になることが多いけど、もし水野さんみたいな人がいたら、本音を言えるかもしれないし、新しい自分が見つかるかもしれない。それに、近くに水野さんがいなくても、そういう存在に救われる瞬間ってきっとあると思うので、やっぱり自分1人じゃないんだよっていうことを改めて感じましたね。私ももっと、人に何かを話してみようという気持ちになりました」と感化された様子。

その上で、「皆さんも、“近くの水野さん”を探してほしいです。きっとたくさん共感できる部分があると思いますし、そうでない部分も楽しんでもらえたらいいなと思います」と呼びかけた。

●佐藤栞里
1990年生まれ、埼玉県出身。01年に『ピチレモン』のピチモオーディションでグランプリを獲得し、モデルとしてデビュー。現在は『MORE』『mini』『ar』でレギュラーモデルを務めるほか、バラエティ番組を中心に活躍し、『ヒルナンデス!』『1億人の大質問!? 笑ってコラえて!』『有吉の壁』(日本テレビ)、『王様のブランチ』(TBS)にレギュラー出演。『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS)などドラマにも出演し、『沸騰ワード10』(日本テレビ)では “立ち食い愛”を披露している。