公開初日を迎えた映画『スーパー戦闘 純烈ジャー 追い焚き☆御免』の舞台挨拶が1日、新宿バルト9にて行われ、主演の人気ムード歌謡グループ「純烈」と敵役で登場する本宮泰風、そして現在「純烈■ダチョウ(じゅんれつおふろだちょう)※■は温泉マーク」というユニットを組んで活動するダチョウ倶楽部の肥後克広、寺門ジモンがかけつけ、佛田洋監督と共に映画の見どころを中心とする楽しいトークを繰り広げた。

さらに、今年(2022年)いっぱいで純烈を卒業する小田井涼平に代わる新メンバーとして、『仮面ライダーオーズ/〇〇〇』(2010年)の仮面ライダーバース/伊達明役で知られる俳優・岩永洋昭が登場。客席につめかけた多くの純烈ファンをどよめかせた。

  • 左から、佛田洋監督、本宮泰風、小田井涼平、白川裕二郎、後上翔太、酒井一圭、岩永洋昭、肥後克広(ダチョウ倶楽部)、寺門ジモン(ダチョウ倶楽部)

『スーパー戦闘 純烈ジャー 追い焚き☆御免』は、2021年に公開され大評判となった『スーパー戦闘 純烈ジャー』の続編映画。スーパー銭湯や健康ランドのステージで多くのマダムたちを熱狂させるムード歌謡グループ「純烈」が、温泉の平和を乱す悪と戦うためヒーローに変身するという1作目のユニークな設定をそのまま継承し、こんどは日本全国の温泉をすべて水風呂に変えようとする「マイナスカンパニー」の野望に立ち向かい、巨大ロボット「銭湯巨神 純烈王」を操縦する4人の純烈ジャーの激闘を描く。

本作ではドラマを背負うメインの役どころとなる「純レッド」白川裕二郎は「前作のときはケガをしていたため、アクションがなかなかできず苦労しました。今回は身体の動きが100%戻っていますから、ふんだんにアクションシーンがありますのでお楽しみに!」と、自身の見どころを強くアピールした。

「純ブルー」を演じる小田井涼平は「前作も本作もケガのためアクションができませんでした」と、白川の言葉を受けてジョークを飛ばして周囲から「最初からアクションやってなかったでしょ」とツッコまれつつ「1作目と比べていろんな部分がスケールアップしている素敵な作品です」と、前作以上の娯楽要素を備えた本作の出来栄えに自信を見せた。

「純グリーン」を演じる後上翔太は「現実での純烈にゆかりのある場所が出てきます。現実にリンクする形での登場ですので、そこをぜひ観てください」と、純烈を育てた大切な思い出の地がクライマックスに登場することを強調した。

「純バイオレット」を演じるリーダー酒井一圭は「この作品を撮っているころは、まだ小田井さんが卒業することを知りませんでした。気が付けばあと4ヶ月で小田井さんは純烈を去ってしまう。この4人での『純烈ジャー』は本作で最後になるので、これが見どころです」と、現行メンバーがそろって活躍する最後の映像作品となった本作を、多くの人たちに楽しんでもらいたいと語った。

マイナスカンパニーCEO「哀須永仁(あいす・えいじん)」を演じる本宮泰風は「純烈のみなさんは最近俳優をやっていないと聞きましたが、勘がすばらしくいいので撮影はずっとスムーズに進み、やりやすかったです。ただ今回、佛田監督にいろいろ(奇妙な)演出をつけられたので、精神を保つために心を“無”にしていました。決して、僕が進んでああいう演技をしていたわけではありません」と、ふだんの自分のキャリアからは想像もつかないような突飛な役どころを演じるにあたっての心境を告白した。

前作に続き、本作の演出を手がけた佛田洋監督(特撮研究所)は本宮の言葉を受けて「本宮さんにいろいろヘンなことをさせてしまってすみません。そこは笑い飛ばしてください!」と苦笑まじりに語り、キャスト・スタッフが力を合わせて理屈抜きで楽しめる痛快娯楽映画の決定版を作りあげたことで満足気な笑みを浮かべた。

MC(純烈ジャーをサポートする平助役で映画にも出演している山本康平)から「純烈ジャー2作品を終えて、やり残したこと、今後やってみたいことは?」と質問が寄せられると、佛田監督は「1作目では小林幸子さんを巨大化させ、2作目でも“大御所”の方を巨大化させました。3作目でまた巨大戦をやるのなら、演歌界、歌謡界の大御所をたくさん巨大化させて、紅白に分かれて戦っていただくというのはどうでしょう。予算オーバーするかな(笑)」といった壮大なアイデアを語った。これを聞いた酒井は「次の入場料を1万8千円くらいに上げれば可能かも」と、大胆すぎる提案をして周囲の笑いを誘った。

ここで酒井の呼び込みにより、現在純烈と「純烈■ダチョウ」というユニットを組んで活動しているダチョウ倶楽部(肥後克広、寺門ジモン)が得意のギャグ「ヤー!」を連発させながらステージにやってきた。ファンからの拍手に迎えられた肥後は「純烈を愛するファンのみなさんが、あたたかく出迎えてくれて嬉しいです」と、感激をあらわにした。

現在「純烈■ダチョウ」は1996年に猿岩石が歌って大ヒットした「白い雲のように」をカバーして、話題を集めている。肥後は「ここで歌を歌うのは、イベントの時間が押してしまうので無理ですが、いつか機会があればみなさんの前で歌いたいです」と語り、「純烈■ダチョウ」が生歌を披露する今後のチャンスをうかがった。

2020年に『フード・ラック!食運』という映画の監督を務めた経験のあるジモンは本作について「笑いあり、アクションあり、感動あり、こんなテンポのいい映画を観られてうれしかった。もう終わっちゃったの?と思うくらい夢中で観て、わくわくしました」と絶賛。さらに、映画人の視点から本作の注目点=「ジモンポイント」を2つ挙げた。まず1つ目は「メインの白川さんが、歌っているときよりも活き活きして役を演じているところ。すごいパワーを感じた」と、白川の役者魂のすばらしさを挙げた。2つ目は「酒井さんの“カメラ目線”が3ヶ所もあった。2、3回繰り返し見ればどなたでも気づくと思います」と、芸歴40年を誇る酒井が演技中、カメラのほうを見てしまうカットがいくつかあったことを指摘。酒井は苦笑しながら「俺、カメラが好きなんですね」と言ってこの場を乗り切ろうとした。

酒井の弁明(?)を聞いてなぜかエキサイトした肥後は「酒井、お前役者として、そういうところがなってないんだ……ヨ!」と言いながら足で床をドンと踏みつけ、その反動で登壇者が一斉にピョンとはね上がる得意の「ジャンプ芸」を披露。大勢のファンたちや、カメラを構えるマスコミ陣をも巻き込んで爆笑を誘った。

ここで酒井から「この舞台挨拶の場で、大事なお知らせをしたい」という意味深な言葉が飛び出した。

「肥後さん、ジモンさん、例のブツ持ってきてください!」という酒井の呼びかけに応えたダチョウ倶楽部の2人は、今年いっぱいで純烈を卒業する小田井に代わる新メンバー・岩永洋昭を連れてきた。

岩永洋昭は『仮面ライダーオーズ/〇〇〇』(2010年)の仮面ライダーバース/伊達明や『宇宙刑事シャイダーNEXT GENERATION』(2014年)のシャイダー/烏丸舟などでヒーロー経験があるほか、第1作『スーパー銭湯 純烈ジャー』では敵側として出演を果たしている。

岩永がこの場で登場することは酒井以外誰も知らなかったため、白川、小田井、後上、そして本宮、佛田監督はこの状況を観て、ひたすら驚くしかなかった。

今後また観られるかどうかわからない、小田井、白川、後上、酒井、岩永の記念すべき勢ぞろいカット。

岩永はマイクを手にして「5、6年前から山本マネージャーと仲良くさせていただいて、冗談半分に『純烈に入る決心ついたか?』と言われていたことがありました。今年に入って小田井さんが卒業されるというタイミングで『真剣に行くぞ!』と声をかけてもらい、このたび純烈に加わることになりました。歌もダンスもレパートリーに入れている最中で、頑張って(メンバーに)追いつき、みなさんに喜んでいただけるようがんばります!」と挨拶。フレッシュな岩永の姿を見た小田井は「挨拶がスレてなくていいね。でも2年後にはシモネタ言うようになるかもよ(笑)」と、頼もしい後輩の誕生をギャグ交じりで祝福した。

最後の挨拶で後上は「純烈にはこれからも予期せぬ出来事が次々に起こるかもしれませんが、映画『純烈ジャー 追い焚き☆御免』ともども、僕たち純烈を愛していただけると嬉しいです!」とさわやかな笑顔で語り、これからも変わらぬ応援をファンに呼びかけた。

小田井は「岩永くんがかけつけてくれたのは嬉しいですが、この映画『追い焚き☆御免』にはメンバーの『交代劇』とかはありません。純烈ジャーのパート2として、純粋に楽しんで観てください」と語り、現行メンバー4人で活躍する純烈ジャーの勇姿を堪能してほしいとアピールした。

白川は「こんな盛りだくさんな内容のイベント、今日来られた方はラッキーでしたね。大きなスクリーンで映画を観ると、圧倒されるものがあります。最後まで楽しんでください」と、映画ならではの派手な仕掛けが盛り込まれた本作をぞんぶんに味わってほしいとにこやかに語った。

最後に酒井は「ここに岩永を呼ぼうと思ったのは、1週間前のことでした。本来なら、来年になって彼のお披露目の場を設けたいと思っていたのですが、同じステージに立ってバトンタッチしたいという小田井さんの希望を汲みつつ、ダチョウさんとの活動もあり、いろいろな面でやるならここなんじゃないかと思い、急遽関係者のみなさんにご協力していただきました。今日、一番驚いたのは『今から行くぞ!』と言われた岩永じゃないかと思います(笑)」と岩永と小田井の「引き継ぎ」の場を作ろうとしたことを明かした。そして「僕の望みは、『純烈ジャー』3作目で小田井さんが“殉職”し、新しく加わった岩永を主役にしたストーリーを作ること。純ブルーに代わり、純オレンジがやってくるんです」と、早くも酒井から新作の構想が飛び出した。すると小田井から「殉職はせんでいい。海外に行くくらいにしといて」と早速のクレームがつき、周囲が笑いで包まれた。続けて酒井は「これからも、純烈と純烈ジャーの応援をよろしくお願いいたします!」とファンに向かって熱い視線を送りながら挨拶し、盛りだくさんなイベントを見事に締めくくった。

マスコミ向けフォトセッションで、登壇者はみな明るい表情をたたえながらカメラに向かって手を振った。

イベント終了後、なんと小田井と岩永が肩を組んでファンにアピールする最高のビジュアルが実現した。感極まった2人はガッツリと力強いハグをして、互いにエールを贈りあった。