JR西日本は24日、軽油を燃料とし、ディーゼルエンジンで動く鉄道車両への次世代バイオディーゼル燃料導入に向けた実証実験を実施すると発表した。国土交通省が公募した「鉄道技術開発・普及促進制度 令和4年度新規技術開発課題」(鉄道車両におけるバイオディーゼル燃料の導入に向けた技術開発)として、鉄道総合技術研究所とJR7社から共同提案した計画が採択されたことを受け、次世代バイオディーゼル燃料導入に向けて実施する。

  • JR西日本が次世代バイオディーゼル燃料の導入に向けた実証実験を実施。長期走行試験では、DEC700形やキハ40系などの車両を使用し、山陰本線などでの実施を検討している

次世代バイオディーゼル燃料は、軽油と成分がほぼ同等であるため、軽油からの100%置換えが期待されるバイオディーゼル燃料だという。軽油と次世代バイオディーゼル燃料は使用時のCO2排出量がほぼ同じだが、次世代バイオディーゼル燃料では原料となる植物などの成長過程で、光合成により吸収したCO2と燃焼時に排出するCO2が相殺されるため、CO2排出量が「実質ゼロ」とみなされる。

実証実験では、エンジン性能確認試験、走行試験、長期走行試験を行う予定。エンジン性能確認試験は、軽油と次世代バイオディーゼル燃料の混合率5%から開始し、段階的に100%に引き上げ、軽油を使用した場合との差異をエンジン単体での試験で確認する。走行試験は、試運転列車に次世代バイオディーゼル燃料を100%使用し、1日1往復の試験走行を実施。通常期・夏期・冬期の3シーズンで各1カ月程度実施し、気温の影響を確認する。

  • 次世代バイオディーゼル燃料は、CO2排出量が「実質ゼロ」とみなされる

  • 使用予定の次世代バイオディーゼル燃料

長期走行試験は、複数の営業列車に次世代バイオディーゼル燃料を100%使用し、1車両あたり1日200km程度走行。燃料消費量の変化や品質レベル、営業列車に使用できる安全性・安定性が担保できるか確認する。長期走行試験では、DEC700形やキハ40系などの車両を使用する予定。実施予定線区は山陰本線をはじめ、おもにディーゼル車両が走行する線区を検討している。

2022年度にエンジン性能確認試験、2023年度に走行試験、2024年度に長期走行試験を実施し、2025年度以降の本導入をめざす。この取組みにより、JR西日本が保有するディーゼル車両の燃料を次世代バイオディーゼル燃料へ100%置き換えることを目標とし、その実用性を検証する。なお、次世代バイオディーゼル燃料を常時100%使用する本格実装に向けた長期走行試験の実施は、鉄道事業者で初めてとのこと。