自己啓発とは、自分自身の意思によって能力を伸ばしたり、精神的な成長を目指したりするための行動を意味します。
本稿では、「『自己啓発』という言葉はよく聞くけれど、その詳しい意味についてはよくわからない」という方に向け、自己啓発の意味を理解し、実践に移すための方法をまとめました。是非参考にしてみてください。
自己啓発とは
まずは自己啓発の意味をしっかりと理解しておきましょう。
自己啓発の意味
自己啓発とは「自分自身の能力を高めることや精神的な向上を目指すこと」です。自己啓発は自分のスキルアップにつながり、仕事やプライベートで結果を出すためにも有効な方法です。
ここで重要なのが、これらの行動を“自分自身の意思によって”起こすことです。といっても、「啓発」という言葉は、自分一人で答えを見つけるのではなく、人からの教え・考えを受け入れ、答えにたどり着く――といった意味を持つため、何もかもを自分一人でやり遂げる必要はありません。
「行動を起こそう」と決めたら、そこからは素直に先人の教えを学び、現代のやり手ビジネスパーソンの考えを学び、それらを元に、自分なりのやり方を見つけ出せばよいのです。
自己啓発のメリット・効果
次に、自己啓発のメリットについて紹介します。
成長できる
なんといっても、最大のメリットは「自身の成長につながること」です。社会人になると、学生時代のような“常に学習する場が用意されていた環境”とは異なり、自分の学習も自己責任となります。それは言い換えるならば、“自分自身の成長も自己責任”ということ。
会社で得られる経験には限りがあります。特に、同じ分野の仕事を何年もやり続ける場合には、得られる経験が画一化していき、成長は鈍化していくことでしょう。その分野のスペシャリストにはなれても、別の分野に関する知識は皆無……といったことにもなりかねません。
そうした境遇にあり、「もっとスキルを身に付けたい」「もっと精神的に成長したい」と感じるような人であれば、自己啓発のための行動を起こすとよいでしょう。
世の中にはさまざまな情報があふれています。あなたに似た境遇を脱して大きな成果を残した人や、あなたと同じような悩みを持ちながらもそれを特別なアプローチで解決した人もいるに違いありません。
本を読む、動画を見る、セミナーに参加するといったワンアクションで、そうした人たちのノウハウを知ることができると考えると、行動を起こす価値は十分にあるといえるでしょう。
仕事へのモチベーションが高くなる
自分に自信がなく、資格やスキルが足りていないと感じたとき、消極的になってしまいがちです。仕事に対する気持ちも冷めてしまい、やる気もなくなってしまうでしょう。
自己啓発で自分を高められれば、仕事における自分の言動にも自信を持てるようになります。今までの自分とは違った自分になることで、仕事に対するやる気もアップするでしょう。
多角的な見方ができるようになる
狭い視野で物事を考えてしまうと、本質がわからなくなってしまい、損することも多いです。自己啓発をすれば、今まで自分が思いつかなかったことや気づかなかったことにも気づけるようになるでしょう。
自己啓発のデメリット・注意点
メリットがある一方で、自己啓発にはデメリットもあるので併せて確認しておきましょう。
のめり込みすぎに注意
「自己啓発」という言葉に、多少なりともネガティブなイメージを持つ人もいるでしょう。それは、時に、自己啓発にのめり込んでドツボにはまってしまう人がいるからです。
自己啓発関連の本やセミナーにおいては、「精神的な成長」をテーマに含むため、受講者の“考え方や捉え方を変えていくプログラム”もあります。もちろん、それ自身が悪いことではありません。成長のために、新たな価値観に触れ、視野を広げることはむしろ好ましいともいえます。
しかし、“考え方を変える”と聞くと、「洗脳なのでは? 」と不安を持つ人もいるでしょう。
自己啓発本の内容やセミナーの内容にのめり込み過ぎて周りが見えなることもあります。「聞いた話・読んだ話こそが絶対的に正しい」と妄信的になる危険性もあります。
他者の話をすべてうのみにしてはいけません。どんなときも、自分自身で考えることを放棄してしまわないよう、気を付けましょう。
自己啓発の種類・内容
成功哲学
事業や学業において成功を収めた人から、成功のエッセンスを学ぶことに重きをおいたテーマです。
どんなことであれ、成功するには一定の哲学がある、と言われています。それは大抵の場合ごく基本的なことですが、知っていても日常生活で実践できている人は多くありません。
日常生活や仕事の中で成功哲学を実践している人は、一定の成功を収めることができているようです。では普段の生活や仕事の中で成功哲学を活かしていくにはどうしたらいいのでしょうか。成功哲学をテーマとした自己啓発ではそうした考え方を学べるでしょう。
能力開発
自己啓発は自分の精神的な成長やスキルアップにつながりますが、能力開発をテーマとしている教材においては、自分の殻を破るためのトレーニングやワークを行うことが多いようです。
普段の仕事や生活で触れることから経験しないことまで、さまざまなトレーニングやワークを通じて、自分でも気づかなかった能力を引き出すことが目的です。
筋肉を付けるためには体に負荷をかける必要があります。能力開発においても同じような価値観のもとプログラムが組まれていることが多いので、精神的に負荷がかかることもあるでしょう。そして、その負荷をかけた分、成長に期待できるというものです。
目標達成
仕事においてもプライベートにおいても、「目標を達成する力」はとても重要です。とはいえ、多くの人は目標を達成するためのトレーニングを受けたことがないはずです。
振り返れば、学生時代に「テストで100点をとるという目標のためにがむしゃらに頑張った」経験がある人もいれば、何事にも頑張ってこなかった、そうしたことから“すり抜けてきた”という人もいるでしょう。
目標を決めて達成するというプロセスを体感したことはあっても、体系立てて考えたことはない、という人にも役立つ内容です。
自己啓発に取り組むための手段
自己啓発を実践するための方法や手段は複数あります。自分に合ったものを見つけてみるのもいいでしょう。
自己啓発本を読む
もっと手軽で取り組みやすいのが、自己啓発本を読む方法でしょう。
「自己啓発に取り組みたいけれどあまり時間を割けない」「セミナーに参加したりするのはハードルが高い」と感じる人におすすめです。
「本を読むだけでは、実際に体験して学ぶよりは吸収しにくいのでは? 」と思うかもしれません。しかし、言葉や内容が精錬された本を読むことにより、考え方に変化が現れることもあります。
短い内容の本であれば、1冊2時間程度で読めてしまいます。「先人の長年の歴史や知識を、2時間で吸収できる」と考えれば、非常に効率的な方法と言えます。
セミナーやスクールで学ぶ
「本で知識を得るだけでは物足りない」と感じる人は、思い切ってお金をかけてセミナーやスクールに参加してみるのもいいでしょう。
そこでは、同じように自己啓発に取り組む仲間にも出会えますし、自己学習だけでは得られない気づきや学びがあるはずです。
1人で学んでいると、迷走したり、誤った方向に進んでしまったりすることもあるかもしれません。その点、セミナーやスクールでは講師がいるので、講師に確認しながら学んでいくことができます。
経営者・成功者に会う
セミナーやスクールで学ぶのはあくまで多人数向けなので、「個々に寄り添った指導は受けにくい」というデメリットがあります。
それをカバーしたいと思うなら、実際に経営者や成功者に会う機会を作るのもよいでしょう。自分とは違う視座で物事を考えている人と話す経験は貴重なものです。
そうした人に会うためには、知人のつてを頼ってみるのもいいですし、ダイレクトにSNSなどを通じて本の著者やセミナー講師に連絡をとってみてもいいでしょう。思い切った行動で相手の心を動かす体験をすることも、自分の殻を破る一歩となるはずです。
個人コンサルを活用する
自分ひとりで成長していくのは難しく大変なため、第三者の力を借りるのも一つの手段です。個人コンサルティングを活用すれば、自分の望む状況へと導いてくれるでしょう。
講師を独占できるため講習会やセミナーよりも集中でき、自分に合った方法で問題を解決するポイントを押さえられるでしょう。費用は高くつきますが、質問や悩み相談もしやすく、一対一であるため、ほかの人を気にしなくてよいところが利点です。
会社によっては研修制度がある場合も
会社によっては資格取得支援制度やタイムマネジメント研修、リーダーシップ研修などの研修制度を用意している場合があります。
まずは自分の勤める会社にこういった制度がないか調べてみるといいでしょう。
おすすめしたくなる自己啓発本
最後に自己啓発につながり、他人におすすめしたくなるようなビジネス本をいくつか紹介します。以下にまとめたのはほんの一例ですが、何冊か読んでいくことで「自分はこういった種類の自己啓発本が好きなのかも」といった傾向が見えてくる可能性もあります。
まずはいろいろな書籍にあたってみるのがいいでしょう。
嫌われる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教え
著者: 岸見一郎 / 古賀史健
出版社: ダイヤモンド社
価格: 1,650円
概要: 精神科医や心理学者として活躍したアルフレッド・アドラーの「アドラー心理学」を哲学者と青年の対話篇形式によってわかりやすく解説している一冊。大日本印刷が運営するオンライン書籍販売サイト「honto」の「2014年年間ランキング」の「経済・ビジネス部門」でで1位に選ばれるなど、ビジネス書としても人気がある。
人は話し方が9割
著者: 永松茂久
出版社: すばる舎
価格: 1,540円
概要: 対人コミュニケーションの基本である会話がうまくいくためのヒントがまとめられている一冊。「人との会話が苦手」「話すことに自信がない」という人が変われるためのちょっとしたエッセンスがつまっている。
超雑談力 人づきあいがラクになる 誰とでも信頼関係が築ける
著者: 五百田達成
出版社: ディスカヴァー・トゥエンティワン
価格: 1,430円
概要: 博報堂などでの勤務を経て心理カウンセラーになった著者が教える「誰とでもうまく雑談できるコツ」が学べる一冊。「雑談力」を上げるための基本ルールに加え、「初対面編」「職場/ビジネス編」などのシーン別での対応例も示されており、汎用性が高い仕上がりとなっている。
1%の努力
著者: ひろゆき
出版社: ダイヤモンド社
価格: 1,650円
概要: 「2ちゃんねる」の開設者である著者がたどり着いた「1%の努力」の中身を紹介した一冊。同氏がこれまでに明かしてこなかった「考え方の根底」を明らかにしたうえで、「起業」や「ビジネス」について持論を展開している。
まとめ
以上、自己啓発の意味から具体的な方法までをまとめてみました。
自己啓発に取り組んで自分を高めるということは、社会でステップアップしていくために重要なことです。自己啓発に取り組む目的を明確にし、自分にあった方法で始めてみてください。