家の中で過ごす時間が増えている昨今は、本を読むことの大切さを見直すにはとても良い機会です。これまで読書が苦手だったという方も、読書によって得られるさまざまな効果を知れば、本への興味関心を持ってもらえるはずです。本記事では、読書が私たちにもたらす好影響や、効果を高める方法について紹介しています。

  • 本を読むことの大切さとそのメリット・効果

    読書をすることの効果とは何なのかや、効果を高める方法を紹介します

読書をすることがおすすめの理由とは?

あなたは、「読書」と聞くとどのようなイメージを抱くでしょうか。学力と読書量の関係性は深く、幼児期から本に親しませることで、親子間のコミュニケーションを円滑にできるとも言われています。

「読書」と一口に言っても、書店に行けば、「本」と呼ばれるものには多くのジャンルがあります。

フィクションの物語や、実話をもとに執筆された小説、生活で役立つ知識や情報が載っている実用書、国や地域の歴史が研究された歴史書、仕事に役立つノウハウなどが紹介されているビジネス書など、用途も特徴もさまざまです。

本は、大人も子どもも関係なく、季節や時間帯の制限もなく、いつでも楽しみをもたらしてくれます。そして、時には仕事や生活に役立つ情報をもたらしてくれるものでもあります。

読書の効果やメリット14つ

それでは具体的に、読書は私たちの人生をどのように充実させてくれるのでしょうか。

インターネットが普及している現代では、誰もが簡単に欲しい情報やデータを得ることができるので、わざわざ紙の本を手にする人が減っているとも言われています。

情報社会の進展は、社会に便利さをもたらすというメリットがありますが、一方でその手軽さこそが、人々が自分で物事を考える機会を減少させているというデメリットもあります。

インターネットで簡単に情報が得られる今だからこそ、読書はますますその重要性を増しています。考えたり、感じたり、想像したり、私たちは毎日、あらゆる言語活動をしながら生活していますが、読書にはそれら全ての能力を上げる効果があるのです。その理由と根拠を、これから詳しく見ていきましょう。

効果1:語彙力が上がる

誰かと会話をする時でも、メールや手紙で何かを伝える時も、大勢の人に自分の意見やアイデアを伝える時も、大切なのが語彙力です。

たくさんの言葉を知っていれば、自分が伝えたいことを相手に正確に伝えられます。反対に、語彙が少なければ、考えていることをうまく言葉にできず、もどかしい思いを味わうことになったり、相手との間に誤解が生じてしまうことにもなったりしかねません。

本を読むことにより、普段の会話よりもはるかに多くの言葉に触れることになり、一度目にした言葉は、語彙として脳に記憶されていきます。本を読めば読むほど、使える言葉を増やすことができます。

効果2:脳が鍛えられ、文章力が向上する

文章を書く力も、社会生活をしていくうえではとても重要です。

学校のテストや入学試験でも、文章を書く能力が求められましたが、それは社会生活においても同じです。仕事で企画書を書く時や、プレゼン資料を作る時、上司や取引先にメールを送る時など、文章を作成しなければならない場面は多くあります。

説得力のある文章や、わかりやすく伝わる文章が書けるかというのは、評価や信頼にも関わってくるでしょう。

私たちの脳は、インプットとアウトプットを繰り返すことによって能力を高められるようにできています。本を読むことで、多くの堪能な文章に触れ、それを自分のものにすることが可能になるのです。

効果3:コミュニケーション力が向上する

日常生活を送るうえで、コミュニケーション力はとても大切です。相手との会話の中でどれだけ自分の思いを相手に届けられるかというのは、良い人間関係を作っていくための重要な鍵になるでしょう。

言葉のキャッチボールをうまく続けるためには、「言葉を操る能力」が必要不可欠です。それは、言葉を認識する能力や、言葉を表現する能力を意味します。

言葉をうまく操るには、自分が考えていることや感じていることを、適切な言葉で言い表すことが必要になります。小説などの物語作品では、登場人物の気持ちが文章で書かれ、実際に発言したセリフも文章で書かれています。

読者は、その人物がどんなふうに感じているのかを想像し、さらに、その気持ちをどうやって相手に伝えているのかを読むことで、自然と言葉の操り方を学び、コミュニケーション力を高めることが可能になるのです。

効果4:想像力がつく

読書は他人の気持ちを想像する力を育て、人間的・精神的な成長につながると考えられています。想像するということは、自分の心を楽しませるための空想や妄想ばかりではありません。

他人の苦しみや悲しみを読み取り、その気持ちに寄り添うことも、想像力が無ければできないでしょう。想像力が働くからこそ、他人に共感する「思いやり」が生まれ、メンタル面での成長が期待できるという考え方です。

場面の様子を実際に目で見られる映画やテレビ番組などの映像と違い、本は文字だけでそれを読み取らなければなりません。映像で見るよりも受け取る情報量が少ないので、読者は文章からその場面を理解します。

その際、文章として表れている情報を読み取るだけでなく、文脈から人物の気持ちを推測したり、筆者が意図していることは何か想像したりということも必要となり、表に出ない人の気持ちや背景を推測する力が身に付くでしょう。

効果5:新しい価値観を得られる

日々あらゆる物事が変わっていく現代において、多様な価値観を知っておくというのはとても大事なことです。これまで常識とされてきたものが突然失われるということもある中で、古い価値観にこだわり続けるのは難しいでしょう。

また、グローバル化が進むにつれて、他国の習慣や文化を理解することが、今後ますます求められています。移り変わっていく現代社会を生きるには、常に新しい情報や価値観を学んでいく必要があるのです。

本には多くの情報があふれています。自分が知らなかった物事や、考えもしなかった思想など、そこから得られるものはさまざまです。

読書をすることは、それまで生きてきた生活環境や人間関係によって固められた価値観を解きほぐしてくれます。本の中に記されている世界や人物の価値観を学ぶことは、大きな財産になるでしょう。

効果6:思考力が向上する

「自分の頭で物事を考える」ということはとても大切です。ただ物事を把握するだけでは、それを本当に理解し、知識として獲得したことにはなりません。

事実を知ったうえで、そこにはどういう理由があるのか、目的は何か、背景にはどんな出来事があるのかなど、頭を働かせてあらゆる側面から事実を見ることが必要です。

小学生の宿題にも「読書感想文」といった課題が出されているように、本を読んで何を考えるかというのは、国語力の育成のためにも大切とされています。日常的に本を読む習慣があると、本に書かれている文章から、内容を正確に理解する読解力が身に付きます。

膨大な言葉の中から、情報や筆者の考えなどを整理する力が自然と養われるのです。これにより、物事を論理的に考えることができるようになり、思考力が高められます。

効果7:記憶力が向上する

一冊の本を読み終えるだけで、私たちは膨大な量の情報を得ることになります。小説の場合は舞台となる世界の環境や登場人物の性格と考え方、実用書ならあるテーマについての知識やアイデア、歴史書なら時代背景や地域ごとの文化といったように、本の種類によってもさまざまです。

本の内容を理解するには、そういったあらゆる情報を頭の中で整理しながら読み進めなければなりません。これは、先の項目で述べた「情報を整理しながら読む」という作業が関わってきます。

例えば小説の場合、登場する人物が主人公とどういう関係で、どういう性格で、何をやっている人なのか、という情報を覚えていなければ、物語が進むたびに中断し、前のページで情報を確認しなければなりません。

本の中で記されるたくさんの情報を記憶し、頭を使って整理しながら読み進めることは、記憶力にも良い影響を与える効果があります。

効果8:アイデアが得られる

社会人にとって必要な「良いアイデアを生み出す能力」は、柔軟な思考力から生まれます。

自分の考えにばかり固執していたり、毎日同じことばかり繰り返したりしていると、新しいアイデアも浮かびにくくなってくるのです。それを避けるために、読書はとても効果的です。

読書は、新しい刺激や発見を脳に与えてくれます。さまざまな情報に触れたり、創造された物語を読んだりすることで、日常生活では得られないような驚きや感動を味わえるのは、読書の大きな魅力の一つでしょう。

そういった新鮮な感覚を味わい、自分とは違った世界に生きる他人の文章を読むことは、それまで考え付かなかった新たなアイデアをひらめかせるきっかけになってくれます。

効果9:生き方が学べる

本は、多様な生き方に出会わせてくれます。著名人の伝記を読めば、成功した人物がどのような人生を歩んできたのか、大事にしてきた価値観は何かなど、会ったことがない人の生き方を詳しく知ることが可能です。

小説を読めば、そこには何人もの登場人物にそれぞれの生き方があります。主人公の生き方に限らず、主人公に大きな影響を及ぼした人物の生き方など、本にはさまざまな生き方が描かれているのです。

本に描かれる人物の生き方は、そのまま人生の教訓にできるものも少なくありません。本の登場人物たちはそれぞれが葛藤し、悩み、さまざまな壁を乗り越えながら生きています。

人生は苦労や困難があるからこそ面白く、人間的にも成長できるのだということを、本は教えてくれるでしょう。

効果10:ストレス解消になる

ストレス解消法の一つに、空想することを挙げる方もいるのではないでしょうか。現実からいったん思考を離れさせ、「こんなことがあったらいいのに」と空想することは、心をワクワクさせてくれます。

読書は、この空想を手助けしてくれる手段です。現実とは違う本の中の世界に入り込むことは、心の疲れを癒やし、ストレス解消にもつながります。

効果11:視野が広がる

「読書をきっかけに視野が広がり、やりたいことが見つかった」などの話は、決して珍しいものではありません。さまざまな本を読むことで、新たな気づきが得られ、その積み重ねで人生の方向性が定まるということもあるでしょう。

本は、私たちの感性を刺激し、今まで知らなかった物事にも興味を持たせてくれます。興味を持つものが増えれば、それについて学ぼうとする意欲が生まれ、学ぶことで新しい知識をどんどん増やしていくことが可能になります。

知識が増えることで、過去の自分よりも広い視野で物事を見られるようになるのです。そのためには、好奇心を持ってさまざまなジャンルの本を読んでみましょう。

効果12:失敗のリスクを減らせる

誰もが、失敗のリスクを減らしたいと思うものです。

「生き方を学べる」の項で、本から自分の生き方についてヒントを得られると書きましたが、それと同じように、成功者のやり方を本から学ぶことで、できる限り失敗を回避することが可能になります。

成し遂げたい目標があるときは、書店に行って成功者の自伝などを読んでみてはいかがでしょうか。失敗を減らし、成功をつかむためのコツを得られるはずです。

効果13:知識や教養が深まる

本は、あるテーマに絞って、それについて細かく掘り下げているものがほとんどです。何か詳しく知りたいものがあるときは、それについて書かれた本を開けば、その歴史と概要、特徴など、そのテーマを構成するあらゆる要素について情報を得られるようになっています。

持っている知識をさらに深めるには、まず本を読んでみるのが、適切で簡単な方法と言えるでしょう。

効果14:本を読むスピードが上がる

日頃から本を読む習慣が付けば、意識しなくても文章を速く読めるようになります。読むスピードが上がれば自然と本の内容に集中できるようになり、つい気が散って数行前に何が書いてあったか忘れてしまう、という事態も少なくなるでしょう。

読書の効果を高める方法5つ

読書が私たちにさまざまな効果をもたらしてくれることは、ご理解いただけたでしょうか。しかし、ただやみくもに文字を追いかけているだけでは、読書の効果も十分に得られなくなってしまいます。

読書の効果を高めるためには、文字を読み進めていくだけの受け身の姿勢ではなく、本から有益なものを積極的に得ようとする姿勢が必要です。

ここからは、読書の効果を高める方法を、具体的に紹介していきます。

  • 読書の効果を高める方法

    読書の効果を高める方法とはどんなものがあるか、紹介します

方法1:目的を考える

東大生の習慣の一つに、「目的を意識して行動する」というものがあるといいます。

質問の答えを導き出すときも、問いかけている側の目的がわかっていれば、質問の意図を正確に理解し、相手の求める答えを導き出せます。目的を考えることは、読書の際にも重要です。

何も考えずに読むのと、その本を読んで自分は何を得たいのか、どうなりたいのか、という目的を明確にして読むのとでは、得られる効果は全く違ってくるはずです。目的があるからこそ、本から効率的に情報を受け取り、知識や能力へ還元することが可能になるのです。

方法2:先入観を持たない

先入観は、時に間違った判断や認識を生みます。自分が持っている知識とイメージだけで「こうだ」と決めつけてしまうことは、情報を得ようとする際には大きな障害となります。

読書をする時は、なるべく先入観を持たずに内容を受け取るよう心がけましょう。まっさらな視点で情報を見れば、差別や偏見に惑わされることなく、多様な世界や考え方を受け入れられるようになるはずです。

方法3:メモを取る

目的を定め、先入観を捨てて、本を読む心構えが整ったら、さらにメモ帳を準備することをおすすめします。

楽しむための読書なら、これらのことは特に意識する必要はありませんが、学ぶための読書であればやはりメモを取るのが効果的です。

有用なメモを取るのにも、思考力が必要です。後からメモを見返したときに理解できるように、キーワードを抜き出し、ポイントを整理する必要があるからです。

方法4:何回も読む

一度読んだ本はそれっきり、というのはとてももったいない読み方です。気に入った本は何度も読んでみましょう。最初に読んだときには気づかなかったことを発見できるかもしれません。

大抵、本には筆者の解説やあとがきが記されています。これを読めば、筆者が最も伝えたかったことや、執筆の際の背景などがわかります。筆者の意図や追加情報を入れたうえで繰り返し読んでみれば、その本の魅力も、得られるものも大きく増えるでしょう。

方法5:人に説明する

本を読んだら、ぜひその内容を誰かに説明してみてください。

例えば語学の学習では、教えるためには単語だけでなく、その文法や仕組みを理解していなければならないように、表面的に把握しているだけでは上手な説明はできません。

説明するためには、出来事や知識に関してもう一度整理して考える必要があります。説明するという行為には、自分の理解をさらに深める効果があるのです。

本を読むメリットや効果を把握し、実感しよう

読書には、私たちの脳を活性化させ、勉強やビジネスだけにとどまらず、人生を豊かにしてくれる効果があるということが、わかっていただけたと思います。

読書が与えてくれるものは情報や知識ばかりではありません。時に娯楽として心を楽しませ、時に生き方のヒントをくれる指南書として導いてもくれます。例えば、まずは朝の1時間を、読書の時間に充ててみてはいかがでしょうか。一日の始まりに頭を働かせることで、有意義な時間を過ごせるでしょう。

読書が苦手という方も、最近ではオーディオブックや電子書籍など、より手軽に本を読める手段があります。きっと、本記事で述べたさまざまな効果を強く実感できるはずです。