黒島結菜が主演を務める連続テレビ小説『ちむどんどん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか)は、16日放送の第26回から東京・鶴見編がスタートする。制作統括の小林大児チーフプロデューサーに東京・鶴見編の見どころや制作の裏側を聞いた。

  • 『ちむどんどん』ヒロイン・比嘉暢子役の黒島結菜

本日5月15日に本土復帰50年を迎えた沖縄を舞台にした本作は、個性豊かな沖縄の4兄妹の本土復帰からの歩みを描く50年の物語。自身も沖縄出身の黒島が、沖縄本島北部のやんばる地域で生まれ育ち、沖縄料理に夢をかけるヒロイン・比嘉暢子を、兄・賢秀は竜星涼、姉・良子は川口春奈、妹・歌子は上白石萌歌が演じている。脚本を手掛けるのは、連続テレビ小説『マッサン』(14~15)などの脚本家・羽原大介氏。タイトルの「ちむどんどん」とは、沖縄のことばで「胸がわくわくする気持ち」を意味する。

16日からの第6週で描かれるのは、ちょうど50年前、本土復帰を迎えた直後の1972年5月。「東京に行き、料理人になりたい」という夢を見つけた暢子(黒島)は、高校卒業後、料理人になるために東京へ。大都会の人ごみや行き交う車に衝撃を受けながら、銀座のレストランの西洋料理を訪れる。そして、兄・賢秀(竜星)がいるボクシングジムを訪問するが、衝撃の事実を知り、上京初日から人生最大のピンチが訪れる。

東京・鶴見編では、西洋レストランのオーナー・大城房子役の原田美枝子、料理長・二ツ橋光二役の高嶋政伸、厨房の先輩・矢作知洋役の井之脇海、暢子のピンチを救う鶴見の沖縄県人会会長・平良三郎役の片岡鶴太郎ら新たなキャストが参加。さまざまな人と関わりながら暢子は成長していく。

主な舞台は東京・横浜市鶴見に移るが、沖縄の家族にも引き続きスポットを当て、沖縄と東京・鶴見の両方を二元中継的に追っていく。

小林氏は「東京の暢子さんの場面と、やんばるに残った家族の場面とが、パラレル気味に展開していくことになります」と解説。「どっちつかずにならないように気を付けたい」と言うも、「どちらもすごく素敵な俳優さんたちが演じてくださっているので、それぞれの場面を面白くし、子役時代から家族を見てくださっている方は、暢子の冒険も気になるし、残った家族もそれぞれに課題や困難を抱えていることもおわかりでしょうから、ダブルにトリプルにおいしいドラマにしたいと思っています」と沖縄と東京・鶴見それぞれの物語をしっかり描いていくようで、「家族4兄妹がそれぞれにとってはそれぞれが脇役でもあるし主役でもあるという風になるといいなと、羽原さんともお話をして作っています」と語った。

鶴見は実際、暢子のように本土復帰後に多くの沖縄出身者が移り住んだ町。東京・鶴見編を描くにあたって、鶴見の沖縄県人会に協力してもらい、沖縄から鶴見に移住した人たちに話を聞いたという。

小林氏は「生の話をたくさん聞きました。暢子のような形で上京してきて鶴見で暮らし始めるという経験を皆さんしていらっしゃるので、当時どういうお付き合いをされていたのか。10人以上に会って、生の情報を集めて主に心情を勉強させていただきました」と明かした。

また、鶴見のセットについて「昔の写真や資料を美術担当が見て、できるだけ雰囲気を踏襲しつつ、ドラマ的に面白いセットを作りました。沖縄の居酒屋があって、アーケードみたいな通りがあったりという、そこは鶴見に限らず、僕らが70年代のドラマを作るときに培ってきた美術の遺産が十分生かされていると思います」と解説。

渾身のセットにも注目しながら、新天地で新たに出会う人たちと関わるなかで暢子がどのように夢に近づいていくのか見守っていきたい。

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