女優の上白石萌歌が、連続テレビ小説『ちむどんどん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか)で、黒島結菜演じるヒロイン・比嘉暢子の妹・歌子役を好演中だ。歌うことが大好きな歌子として劇中で美しい歌声も披露し、視聴者を魅了している。制作統括の小林大児チーフプロデューサーに上白石の起用理由や現場で感じた魅力など話を聞いた。

  • 『ちむどんどん』歌子役の上白石萌歌

今年5月15日に本土復帰50年を迎える沖縄を舞台にした本作は、個性豊かな沖縄の4兄妹の本土復帰からの歩みを描く50年の物語。自身も沖縄出身の黒島が、沖縄本島北部のやんばる地域で生まれ育ち、沖縄料理に夢をかけるヒロイン・比嘉暢子を演じている。兄・賢秀役は竜星涼、姉・良子役は川口春奈、妹・歌子役は上白石萌歌。脚本は、連続テレビ小説『マッサン』(14~15)などの脚本家・羽原大介氏が手がけている。

朝ドラ初出演の上白石が演じる歌子は、幼い頃から病気がちで、強烈にシャイな性格。歌をこよなく愛して、父から唄三線の手ほどきを受けるが、恥ずかしいので家族以外の前ではなかなか歌えない。兄妹で一番謙虚な性格で、家族みんなの癒やしにもなっている。

adieu名義でアーティストとしても活動する上白石はまさに適任で、謙虚な人柄や癒やし的存在という点でもハマり役と言える。

音楽室で1人歌うシーンや、音楽教師・下地響子(片桐はいり)が賢秀を訴えると言い出したピンチを歌で救うシーンで美しい歌声を披露し、「上白石萌歌さんの歌声に猛烈に感動」「上白石萌歌ちゃんの歌声、なんて綺麗なんだろう」などと話題に。13日に放送された第25回では、下地先生の三線で歌子が歌うシーンなどが登場し、再びのびやかな歌声をお茶の間に届けた。

  • 歌子が三線を弾いて家族で歌うシーン

小林氏は「一番はじめは4兄妹モノという発想があり、羽原さんの一番上を男の子にしてこういうキャラクターにしたいという提案に僕もすごく賛成して枠組みができました。そのときから末の妹は、病気がちでありつつ、とても歌が好きで歌がうまい子であると決めていました」とキャラクター設定の経緯を説明。

「4兄妹の中で透明感があって優しくて明るくて、どちらかというと癒やしの存在であることもすぐ決まり、年齢・年代とキャラクター的に上白石萌歌さんのイメージで早くから妥結していてお願いしました」と起用理由を明かした。

歌唱シーンは上白石に決まったから増やしたということはなく、「歌子さんというキャラクターの見せ方として今くらいの感じで歌を歌う場面が入るイメージで羽原さんと作っていました」とのこと。

実際に現場で歌声を聞いた感想を尋ねると、「人の好みですし、我々が身内のことを言うのも……」と前置きした上で、「僕ら現場スタッフはとても素晴らしいなと。心を打たれるものがありますし、ご共演の役者さん皆さんが、黒島さんを筆頭に『圧巻』だと。比嘉家の感情を代表するような形になってくれていますし、歌子さんの控えめな性格の中でも生きる情熱がすごくあるなとわかりますし、とても素敵な感じになっていると思います」と絶賛。上白石の歌声は最後まで物語を彩るようで、「今後も、最後まで通してお楽しみにしていただければ、期待は裏切らないと思います」と語った。

また、現場での上白石について「歌う練習をしているところはあまりない気がします。歌う場面の前に緊張されているのかわかりませんが、それをあまり見せず、歌う場面も歌わない場面も自然体で演じられています」と述べ、「三線の練習はしょっちゅうされていて、前室でほかの出演者の皆さんと沖縄の歌を口ずさんで楽しく歌うという瞬間が何度かあり、すごく素敵だなと思いました。きゃんひとみさんなど沖縄の方々がいるので、なんとなく口ずさんでということになって」と、その空間にいたいと感じるような現場でのエピソードも明かしてくれた。

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