実現不可能と思われていたキックボクシング頂上対決が、昨年末に電撃決定。那須川天心と武尊が、6月19日(日)、東京ドームのリングで対峙する。そして、先日発表されたアンダーカードも実に豪華だ。『K-1vs.RISE』全面対抗戦─。

  • 那須川天心vs.武尊だけじゃない、『K-1』と『RISE』が全面対決! 強いのはどっちだ? 6・19東京ドーム『THE MATCH 2022』─。

    6・19東京ドーム『THE MATCH 2022』のメインエベントで激突するRISEの那須川天心(左)とK-1の武尊(©RISE)

K-1とRISE、それぞれのトップファイターたちが、団体の威信をかけて激突する。那須川天心vs.武尊だけでも十分に成立するイベントであるにもかかわらず、敢えて全面対抗戦が組まれ『THE MATCH 2022』は、さらにスケールアップ。東京ドームに殺気が漂う。

■強いのはK-1か? RISEか?

壇上のテーブルがなぎ倒された。
RISEの成長株、YA-MANとK-1の異端児・芦澤竜誠が挑発を繰り返した末、乱闘騒ぎに。止めに入ったスタッフが芦澤に押される形でYA-MANを倒してしまう。YA-MANは、後頭部をテーブルにぶつけて出血し場内は騒然。4月22日、東京・目黒雅叙園で開かれた記者会見は大荒れとなった。

  • 挑発合戦の末にYA-MAN(左から2人目)が突進、芦澤竜誠(右から2人目)も立ち上がり応戦。記者会見は大荒れに(©K-1)

この日に会見では、6・19東京ドーム『THE MATCH 2022』のアンダーカード8試合が発表された。
『K-1vs.RISE』全面対抗戦。決定カードは、以下の通りだ。

▶55キロ契約
鈴木真彦(山口道場/RISEバンタム級王者)vs.金子晃大(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ/K-1スーパー・バンタム級王者)

▶55キロ契約
志朗(BeWELLキックボクシングジム/RISE DEAD OR ALIVE 2020 -55キロ級トーナメント優勝)vs.玖村将史(K-1ジム五反田チームキングス/前Krushスーパー・バンタム級王者)

▶53キロ契約
風音(TEAM TEPPEN/RISE DEAD OR ALIVE 2021 -53キロ級トーナメント優勝)vs.黒田斗真(K-1ジム心斎橋チームレパード/ K-1バンタム級日本最強決定トーナメント優勝)

▶71キロ契約
“ブラックパンサー”ベイノア(極真会館/RISEウェルター級王者)vs.和島大海(月心会チーム侍/K-1スーパー・ウェルター級王者)

▶62キロ契約
中村 寛(BK GYM/元DEEP☆KICK-60キロ級王者)vs.レオナ・ペタス(THE SPIRIT ZERO/LARA TOKYO/前Krushスーパー・フェザー級王者)

▶63キロ契約
白鳥大珠(TEAM TEPPEN/前RISEライト級王者)vs.ゴンナパー・ウィラサクレック(タイ/ウィラサクレック・フェアテックスジム/前K-1 ライト級王者)

▶65キロ契約
原口健飛(FASCINATE FIGHT TEAM/RISEライト級王者)vs.山崎秀晃(K-1 ジム 相模大野クレスト/前K-1スーパー・ライト級王者)

▶62キロ契約 (オープンフィンガーグローブマッチ)
YA-MAN(TARGET SHIBUYA/RISEライト級10位)vs.芦澤竜誠(DRAGON FISH)

鈴木vs.金子、ベイノアvs.和島の現役王者対決を含め、K-1、RISE両団体のトップファイターが激突する。通常の大会なら、どの試合もメイン級。興味深いカードが揃った。

  • K-1、RISE両団体から主力の8選手ずつが出席。会見場には緊迫感が漂った(©K-1)

■両団体の威信をかけた闘い

「全勝します!」
会見に出席した中村拓己K-1プロデューサー、伊藤隆RISE代表は、そう口を揃えた。
メディアから「何勝何敗になると想定しているか?」との質問に対する答えだ。もちろん、そう応じるしかないだろう。両団体の威信をかけての闘いなのだ。

団体対抗戦は、那須川天心vs.武尊を加えて「9対9」となる。
これまで、K-1とRISEの選手はリング上で交わることがなかった。だからファンは、知りたかった。K-1とRISEは、どちらが強いのか? どちらのリングでハイレベルな闘いが繰り広げられているのかを。その答えが6・19東京ドームで導き出されるのだ。
5勝4敗、4勝5敗といったほぼイーブンの結果に終われば互いに面子は保てる。しかし、いずれかが圧勝したならば当然、完敗を喫した側は多大なダメージを被る。これは、K-1、RISE両団体が浮沈をかけての闘いなのだ。

試合形式は、3分×3ラウンド(延長1ラウンド)のキックボクシング。
ルールは、那須川天心vs.武尊が、ワンキャッチ、ワンアタック(瞬間的に相手を掴んでからの攻撃は1度のみ有効)。それ以外のカードは、蹴り足を掴んでの攻撃は禁止、首を抱えてのヒザ蹴りは一度のみ有効。その方向で調整が進められている。

また今回は、「王者側が赤コーナー、挑戦者側が青コーナー」との概念を取り払うことも会見でアナウンスされた。

すでにチケットの申し込み(抽選発売)が始まっており、イープラス先行発売には8万枚の応募があったという。
リングサイド最前列が破格の300万円、リングからもっとも遠い2階スタンド席(A席)でも1万5000円と高額な料金設定だが人気は上々。今後も、チケットぴあとローソンチケットで抽選販売が行われるが、こちらにも申し込みが殺到すると予想される。東京ドームが超満員の観衆で埋め尽くされるのは間違いなさそうだ。

K-1、RISEはともにリスクを覚悟し、「禁断の闘い」に踏み切った。
6・19東京ドーム『THE MATCH 2022』は、那須川と武尊だけに注目が集まる域を超えている。そこで繰り広げられるのは苛烈なる「潰し合い」、殺気が漂う。だから面白い。

文/近藤隆夫