放送されたばかりの『婚活探偵』でも新たな魅力を見せた向井理と、映画『ヤクザと家族 The Family』などで印象を残す北村有起哉。ともに40代の脂の乗った俳優ふたりが、“お取り寄せ”バトルを繰り広げるドラマ『先生のおとりよせ』(テレビ東京ほか 毎週金曜24:52~)が8日からスタートした。

ふたりが演じるのは、向井扮するドSで不愛想な官能小説家の榎村と、榎村とタッグを組んでコラボ作品を執筆することになる、北村扮するフェミニンでドMな美少女小説家の中田。真逆なふたりには、しかし「おとりよせ」という共通の趣味があり……。

テレ東深夜の新たな飯テロとしても、また真逆なふたりのバディ作品としても評判を集めること間違いなしの本作で、がっつり組んだふたりは、終始笑顔で取材中もハイタッチするなど、作品中のバトルとは打って変わって仲の良さを見せつけた。

  • 左から北村有起哉、向井理 撮影:望月ふみ

    左から北村有起哉、向井理 撮影:望月ふみ

■ふたりの色気がほとばしるドラマ?

――公式サイトに「ほんのり官能感漂う!? 新感覚グルメドラマ」と謳われています。撮影は終わられてるとのことですが、手ごたえは?

北村:わはは。僕らはむしゃむしゃ食べていただけですよ。ひょっとして口元やのどぼとけをアップにしたり、ハイスピードカメラで撮ったりとか、何かしらの演出があるのかもしれませんが、でも僕らはその辺、わからないし。ただ美味しそうに食べてただけです。

向井:どういう風に映っていたのか、僕らはチェックしてないんです。

北村:美味しいものを食べて、ふわ~っと恍惚感に浸るということはしていたので、それが色気? に繋がるのかもしれませんけどね。羽が生えてふわふわになってる気分、といった感じはよくやっていたので。

――食欲は人間の三大欲のひとつですし、たしかに純粋に美味しいものを味わっている姿が、視聴者には色気に感じられるのかもしれませんね。

北村:榎村と中田は間違いなく、食“欲”が強い人間ですから。

向井:確かに、「ああ~」とか浸ってる感じは多々ありました。

北村:アイスクリームの時?

向井:そうです、そうです。

北村:向井くん、何か変なこと口走ってたし。

向井:セリフにあったんですよ!(苦笑)

――脚本の印象は、率直にどんなものでしたか?

向井:モノローグもたくさんあるのですが、スピード感がありました。でもとにかく大変そうだなと。セリフの量もすごいですし、ふたりで14ページとかありましたから。これは大変そうだと思ったし、実際印象の通りでした。

北村:現場でもボヤいてたよね。海千山千の向井くんがそう言ってるから、逆に僕は安心しました。

――その大変さをどう乗り越えていったのでしょう。

向井:やるしかないです。ただ「おとりよせ」がメインの作品ですし、楽しんでやろうとは考えてました。セリフは覚えるしかないですが、現場でみんなでアイデアを出し合って、どうやって食べるのかとか、色んなことを話し合いながら、クリエイティブにできたと思います。

北村:現場のグルーヴ感みたいなものは、大切にしてましたね。

向井:それにセリフの量に関しては、実際に現場に行って見ると、そんなに大変だと思うこともあまりなかったですし。

北村:あ、急に。

向井:楽しんでやりました。

北村:じゃあ、俺も!

■ドラマをきっかけに人生初のおとりよせ

――撮影の裏話としては何が印象に残っていますか?

向井:とにかく食べ物が美味しかったです。僕はコーヒー好きなのですが、2話で出てくるコピ・ルアクというジャコウネコのフンから採ったコーヒー豆を焙煎したものがあって、世界で一番高いと言われるくらいの高級な豆なんです。知識としては持っていましたが、それを今回初めて飲むことができました。

撮影前からすごく楽しみで、実際、美味しかったです。セリフにもあるんですけど「これはもはやコーヒーじゃない」というくらいの濃厚な香りとコクで。あまりに美味しかったので、実際にお取り寄せしました。実は僕、ネットで買い物をしたことがなかったんです。お取り寄せもしたことがなかったのですが、今回初めてお取り寄せしました。

台本も普段は手元に置いておかないタイプなのですが、今回の台本に関しては、毎回のお取り寄せの品が書いてあるので、忘れないように置いてます。

北村:鍋も美味しかったよね。せんべい汁、初めて食べました。今回、初めて食べるものが半分以上はあったかなぁ。芝居をする上でもフレッシュに反応できましたね。あるキャストさんが、スイーツを食べて「濃厚!」って叫ぶ回があるんですけど、僕らもこっそりいただいたら、それが本当に濃厚なんです。

向井:みんなで言ってましたよね。「濃厚!」って。

――テレ東のグルメドラマは、もはやブランドになっています。男性ふたりの取り合わせで言うと『きのう何食べた?』も人気でした。今回の榎村と中田は作家としては認め合っていますが、普段はぶつかりまくっているのが面白いですね。

向井:結局は仲がいいんじゃないですか? わ~わ~言い合ってますけど、それって信頼してないとできないんじゃないかなと思うんです。仲違いをするくらいのキツイ文言を言い合っても、なんだかんだ一緒に仕事を続けているというのは、仕事を互いに認め合っている前提があるからだとは思います。やっぱり信頼していないとそこまで言えないんじゃないかなと。”喧嘩するほど何とか……”じゃないですけど。

北村:ドSとドMという設定ですしね。僕が打たれ弱かったら「どうしてそんな酷いこと言うの?」「さよなら」となるかもしれないけど、ドMですから。最初は互いに「何なんだ、こいつ」という好奇心があったと思うんです。あとは一緒にやってみようとなって、紆余曲折ありますけど、作家としてアーティストとしてリスペクトしあっていますから、最終回まで関係が繋がっていくのかなと思います。

■向井の言葉に、北村が大喜びしてハイタッチ!

――榎村と中田は、作家としてリスペクトし合っていますが、おふたりが今回がっつり組まれてみて、役者として惚れた部分を教えてください。

北村:向井くんは、僕がいろんなことをやっても動じないんです。それがすごく嬉しかったですね。役からブレずに「ふざけるな!」とか、ちゃんと榎村として言ってくれる。やっぱりただのお遊戯になってしまうとおしまいなので、自由にやりながらも、どこかキュッとキツく縛っているところがあるんだけど、そこのイメージがちゃんと共有できている感じがありました。すごく安心して、楽しんでお芝居できました。

向井:あまり目上の方を誉めるのも失礼ですし、お芝居のことに関して、僕から申し上げることは何もないのですが、北村さんは、家庭を大事にしているところが、すごく信頼できます。

北村:おお!(大喜びで片手を挙げて、突然のことに戸惑う向井とハイタッチ) 嬉しい!

向井:良かった(笑)。もちろん色んなタイプの方がいらっしゃるので、仕事だけちゃんとやっていればいい人もいると思います。ただ僕が個人的に仲のいい人や信頼できる人、いまだに繋がっている人って、家庭を大事にしている方が多いんです。

北村:(隣で嬉しさをかみしめ中)

向井:どうもそういう人を信頼する傾向にあるみたいで。

北村:そうかぁ。いや、撮影中、いろんなことがあったから、家に帰ると「今日はね、向井くんとこんなことがあって、こんな話をしたんだよ」と、毎日話してたんです。向こうが韓国ドラマとか見てるのに、お構いなしに毎日。そのうち、主語が抜けてきて「今日はね、こんなことしてたんだよ」と言うと。妻が「ああ、理ちゃんね」って。

向井:理ちゃん(笑)

北村:気が付いたら、毎日「今日の理ちゃん報告」をしてたんだよ。もうホントその日にあったことを、全部話してました。

向井:あはは! ありがとうございます。

■向井理
1982年2月7日生まれ、神奈川県出身。2006年に芸能界デビュー。10年に出演した連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』にてヒロインの夫役を演じて評判を集め、翌年には大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』でも主人公・江の夫を演じた。特に近年役の幅を広げ『正月時代劇 幕末相棒伝』(単発)、『婚活探偵』に続き、今年は本作が主演3作目のドラマであり、出演作も続く。8月にはハリー・ポッターを演じる主演舞台(トリプルキャスト)も控えるなど、人気と実力を兼ね備えた俳優として活躍中。 ヘアメイク:園部タミ子、スタイリスト:外山由香里

■北村有起哉
1974年4月29日生まれ、東京都出身。98年に舞台『春のめざめ』と映画『カンゾー先生』でデビューを果たす。父は名優・北村和夫。16年に映画『太陽の蓋』で映画初主演。ドラマ『トッカン 特別国税徴収官』、『アンナチュラル』(18年)、『ムショぼけ』(21年)、映画『新聞記者』(19年)、『すばらしき世界』『ヤクザと家族 The Family』(21年)など、舞台、ドラマ、映画と垣根を越えて活躍。昨年4月から放送された女優で妻の高野志穂との夫婦CM共演も話題を呼んだ。