『オッドタクシー』『シナントロープ』の原作・脚本で知られる此元和津也の漫画『スピナーベイト』(幻冬舎コミックス)が、フジテレビ・FODでドラマ化される。6月30日の放送開始を前に、1日、都内で制作発表記者会見が行われ、主演の加藤清史郎をはじめ、駿河太郎、萩原護、奥野壮、高橋侃、桃児、吉澤要人(原因は自分にある。)、吉村界人が出席した。
主演の三井宏太を演じる加藤は、撮影を振り返り、「放課後の時間、昼から夜にかけてのシーンが多かったです。夜のシーンを増やすために昼夜逆転の生活でした」と明かし、夜食として口にした温かいそばとうどんに救われたエピソードを披露。「食事でここまで人は豊かになれるんだと思いました」としみじみ語った。
高校時代をイングランド・ロンドンで過ごし、2020年に帰国した加藤。寮生活でサッカー部に所属した体験を回想し、「スケジュールの関係でチームスポーツは諦めてきた学生時代でした。それをロンドンという地で経験できたのは人間としても大きかったです」と語り、「役者はその人を生きる仕事。自分の体に対する解像度が上がりました」とも明かした。
三井の前に現れる謎の男・吉見健太郎を演じる駿河は「実は以前から原作の漫画を読んでいたので、お話を頂いた時は『あの世界に自分が入れるんか!』と純粋にうれしかったです」と、原作ファンであることを告白。「吉見は読者としても非常に思い入れがありましたが、同時にどこかつかみどころのない『得体の知れない存在』。そんな彼をどう生かすか、プレッシャー以上に考えるのが楽しい毎日です」と充実ぶりをにじませた。
会見では、役作りにまつわる笑えるエピソードも飛び出した。スピナーベイトのリーダー・寺山役の奥野は「寺山は元サッカー部ということで、リフティングをするシーンがあるから練習しておいてください、と制作陣から伝えられていて。すごくリフティングを練習したんです。そしたら現場に入って『リフティング撮らないです』と言われて(笑)」と苦笑いで明かした。
「侃くんが上手なので教えてもらっていた」と打ち明けると、副官・玉城役の高橋は「僕が調子に乗ってボールをいじりすぎたかもしれないです」とへりくだって見せ、加藤が「側近の玉城がうますぎたせいで、“殿”がリフティングできなかった」と暴露。役の関係性そのままのやり取りに会場が沸いた。
高橋は、本作で真面目で気弱なパシリ役の内を演じた萩原と共に、『シナントロープ』(テレビ東京)に続く此元作品への参加となり、「今回も面白いです。お楽しみに」と自信をにじませた。
さらに、“制服トーク”で盛り上がる一幕も。現在30歳の高橋は、学生役への挑戦について「制服に違和感があった」と苦笑い。対照的に、スピナーベイトの中でも異質な存在の高橋役の吉澤要人は、「まだいけるなと思いました」と自信をのぞかせ、会場の笑いを誘った。奥野も「もう恥ずかしくなってきている」と本音を明かし、それぞれの温度差が垣間見える場面となった。
また、スピナーベイトの元締めである「亀貝組」の組長を演じた吉村界人は、学生チームの撮影現場について「すごく楽しそうだった」と語り、「青春ができなかった」「制服を着たい」とうらやましそうな表情。学生キャストとの共演シーンが少なかったことを残念がりながら、「青春足りてないです」と自虐気味に話し、会場を和ませた。
吉澤も、先輩をパシリに使う火原役の桃児や萩原らが、キャスト陣が撮影後にお風呂で交流していたというエピソードを明かしながら、「そこに入れなかった」と悔しさを吐露。無口な役柄を演じる難しさにも触れ、「どう見ていただくのかを考えながら演じていた」と撮影を振り返った。
主演の加藤を中心に、同世代の俳優たちがぶつかり合いながら作り上げた『スピナーベイト』。会見では、クライム・サスペンスとしての緊張感だけでなく、作品の根底に流れる“青春”の空気感も存分に伝わってきた。
『スピナーベイト』の主人公が所属する抱月北高校フィッシング部の実態は、“スピナーベイト”と名乗る恐喝まがいの自警団。強引に犯罪を取り締まり、稼いだポイントによって絶対服従の序列が決定する。そんな組織だと知らずに入部してしまった平凡な高校生・三井宏太は、未だゼロポイントの序列最下位。
そんなある日、町を震撼させる連続殺人事件が発生。なりゆきで犯人を追うことになった三井は、事件の渦中に放り込まれていく。事件を境にスピナーベイト内の序列も目まぐるしく変わり、歪に絡まっていく人間関係。他人事のように傍観していた三井は、事件の核心に迫るにつれ、次第に当事者として現実に向き合っていく。ヒエラルキーに縛られた少年たちの日常の裏で、巧妙に散りばめられた違和感が姿を現す、衝撃の青春クライム・サスペンスとなる。




