大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で八重役を好演している女優・新垣結衣にインタビュー。大河ドラマ初出演の感想や、八重としての役作り、主演の小栗旬との共演などについて話を聞いた。

  • 新垣結衣 ヘアメイク:藤尾明日香 スタイリスト:道券芳恵

■八重と義時が結婚 “大事なシーン”を回顧

三谷幸喜氏が脚本を手掛ける本作は、源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男、二代執権・北条義時の物語。新垣が演じる八重は、源頼朝(大泉洋)の前妻であり、主人公・北条義時(小栗旬)がずっと思い続けてきた人。第11回で八重は、義時との結婚話を「お断りいたします!」と拒否したが、その後も義時は思い続け、ついに10日放送の第14回で2人は結婚することに。八重の懐妊も明らかになった。

義時と八重の関係性に変化が見られたのは第13回。魚や山菜などを一方的に届ける義時に、八重は「怖い」と戸惑い気味で、「『お帰りなさい』と笑顔で言ってほしい」と言われてもそっけない態度を見せていたが、「背を向けたいのならそれでもいい。私はその背中に尽くす。八重さんの後ろ姿が幸せそうなら私は満足です」という義時の思いに心を動かされ、「お帰りなさいませ」と笑顔を見せる。義時は笑顔と涙が入り混じった表情で「ただいま帰りました」と返し、視聴者からも喜びや感動の声が上がった。

このシーンについて、新垣は「あのシーンで初めて八重さんが小四郎の思いを受け止める。2人の関係性が変わる大事なシーンだったので、そう思いながら撮影に臨みました。小四郎の表情がとても素敵で、素敵なシーンになったと思います」と振り返る。

■小栗演じる義時の魅力は「真っすぐさ」

そして、小栗演じる義時の魅力について「真っすぐさ」を挙げ、「振り向いてくれなかったとしても幼なじみとして昔から抱いてきた思いは変わらないし、大事にしたいと言ってくれて、八重が義時さんに対してそっけなく対応したとしても見返りを求めず尽くしてくれる、そういう真っすぐさが魅力で、そこに心を動かされたのかなと思います」と解釈。

その義時の真っすぐさは目に表れていると言い、「特に、ドラマの始まりから八重と一緒になって間もない頃あたりの義時さんは本当に純粋な目をされている。少年のような眼差しで、あふれるさわやかさ、若々しさがあり、八重に対しては、わかってないなって言いたくなるような未熟さがあったり。その後、夫として頼もしさや落ち着きも増していきますが、八重の前にいる義時さんは基本的にずっと変わらなかったと思います」と語る。

頼朝と別れさせられ、頼朝との子・千鶴丸を殺され、夫・江間次郎(芹澤興人)も、さらに、父・伊東祐親(浅野和之)と兄・伊東祐清(竹財輝之助)も殺され、家族を次々と失った八重を1人にせず、そして新たな家族になった義時。

新垣は八重の幸せについて「大事な人と過ごす穏やかな時間が何より幸せだろうなと。大事なものをどんどん失ってしまったので、自分の生きる意味をずっと探している。生きるための執着というか、そういうたくましさがあるという風にも捉えていますが、大事な存在と一緒にいられる時間は幸せだったと思います」と述べ、八重の幸せは「義時さんのおかげ」と話した。

■小栗に感謝「周りを見て気にかけてくださる」

新垣と小栗の共演は、TBS系ドラマ『スマイル』(2009)以来、13年ぶり。新垣は「『スマイル』のときは共演シーンがそんなになかったですし、いつも小栗さん演じる誠司に脅されているシーンばかりだったので、今回共演させていただいて、これだけ長い時間一緒に過ごしたのは初めてですし、役柄も全く違いますし、本当に光栄だなと思いながら過ごしていました」と振り返り、「印象は変わりません。周りを見ていて、すごく気にかけてくださるという印象は当時からあり、今回もそうでした。ありがたかったです」と感謝した。