『機界戦隊ゼンカイジャー』に続くスーパー戦隊シリーズ最新作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』がテレビ朝日系にて好評放送中である。日本に古くから伝わる昔ばなし「桃太郎」の桃太郎とお供の犬、猿、雉、そして彼らが退治する相手の鬼をキャラクターモチーフにしたドンブラザーズは、とにかく個性豊かなメンバーがそろっている。

  • 別府由来(べっぷ・ゆうき)。1998年生まれ、東京都出身。美容師を経て芸能界入り。テレビドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』(2021年)、WEBドラマ『ヒミツのアイちゃん』(2021年)、FM TOKYOのラジオ番組『FESTIVAL OUT』、CM「ドミノピザ」などに出演後、2022年『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』サルブラザー/猿原真一役でレギュラー出演を果たす。 撮影:大門徹

頭にチョンマゲをつけたドンモモタロウを筆頭に、かつてない長身のキジブラザー、頭にツノをつけたオニシスター、かつてない小柄さのイヌブラザーと、いずれも一筋縄ではいかない濃厚なキャラクター性を有している。今回の単独インタビューに登場する別府由来が演じるサルブラザー/猿原真一は、その名のとおり猿を思わせる野性的なマッスルボディが特徴で、パワーを活かした戦いを得意にしているという。

アバターチェンジする前の真一は、几帳面で博学な「風流人」、平たく言うと「無職」の青年。近隣の人々から「教授」と呼ばれ、よき相談相手になっており、周囲を見渡して実に風流な「俳句」を詠む一面を持ち合わせている。ここでは、子どものころから憧れていたスーパー戦隊ヒーローになった喜びでいっぱいの別府に、特徴的な真一をどのように演じるか、今後にかける強い意気込みを尋ねた。

――出演が決まったと知らされたときのお気持ちを聞かせてください。

役者を目指して3年目、今までどうも遠慮しがちだった自分を変えたいと思って受けたオーディションでした。役が決まったと聞いたときは目の前が真っ白になるくらいの喜びがありました。今回のオーディションは、受ける前から「イケるんじゃないか」と自己暗示をかけていました。自分自身の魅力を出していくには、それくらい己を奮い立たせなければ、と思って取り組んでいたんです。

――ご両親に報告されたとき、どんなリアクションがありましたか。

自分の口から伝えたいなと思って、父とは車の中でさりげなく「決まったんだよね」と言いました。そうしたらめちゃくちゃ喜んでくれて……「スピード出し過ぎないでね」っていうくらい(笑)。そして、母には外で食事をしているときに話したのですが、たくさん人がいる中で泣き出しちゃって……。妹もお祝いしてくれました。家族はずっと僕のことを応援してくれたので、今度は僕が孝行できたらいいなと思います。

――子どものころ好きだったスーパー戦隊は何ですか?

『特捜戦隊デカレンジャー』(2004年)や『魔法戦隊マジレンジャー』(2005年)あたりが子ども時代のヒーローでした。友だちといっしょに戦隊ごっこをしている写真が残っています。この前、実家に帰ったとき『デカレンジャー』に出てきた「マーフィーK9」の玩具と再会したんですよ。こんどは僕が「スーパー戦隊」のヒーローになれるんだと思うと、感情が高ぶりました。

――スラリとした長身が魅力の別府さんですが、子どものころから背は高かったのですか。

今は185cmありますが、中学のときは165cmで、いつも前から3番目に並んでいました。高校に入ってグングン伸びてしまい、制服がツンツルテンになってしまったんです。自分でもここまで伸びるとは……と驚きました。スポーツはサッカーと、趣味で卓球をやっていました。あとはよく食べ、よく寝て、オレンジジュースを飲んでいましたね(笑)。

――真一がアバターチェンジ(変身)したサルブラザーを初めて見たときの感想を聞かせてください。

最初に見たときは「サルなのか……」と衝撃を受けました。でも肉体派でなかなか強そうなヒーローだなって、すぐ愛着がわきました。僕がけっこう細めなのに対し、サルブラザーはマッチョでしょう。変身前と後のギャップの面白さがあるんです。

――別府さんの好きなスーパー戦隊ヒーローのカラーは何でしたか。

ずっとブルーが好きでした。子どものころから、着ていた服はブルーが多かったんです。オーディションを受けたときも、レッドをやりたい気持ちはゼロではなかったけれど、ブルーがいいなと思っていました。やっぱり『デカレンジャー』デカブルーのイメージが強かったんでしょうね。演技審査のときも、ストレートなヒーロー像を演じるよりも、その横に立ってなお目立つようなキャラクターを意識して、自分なりに遊びの部分を入れたりしていました。たとえば、ちょっとクールなイメージを加えてみるとかです。

――猿原真一とは、どういう人物なのでしょう。別府さんが役を演じるにあたり、意識されたこととは?

かなり変わった男のようです(笑)。僕自身、台本を読んで「こいつ……変わってるな」と思いましたから。こういうクセの強いキャラクターを演じさせてもらえるのはとても楽しいです。まだ物語が始まったばかりで、真一がどんな風に育っていくのかはわかりません。どういう過去を背負っているかもわかりません。現段階で僕がイメージする猿原像は「その場その場を必死で生きている」。一見クールなのですが、悲しみの涙を流したり、誰かが困っていたら体がついつい動いて助けに行ったり、内に秘めた感情はかなり激しいものがあります。正義の心を持った熱い変人を演じていきたいと思っています。

また真一は洞察力に優れ、ちょっとしたヒントから人の本質を見抜いてしまいます。こういった部分を自分のものにするため、「シャーロック・ホームズ」の小説を読んで研究をしました。第1、2話の田崎竜太監督からは「猿原はスナフキンなんだ。それも“芯のないスナフキン”」だと言われたんです。改めて『ムーミン』のスナフキンのことを思い浮かべると、彼は芯が一本通ってカッコいいじゃないですか。芯のないスナフキンとはどういう意味なのか……? 今後、僕が猿原のいろいろな面をお見せすることができればいいなと思っています。