2022年3月6日から放送開始する新番組『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の制作発表会見が2月9日、東京ドームシティ・シアターGロッソにて行われ、ドンブラザーズとなる5人をはじめとする主要キャストが登壇した。

  • 上段左から、MORISAKI WIN、駒木根葵汰、タカハシシンノスケ、富永勇也、宮崎あみさ、和田聰宏、下段左から、鈴木浩文、志田こはく、樋口幸平、柊太郎、別府由来

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』は、『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)を第1作とする「スーパー戦隊シリーズ」の第46作。カラフルに色分けされた仮面のヒーローが集まって、それぞれの持ち味を活かして邪悪な敵と戦い、クライマックスには仲間同士が力を合わせることにより、強敵怪人を倒すというのが「スーパー戦隊」のフォーマット。複数のヒーローが団結し、友情や信頼といった心のつながりで強くなるという姿勢は、40数年間にわたって「スーパー戦隊」が常に大切に守ってきたものである。その一方で、時代の移り変わりや流行に合わせ、常に子どもたちの興味をひきつけるべく、ヒーローの性格設定や戦闘スタイルなどは1作ごとに大胆なまでの変化がつけられ、こちらも「スーパー戦隊」の大きな魅力となっている。

歴代「スーパー戦隊」には、動物、自動車、忍者、恐竜など、バラエティに富んだモチーフが組み込まれることが多い。本作『ドンブラザーズ』のモチーフは、日本の子どもたちに長年親しまれている昔ばなし『桃太郎』。従来のレッド戦士にあたるのがドンモモタロウ/桃井タロウ(演:樋口幸平)で、彼の“お供”になるのがサルブラザー/猿原真一(演:別府由来)、オニシスター/鬼頭はるか(演:志田こはく)、イヌブラザー/犬塚翼(演:柊太郎)、キジブラザー/雉野つよし(演:鈴木浩文)であるようだ。

47年もの長い歴史を誇るスーパー戦隊シリーズのファン層は、かつて『秘密戦隊ゴレンジャー』を楽しんでいた親世代から、現在『機界戦隊ゼンカイジャー』に熱中している子どもたちまで、幅広い世代にわたっている。勇気ある少年がお供(あるいは仲間)と力を合わせ、恐ろしい悪者をやっつける「勧善懲悪」のシンプルな物語という意味では、『桃太郎』は現在の「スーパー戦隊」の遠いルーツのひとつなのかもしれない。悪に戦いを挑むチームヒーローの始祖・桃太郎をモチーフにしたスーパー戦隊の登場は、まさに「来るべくして来た」出来事だといえるだろう。

スーパー戦隊と「昔ばなし」を組み合わせようとする試みは、第8作『超電子バイオマン』(1984年)にまでさかのぼることができる。『バイオマン』は当初、桃太郎や金太郎、一寸法師、かぐや姫といった昔ばなしの主人公(のモデル)になった若者たちの血をひく子孫が、バイオ星の超科学を受け継いで地球の平和を守る戦士になる設定で進められていたものの、完成作品では昔ばなし要素がオミットされることになった。その詳しい経緯は不明だが、バイオマンのリーダーを務めるレッドワン/郷史朗(演:阪本良介)が劇中で犬や猫や鳩と会話をしているのは「犬や猿やキジと意志を通じ合わせていた桃太郎の子孫」という没設定の名残である。『バイオマン』から約38年の歳月を経て、桃太郎をモチーフとしたスーパー戦隊がついに実現したと思うと、スーパー戦隊シリーズの歴史の長さを改めて感じることができる。

また、『ドンブラザーズ』というネーミングも強烈なインパクトを残している。キョウリュウジャー、トッキュウジャー、ニンニンジャー……と、近年のスーパー戦隊は「○○ジャー」または「○○レンジャー」といった名称がなじみ深いが、今回の『ドンブラザーズ』は2012年の『特命戦隊ゴーバスターズ』以来10年ぶりに「ジャー」のつかない戦隊名となった。もともとスーパー戦隊のネーミングは『ジャッカー電撃隊』(1977年)、『バトルフィーバーJ』(1979年)、『太陽戦隊サンバルカン』(1981年)、『救急戦隊ゴーゴーファイブ』(1999年)など、「○○レンジャー」「○○マン」といったフォーマットにはまらない名称もたくさん存在する。ドンブラザーズは『桃太郎』の導入部分である「大きな桃が川をどんぶらこと流れてきた」のフレーズと、ブラザーズ(兄弟)をかけた秀逸なネーミング。何かと不安な現代日本の閉塞感を打ち破る、型破りなヒーローとして大活躍してもらいたい。

制作発表会見のステージに現れたドンブラザーズの5人、そして彼らの敵「脳人(ノート)」の3人、そして今回のシークレットゲストがステージに上り、新番組にかける意気込みやヒーローへの憧れ、そして共演者とのチームワークについて熱く語った。

あらゆる場所へ荷物を運ぶ配達員で、絶対にウソをつくことのできない男・ドンモモタロウ/桃井タロウを演じる樋口幸平は「変身前と変身後とでは、性格がぜんぜん違うキャラクター。難しいところもありますが、1年間全力で頑張っていきたい」と、レッド戦士になったことで生まれる不安やプレッシャーを押しのけて、タロウ役を務め上げる自信に満ちたコメントを発した。

自然を愛し、見事な俳句を詠む“風流人”と紹介されたサルブラザー/猿原真一役・別府由来は「猿原はとても頭がよく、博学で、近隣の人からは“教授”と呼ばれていますが、とても変人でクセのある役です」と、常に作務衣姿で浮世離れした猿原の役柄に、演じがいを感じているようすだった。

活発な女子高生、オニシスター/鬼頭はるか役・志田こはくは「役が決まったときは、うれしい気持ちと驚きが一緒にやってきました。スーパー戦隊のバトンを受け取った責任を感じ、名前に恥じないよう頑張りたい」と、46作もの長い歴史を持つスーパー戦隊の重みを実感しつつ、頑張ることを元気にアピールした。

無実の罪で警察に追われている“逃亡者”イヌブラザー/犬塚翼を演じる柊太郎は「僕たちキャスト、スタッフの方々、そしてテレビをご覧になっているみなさんと一緒に、新しいスーパー戦隊を作りたいです。僕自身も、こんなブラックがいたんだと言われるような新しいブラック戦士像を築きたい」と、小さくてカワイイ犬の戦士にアバターチェンジするイヌブラザーへの強い意気込みを語った。

メンバー最年長の33歳で、やや頼りないサラリーマン・キジブラザー/雉野つよしを演じる鈴木浩文は「ヒーロー役が決まったことへのうれしさよりも、これまでいろいろお世話になった両親や、助けてくれた友だちに恩を返すきっかけにしたい」と、銀行員をやめてまで飛び込んだ俳優の道で、今まで苦労をかけた人たちに恩返しをしたいとしっかりした口調で話し、はにかんだような笑顔をのぞかせた。また、キジブラザーはスーパー戦隊シリーズで初の男性「ピンク」戦士であり、アバターチェンジすると220cmもの長身ヒーローになるというのも、今までにない要素だといえる。

続いて、人類を脅かす存在と思しき「脳人(ノート)」の3人がステージに現れた。

青い衣装を身に着けたソノイ役の富永勇也は「子どものころは幼稚園に行くのが嫌いで母親を悩ませていたのですが、スーパー戦隊のレッドが大好きだったので、赤い洋服を着せてもらったときだけ機嫌よく幼稚園に通っていました」と、スーパー戦隊シリーズへの愛着の強さを打ち明けつつ、スーパー戦隊ヒーローと敵対する役柄に意欲を見せた。

露出の多い白の衣装が鮮烈な印象を残すソノニ役・宮崎あみさは「ヒロインのオーディションを受けていて、ある日マネージャーさんから『落ちました……でも悪役ヒロインで受かりました』と聞き、ビックリしました。歴代の悪役ヒロインのことを検索したら、とても素敵な方ばかり。いまでは悪役ヒロインを誇りに思っています」と、愛らしい瞳を輝かせながら「悪の美学」を追求するヒロインを演じようと抱負を語った。

ブラウンの衣装で現れたソノザ役・タカハシシンノスケは「子どものころは『超力戦隊オーレンジャー』(1995年)『激走戦隊カーレンジャー』(1996年)」が大好きでした」と、具体的な作品名を出しつつ熱いスーパー戦隊愛をアピールした。さらには「ドンブラザーズは白倉(伸一郎)さんがプロデューサー、田﨑(竜太)監督が第1、2話を手がけ、脚本は井上(敏樹)大先生。このお名前をご存じの方なら、ただごとではないと思うでしょう! 1ファンとして、この先の展開がとても楽しみです!」と、“ガチ”なスーパー戦隊ファンとして、最高のスタッフ陣と一緒に仕事ができることを心から楽しそうに語った。

続いて、スーパー戦隊に指令を与える「長官」的ポジションとして紹介されたのは、桃井陣を演じる和田聰宏だった。テレビドラマや映画で活躍するベテラン俳優の和田が特撮ヒーロー作品に出演するのは、2019年公開の映画『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』(ヒューマギア・ウィル役)以来2度目となる。和田は「半世紀近く続いているスーパー戦隊シリーズをいい意味で裏切る作品にしたい」と抱負を述べ、朗らかな笑顔を見せた。若い俳優たちの印象を聞かれた和田は「まだ僕はあまり彼らと関わっておらず、最初の段階では志田さん演じるはるかとしか絡んでいないんです。でも今後はひとりひとりと関わっていくだろうし、俳優として成長していく彼らの姿を見届けられるのではないかと思います」と、先輩俳優として若手の成長を見守っていく姿勢をのぞかせた。

ここで、本作のシークレット出演者が発表されることに。MC(宮島咲良)のそばでしきりにメモを手渡そうとするアルバイトの青年、彼の正体は『機界戦隊ゼンカイジャー』(2021年)でゼンカイザー/五色田介人を演じてきた駒木根葵汰だった。駒木根は「まさか2年連続で主役を務めさせてもらえるなんて……」と挨拶したが、すぐさま樋口たちから「違います!」とツッコミが入った。駒木根の役柄は『ゼンカイジャー』と同じ五色田介人に違いないのだが、我々がよく知るあの介人とは別人のような雰囲気を備え、はるかがアルバイトをしている喫茶店「どんぶら」のマスターであるという。駒木根は「引き続き出演しますが、どんな役なのかわからないですね。これからも何をしていくかわからないですから、みんな優しくしてくれるとうれしい」と、謎めいたキャラクターだということをほのめかした。

前作の主人公が次回作にも登場し、新ヒーローを盛り立てるというパターンは、特撮ヒーロー作品がシリーズ化される際によく用いられる。『仮面ライダー』(1971年)の本郷猛、一文字隼人が『仮面ライダーV3』(1973年)に、『宇宙刑事ギャバン』(1982年)のギャバン/一条寺烈が『宇宙刑事シャリバン』(1983年)に、そして『重甲ビーファイター』(1995年)のブルービート/甲斐拓也が『ビーファイターカブト』(1996年)に、それぞれ重要な役どころで姿を見せている。本作での五色田介人は、はたして以前のようなゼンカイザーの介人なのだろうか? ドンブラザーズの活躍とともに、介人の行動にも注目したいところである。

最後に、本作の主題歌「俺こそオンリーワン」に合わせて、ドンブラザーズ&脳人の8人によるエネルギッシュかつ華麗なるダンスが披露された。主題歌を歌唱するMORISAKI WINもステージにかけつけ「ダンスがめちゃくちゃいいですね! 最高でしたみなさん!」と、8人のパフォーマンスを絶賛した。

MORISAKIは主題歌の聴きどころとして「語り出したら止まらなくなりますので、今日は一か所だけ。イントロでさっそくタイトル名を叫んでいますので、テレビを観ているみなさんがいっしょに歌っていただけたらうれしいです!」と、イントロ部分の「ドンドン、ドンブラザーズ……♪」を口ずさんでもらい、楽曲に親しんでほしいとアピールした。

新番組『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』は3月6日から、テレビ朝日系で毎週日曜あさ9:30より放送を開始する。

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