東急とJR北海道が運行する「THE ROYAL EXPRESS ~HOKKAIDO CRUISE TRAIN~」の体験乗車取材会が3月14日に実施された。横浜駅から伊豆高原駅まで「THE ROYAL EXPRESS」を運行し、車内で各種食事の試食やヴァイオリンの演奏、水戸岡鋭治氏らによる概要説明などが行われた。
「THE ROYAL EXPRESS ~HOKKAIDO CRUISE TRAIN~」の3年目となる今年、2020年から提供している「HOKKAIDO CRUISE TRAIN」、2021年から提供している「銀鱗荘でのプレミアムな一刻」(前泊プラン)+「HOKKAIDO CRUISE LIMITED」に加え、新たなプランとして「HOKKAIDO CRUISE LIMITED ~壮大な大地を感じる美しさ煌めく旅~」を提供。運行回数も増加し、8~9月に合計8回の運行を予定している。
今回の体験乗車取材会は、北海道クルーズの旅や地域の魅力を体感してもらう機会として実施されることになった。報道関係者らを乗せた「THE ROYAL EXPRESS」は13時47分、横浜駅を出発。駅係員らの見送りを受け、おもてなしの精神を感じることができた。
報道関係者らは5~7号車に分散して乗車。筆者が乗車した7号車では、最初に音旅演出家・ヴァイオリニストの大迫淳英氏による生演奏を体験できた。演奏曲は、この列車のために書き下ろされた「THE ROYAL EXPRESS」と、同曲を北海道クルーズのためにアレンジした「THE ROYAL EXPRESS 北海道の旅」。車輪の音を思わせるピアノのリズムに、大迫氏のヴァイオリンが滑らかに調和している。「THE ROYAL EXPRESS 北海道の旅」は、より音に広がりを感じさせるアレンジとなっており、北海道の雄大な自然を想起させた。
大迫氏はJR九州のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」でも演奏活動を行っている。揺れる車内での演奏もまったく気にならず、つねに乗客の旅に寄り添うことを心がけているとのことだった。
続いて「THE ROYAL EXPRESS」のクルーが食事を配膳する。北海道クルーズの初日に供されるという千歳市の寿司店「すし心 福籠」の寿司3貫(ウニ、サクラマス、毛蟹)と、3日目に提供される北見市の割烹料理店「割烹 うめ笹」のじゃが芋カニ詰め揚げが並ぶ。デザートに「割烹 うめ笹」の桜ぜんざいも供された。
「すし心 福籠」の寿司を口にすると、新鮮な食材を最大限に活かしていることがわかる。ウニは程よくクリーミーで、毛蟹の蟹味噌もくどくない。サクラマスも、脂が適度に乗っていて非常に美味しかった。すでに味が付いているため、醤油などは供されない。わさびの辛味はなく、こどもや辛味が苦手な人でも安心して食べられる。
じゃが芋カニ詰め揚げも試食。茹でたじゃが芋の中を一部くり抜き、カニ・キノコ類といった食材を詰めて揚げたものだという。バターを付けて食べてみると、味は決して濃くないのに非常に豊かな味わいがした。桜ぜんざいも、春らしいさわやかな味がする。
飲み物は、池田町でフランスのシャンパーニュ地方とまったく同じ技法により製造されたスパークリングワイン「ブルーム 白」、士幌町の高校生と共同で開発した「CheerS」の「シーベリーソーダ」の2種類を提供。スパークリングワインは甘すぎず辛すぎない、バランスの取れた味わいで非常に飲みやすい。シーベリーソーダは甘味と酸味が程よくあり、すっきりとした風味だった。
試食後は3号車に移動。「THE ROYAL EXPRESS」を企画立案し、運行を実現させた東急の松田高広氏(東急 交通インフラ事業部事業運営グループ統括部長)と、デザインを担当した水戸岡鋭治氏(ドーンデザイン研究所 主宰)によるプランの概要説明が行われた。
2022年の北海道クルーズプランは、8月5~8日を皮切りに、9月23~26日まで合計8回運行予定。2名1室利用の場合、1人あたりの料金は「HOKKAIDO CRUISE TRAIN」が73万円、「HOKKAIDOCRUISE LIMITED ~壮大な大地を感じる美しさ煌めく旅~」が77万円、「銀鱗荘でのプレミアムな一刻」+「HOKKAIDO CRUISE LIMITED」が89万円となる。
新プランの「HOKKAIDO CRUISE LIMITED ~壮大な大地を感じる美しさ煌めく旅~」では、札幌駅を出発し、初日は帯広まで移動して「十勝川温泉第一ホテル豊洲亭」に宿泊。2日目は釧路へ向かい、自然を堪能した後、「あかん鶴雅別荘 鄙の座」で夜を過ごす。3日目はオホーツクの景色を楽しみつつ、旭川へ。「富良野リゾート オリカ」に滞在し、最終日に美瑛の丘を散策する。旭川から札幌に戻り、旅の終わりにフェアウェルセレモニーが行われる。
北海道クルーズに関して、松田氏は「ワクワクドキドキしながら新しいプランを作っていった」と語る。水戸岡氏も、「ロイヤルエクスプレスのサービスは非常にクオリティが高い。いっさい手を抜かずに作り上げた空間とサービスを楽しんでほしい」と述べた。
横浜駅からJR東海道線・伊東線、伊豆急行線を走行した「THE ROYAL EXPRESS」は15時41分、伊豆高原駅に到着。その後、16時30分頃まで車内・外観の撮影を行い、各自解散となった。「THE ROYAL EXPRESS」は伊豆高原駅の利用者からも注目を集めていたようで、「ロイヤルエクスプレスを見たいから、改札をお願いします」と駅係員にせがむこどもの姿も見られた。
今回の体験乗車取材会では、東急や水戸岡氏らの「利便性や経済性を考えず、手間暇かけて良いものを作る」という姿勢に共感する人の多さや世代の多様さを改めて実感できた。なお、「THE ROYAL EXPRESS ~HOKKAIDO CRUISE TRAIN~」の申込みは郵送やホームページ、旅行代理店で受け付けている。