映画『ツーアウトフルベース』(3月25日公開)の完成披露試写会が15日に都内で行われ、阿部顕嵐、板垣瑞生、新羅慎二、藤澤浩和監督が登場した。

  • 阿部顕嵐

    阿部顕嵐

同作は内田英治の脚本に、気鋭の新人監督・藤澤浩和がメガホンを取ったオリジナル作。かつてはプロ入りが期待されるほどの高校球児だったイチ(阿部)とハチ(板垣瑞生)だが、部内で起こった不祥事により転落人生が始まり、ひょんなことから町のヤクザに因縁をつけられ、ヤクザと不良グループによる血みどろの抗争に巻き込まれていく。

同作には7ORDERのメンバーである諸星翔希が、チンケな売人チャー坊役で出演しているが、阿部は「グループのメンバーとして嬉しいんですけど、現場に入る際は一対一というか、映画の出演者の1人なので、特別な思いというのはないです」ときっぱり。「たぶん、彼もそれを望まないですし、僕もそういうのが好きじゃないので、対人間として一緒に作品取り組んでいた感じです」と語った。

新羅は「モロも、すごい頑張ってたよね。もう毎回カットと言われるたびに『どうでしたか今のは!?』と言って。好きだなあ。初日は自分の中で思うようにいかなくてすごい落ち込んで、俺、4時間くらい話されたもん。『どうやったらもっといい演技できますか!?』って」と明かし、阿部は「そうだったんですね」と驚いた様子に。新羅は「コーヒー屋で話してたんだけど、最後閉店になっちゃって。熱く話して、2日目の撮影の時に自分の中でしっかりできたようで、よかったです」と振り返った。

また、主題歌も同グループの新曲「レスポール」に決定したが、阿部は「深夜の2時くらいに車の中で聞いて。『意見があったらすぐ言ってくれ』と言われていたので、聞いたらめちゃくちゃ素敵でカッコ良くて『言うことないよ、俺には』」と絶賛。曲を手がけた新羅は「顕嵐の好きな音楽を全部調査していたんです。UKロックが好きだと聞いて。こういう70年代くらいのアングラパンクはちょっとマニアックなパンクかなあと思ったけど、その中で『シューゲイザー』というジャンルがあって、靴を見ながら演奏するという音楽、お客さんを一切見ないという音楽で、7ORDERがやれるって結構すごいことなんですよね」と意図を説明する。「お客さんがセブンを見に来てて、セブンのみんなも愛を込めて歌ってる中で、1曲だけ足元を見ながら歌う歌があってもかっこいいなと思って、シューゲイザーいうジャンルからインスパイアされた曲を作りました」と語った。

同グループのライブで曲を聞いたという板垣だが、実はその日はハプニングで、本当は流れるはずだった同映画の予告が流れる演出ができないまま歌が始まったという。板垣は「顕嵐のアカペラから始まるバージョンで聞かせてもらったのがすごい良くて、すっごい好き! と思って。その時のライブの顕嵐がめっちゃかっこよかったんです。自分が作品を一緒にやった親友がステージに出て、しかもアカペラというイレギュラーも乗り越えて超かっこいいライブにしてくれたという日があって、一生大切にしてくれた曲になるんだろうなと思いました」と思い入れはたっぷり。2人で歌うという提案もなされ、「本当にやりたい」(阿部)、「歌いたい!」(板垣)と意欲を見せた。

最後に阿部は、初の主演映画ということで「僕が偉そうに語れないんですけど、今の時代にはなんか珍しいと思える、無駄なシーンがあるんです。今って意味のあるシーンを羅列している作品が多いと思うので。だから、無駄だけど無駄じゃないんです。そういう余白を楽しんでいただけたらなって思いますし、僕ら出演者一同、スタッフさん一同、僕らのすべてが入っている映画だと思う」と同作について表す。「僕は一生大切にする映画だと思うので、皆さんぜひ楽しんでやってください」と観客に語りかけた。