『仮面ライダー』放送50周年を記念した展覧会『生誕50周年記念 THE仮面ライダー展』が、3月11日より名古屋・金山南ビル(旧名古屋ボストン美術館)で開催されている。

1971年4月3日に第1話を放送した『仮面ライダー』から、最新作『仮面ライダーリバイス』(2021年)まで50年もの月日をかけめぐり、さらなる未来へと突っ走る「仮面ライダーシリーズ」の、これまでの軌跡を追いかける本展。そのキャッチコピーは「あなたと共に生きた仮面ライダーは誰ですか?」というもの。仮面ライダー1号/本郷猛がこの世に生まれてから、人間の自由と平和を守る「魂」を受け継いだ仮面ライダーたちがぞくぞくと登場し、それぞれの時代を生きた子どもたちの憧れのヒーローとなった。本展は「仮面ライダーシリーズ」50年の歴史をふりかえることによって、テレビや劇場で「仮面ライダー」を観ていたすべての人々の「思い出」をも呼び覚ましていただきたい、という願いを込めて企画されたのだという。ここからは、10日に行われた『THE仮面ライダー展』マスコミ向け内覧会のもようをお届けしよう。

金山南ビル内の壁面には、歴代仮面ライダーを網羅した「仮面ライダー絵巻」というべき巨大パネルが設置されている。たまたま通りがかった人たちがふと足を止め、自分がかつて好きだったライダー、今もなお愛しているライダーの姿を絵巻の中から見つけ出そうとしている姿をよく見かけた。

会場は3F、4F、5Fの3フロアに分かれている。3Fエントランスでは巻頭の挨拶と共に、歴代「仮面ライダー1号」の立像が展示。『仮面ライダー』第1~13話の「旧1号」、そして第53話以降の「新1号」に加えて、映画『仮面ライダーTHE FIRST』と『仮面ライダー1号』での1号が濃厚なオーラを放っている。

4Fの「昭和」ゾーンでは最初に仮面ライダー1号/本郷猛を演じた俳優・藤岡弘、によるメッセージ映像が入場者をお出迎え。『仮面ライダー』当時の映像から現在の藤岡へ、50年の時を一瞬で飛び越えるような演出が目をひいた。続いて、『仮面ライダー』原作者・石ノ森章太郎氏の机をイメージした展示と解説パネルにより、石ノ森氏の頭の中からいかに「仮面ライダー」のビジュアルとヒーローコンセプトが作り上げられたのか、その経緯が語られた。

『仮面ライダー』(1971年)エリアでは、第40話で実現した仮面ライダー2号と1号の「ダブルライダー共演」をイメージした立像展示が目をひく。本展のために新規造型が行われたこのダブルライダーは、そのポーズにもこだわりが見られた。怪人スノーマンを同時ライダーキック(ライダーダブルキック)で倒したあと、お互い目を見合わせガッチリ握手する2人のライダーの勇姿が忠実に再現された。なお本展では、シリーズ各作品に「作品解説」「キャラクター相関図」と「名場面映像」を組み合わせた大型パネルが置かれており、展示物と連動して楽しめる工夫がなされている。

『仮面ライダーV3』(1973年)エリアに展示されているのは、劇中で活躍した少年仮面ライダー隊のヘルメット、ペンダントや、ライダーマンのアタッチメント(カセットアーム)の数々。いわゆる「昭和ライダー」の小道具、劇中プロップ類は現存していないものがほとんどなことから、本展開催にあたり画面情報や資料写真をもとに忠実再現を行った。

『仮面ライダーX』(1974年)エリアでは、Xライダーの武器ライドルスティックや、変身(セット・アップ)に必要なレッドアイザー、パーフェクターが展示された。そして、ぜひ会場で注視してもらいたいのは、V3/風見志郎が神敬介に与えた「マーキュリー回路」の再現小道具。昭和ライダーゾーンでは、他にもあっと驚く意外な小道具が復刻造型されているので、ぜひ会場でそれらを目撃してほしい。

『仮面ライダーアマゾン』(1974年)のアマゾン(山本大介)衣装や、『仮面ライダーストロンガー』(1975年)の城茂衣装など、画面情報をもとに忠実再現した衣装の展示も充実。城茂衣装の横には、電気人間ストロンガーを超電子人間に強化改造した重要アイテム「超電子ダイナモ」や、電波人間タックル立像が見られる。

『仮面ライダーZX』(1984年)エリアを過ぎたところで、怒涛の10人ライダーが大集合。ストロンガーは超電子ダイナモの働きにより、1分間限定で超電子人間となったバージョンである。昭和ライダーファンにとって最高のフォトスポットになるに違いない。

原点回帰とスタイル一新の両方を目指し、根強いファンを生み出した『仮面ライダーBLACK』(1987年)エリアでは、仮面ライダーBLACKと愛車バトルホッパー、そして最大のライバル・シャドームーンが展示された。モトクロス仕様のバイクをバッタと組み合わせたバトルホッパーのデザイン・造型がたまらない魅力を発揮している。

完全大人向けのビデオ映画としてリリースされた『真・仮面ライダー 序章』(1992年)の仮面ライダーシン(手前)、劇場映画『仮面ライダーZO』(1993年/中央)、『仮面ライダーJ』(1994年/奥)のそろい踏み。Jの肩に、言葉を話すバッタ・ベリーがいるのにも注目である。

仮面ライダー1号2号を苦しめた悪の秘密結社「ショッカー」エリア入口では、アバラ骨のようなデザインをあしらった黒タイツの「骨戦闘員」がわれわれを悪の世界へといざなった。中では蜘蛛男、蝙蝠男(別名:人間蝙蝠)、蜂女に加えて、狼男(ゾル大佐)、イカデビル(死神博士)、ガラガランダ(地獄大使)、そしてゲルショッカーのヒルカメレオン(ブラック将軍)という「幹部怪人」がおり、さらにはライダーと戦った数々の怪人たちが「ライダーカード」風パネルとなってあちこちに飾られていた。

ショッカーエリアを抜けると、『仮面ライダー』の1971年から『仮面ライダーリバイス』の2021年までの50年を当時の世相・流行と共にふりかえるブースに突入する。ここでは仮面ライダー人気を彩ったさまざまなヒット商品の数々が展示された。中には現在なかなかお目にかかれない激レア商品もあるので、こちらにもぜひ注目してもらいたい。昭和ゾーンの出口付近には藤岡弘、の映像インタビューコーナーが設けられ、50年を経た今もなお語り継がれる『仮面ライダー』の生命力についてのコメントや、現在社会を生きる若者への藤岡からの熱いメッセージを聞くことができる。

エスカレーターで5Fへ上がると、そこは「平成・令和」ゾーン。ここでは多種多彩な世界観を有する「仮面ライダー」の魅力を伝えるべく、作品ごとの特色を強く打ち出している展示スタイルが見どころとなっている。平成ライダー第1作『仮面ライダークウガ』(2000年)では、物語の導入部となる長野県・九郎ヶ岳の「超古代遺跡」発掘現場をイメージ。劇中で使用された貴重な小道具類も並べられた。

『仮面ライダーアギト』(2001年)で仮面ライダーG3/氷川誠が搭乗するガードチェイサー。壁面にはG3-Xの武器ケルベロスや、G3-Xユニットも展示されている。

『仮面ライダー龍騎』(2002年)では、背景を鏡にして「ミラーワールド」を表現。龍騎やナイトたちがミラーワールドへ向かう際に使用する「ライドシューター」造形物の存在感に圧倒される。

『仮面ライダーカブト』(2006年)では、マスクドライダー(ライダーフォーム)の特殊能力・クロップアップ(人間の目では感知できない超高速移動)をイメージし、宙に浮いた瓦礫が背景に用いられ、臨場感を高めた。

『仮面ライダー電王』(2007年)ではデンライナーの食堂車をイメージ。人気者モモタロスの立像や、ナオミの衣装展示も注目を集めることだろう。

『仮面ライダーディケイド』(2009年)では門矢士のカメラやライダーカードの他に、大型アイテムの展示も充実。キバアロー、ブレイドブレード、ファイズブラスターはCGでも描かれたが、巨大な実物プロップの迫力は絶品である。

『仮面ライダーW』(2009年)では翔太郎とフィリップの衣装、そして風都のマスコットキャラクター「ふうとくん」が劇中でキャンペーンを行った際の着ぐるみ、その他細かな小道具まで幅広く展示されている。

ヘルヘイムの森をイメージした『仮面ライダー鎧武』(2013年)では仮面ライダー鎧武と仮面ライダーバロンの立像や、いくつものロックシード、アーマードライダーの武器、チームバロン、チーム鎧武の旗などを展示。

『仮面ライダージオウ』(2018年)はジオウ、ゲイツ、ウォズの3ライダー(+アナザーライダー2体)の立像や、ソウゴ、ゲイツ、ウォズの衣装、そしてライドウォッチ類が展示された。劇中で使用されたキャラクターの衣装を間近で見られる絶好のチャンスといえる。

『仮面ライダーセイバー』(2020年)ではソードオブロゴスの剣士が集まるノーザンベースをイメージ。セイバーとブレイズの聖剣「火炎剣烈火」「水勢剣流水」のほか、神山飛羽真の著書(2冊)などが展示された。

ふたたび3Fに降りると、『仮面ライダーリバイス』(2021年)の仮面ライダーリバイ、仮面ライダーバイスがポーズを決めているところに出くわす。変身やフォームチェンジの際に交わされる一騎とバイスのかけあいメッセージが、「THE仮面ライダー展」にちなんでいるところにも注目してほしい。

昭和ライダー、平成・令和ライダーそれぞれのファンにも大満足の物販コーナー。「THE仮面ライダー展オリジナルグッズ」が多数用意されているという。

3月10日に催された開幕セレモニーには、『仮面ライダー鎧武』で仮面ライダーバロン/駆紋戒斗をクールに演じた小林豊(BOYS AND MEN)が「THE仮面ライダー展 名古屋スペシャルアンバサダー」として登場。応援にかけつけた歴代35ライダーと共にカッコいいポーズを決めてみせた。

メ~テレ開局60周年記念事業「生誕50周年記念 THE仮面ライダー展」は2022年3月11日から4月10日まで、名古屋・金山南ビル(旧名古屋ボストン美術館)にて開催。会期中無休。詳しくは「THE仮面ライダー展」公式サイトを参照していただきたい。

(C)石森プロ・東映